わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

見る目を養う1(始めに)

2011-12-22 21:50:27 | 陶芸入門(初級、中級編)
あの人は「人を見る目がある」とか、「物を見る目がある人だ」とか言う事があります。

一般に、「見る目」とは、本物と偽者を見分ける目や、良い物か余り良くない物かを、見分ける時に

使う言葉です。長年かけて自然に身に付いたものともいえますが、普段の努力の結果ともいえます。

陶芸の世界でも、「鑑定(識別、鑑別)する目」を身に付けた方は、鑑定家としてあがめられている

場合も多く、その為には、良い作品を見る事や、実際に作品を購入し、失敗を繰り返す事により、

経験を重ねる必要があると言われています。

但し、今回のテーマは、この様に「鑑定の目」や「美的感覚」を身に付ける事とは異なります。

最初のテーマは、自分が現在製作中の作品が、どの様な状態にあるのかを、認識する為の目を

養う事です。

1) 製作に夢中に成っていると、作品の不備が見え難く、どんどん悪い方向に進んでしまうと言う

   事をたびたび見る機会があります。

2) この様な事が起きない様に、常に目や肌で確認しながら、作業を進める必要があります。

   その為の方法を、私なりに,お話したいと思います。

次に、一枚の写真(図)から、どれ程の情報が読み取れるかという事が、今回のテーマに成ります。

1) 私の陶芸教室では、自由に作品を作らせていますが、各自オリジナルな作品は、中々思いつかない

   事が多く、陶芸の書物や、雑誌の切り抜きや、町中や、テレビ番組で見掛けた作品などを、

   参考にして、作品を作る事も稀ではありません。

  (教室によっては、雑誌などの持ち込みを、禁止している所も有るようですが、私の所では自由に

   させています。)

 ① この様な作品を作りたいと、写真を見せられた時、そこからどれ程の情報が引き出せるかは、

   本人や見せられた人の経験や技量が、試される事に成ります。

 ② 陶芸関係の雑誌などで、作品の大きさ、粘土の種類、作り方、装飾の施し方、釉薬の種類や

   作る際の注意点まで、記載されている場合は、さほど問題がありません。

   (但し、その記事の意味が出来ない人も、意外と多いのですが)

   問題と成るとすれば、使っている釉薬が、その作者のオリジナルな釉であるかと言う事です。

   そうであれば、まったく同じ様な釉には成りません。これは仕方ない事なので、代用品で

   間に合わせる事に成ります。

 ③ 情報が限定的な場合

   写真と共に、作品の名前(用途)や、大きさなどの情報が有る場合には、有る程度、類推しながら

   同じような作品を作る様に、指導する事が出来ます。

 ④ 更に、情報量が少なく、写真のみの場合も多いです。勿論実物の寸法が記載されていない事も

   多く、写真の反対側も、類推するしかありません。

 ⑤ 写真も無く、うろ覚えのスケッチしかない場合も有ります。
 
   先ほど申しました、テレビ番組(料理、旅番組)などで、何処かで見た(しかも一瞬)物を

   スケッチした物の場合、情報量は極端に少なくなります。そのスケッチを見せられ、この様な

   作品を作りたいと、相談された時、本人の望む形や装飾、色に仕上げるのには、それなりの

   「見る目(読み取る目)」が必要に成ります。


今回はこの様な場面に遭遇した場合の、対処の仕方を述べたいと思います。

以下次回に続きます。
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