わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素焼と本焼きとの違い(1)

2009-05-10 23:18:02 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
作品が十分乾燥したら、次に素焼、施釉、本焼きと、続きます。

素焼と本焼きとの違いを列挙すると、以下の様に成ります。

1) 目的が違う。

2) 焼く温度が違う。

3) 焼き方が違う。

4) 焼ける作品の量が違う。

5) 窯詰めの方法が違う。

6) その他の違い。

以上 順次お話します。

1) 目的が違う。

 ① 素焼の目的は、釉薬を失敗無く、掛ける様にする為です。

   即ち、素焼をする事により、作品の強度(特に水に対する強度)が増します。

   又、吸水性が増し、水に溶いた釉薬を、素早く吸収し、均一に塗る事が出来ます。

   それ故、焼き締め等の様に、釉薬を塗らない場合には、素焼をする必要は、有りません。

 ② 本焼きの目的は、釉薬を熔かし、作品の素地を均一に被う事で、強度を増し、吸水性を無し

    水漏れを防ぎます。

2) 焼く温度が違う。

 ① 素焼は、700℃~800℃程度で焼くのが一般的きです。

   温度が高すぎると、吸水性が悪くなり、施釉が上手く行きません。

   温度の「バラツキ」も100℃程度あっても、ほとんど問題ありません。

 ② 本焼きは陶器で1200℃(SK-6a)~1250℃(SK-8)が一般的です。

   磁器では、1280℃(SK-9)~1300℃(SK-10)が一般的です。

   本焼きの温度の「バラツキ」(最高部分と最低部分の温度差)は10℃程度に抑えられれば、

   理想的です。

3) 焼き方が違う。

  温度上昇速度の違いと、温度差、及び酸化、還元焼成の有無です。

  ① 素焼では、なるべく「ゆっくり」と温度を上げていきます。

    特に、水蒸気爆発を起しやすい温度近辺では、特に「ゆっくり」(1時間で80℃~100℃程度)

    上昇させます。

   (水蒸気爆発については、後で述べます。)

    温度差については、さほど問題に成りません。かなり「ラフ」にして良いです。

    又、極端な還元で、作品が「すす」で黒くなる場合を除き、神経を使う必要は、有りません。

 ② 本焼きでは、一度素焼をしていますから、水蒸気爆発は、ほとんど起こりません。

   それ故、素焼より温度上昇が早く成ります。

   ほとんどの釉薬は、酸化焼成と、還元焼成とでは、発色の違いが出ます。

   酸化か、還元かを決め、950℃前後より、空気の量を調整し、焼成します。

   (本焼きの焼成方法については、後日詳細を述べます。)

以下 次回に続きます。
   
 陶芸の窯焚き(素焼)   
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