わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 61 陶磁器の表面装飾方法 3?

2015-01-16 17:54:12 | 素朴な疑問
2) 彫る削る方法。

 装飾として作品の表面を削る場合、作品の裏側まで彫りこむ所謂(いわゆる)透かし彫りの方法と

 表面のみを彫り込む方法があります。後者には、線彫りや櫛目模様、象嵌(ぞうがん)模様、

 浮き彫り(レリーフ)などがあります。これらは前回お話した、表面を凹ますのと効果は同じ

 ですが、作業や用具が異なります。

 更に、多くの場合作業に取り掛かる前に作品の表面は、ある程度乾燥させておく必要があります。

 乾燥具合は、作業内容によって各々異なります。

 ① 線彫り。 竹串や竹箆(へら)、彫刻刀、場合によっては、自分の指などで表面に傷を付けて

  模様にする方法です。勿論、模様を付けた後、どの様に仕上げるかは、もう一つの別の工夫が

  必要な場合が多いです。それらが、後で述べる象嵌であり掻き落とし、レリーフなどの方法です

 ② 櫛目。櫛とは髪の毛を梳く櫛と同じ形の用具で、等間隔の細い切れ込みのある物で、木製や

   金属製が多いです。

  ) 一般に櫛目を入れると、表面が「ざらつき」ますので、料理を盛る容器などでは、汚れが

    付き易い為、器の内側に使わない方が良いかも知れません。但し、擂鉢(すりばち)は

    積極的に表面を荒らす為に、櫛目を全面的に器内に施します。

  ) 櫛はその歯の数の多少により、又目の細かさ(ピッチ)によっても、表情が変化します。

    但し、余り細か切れ込みのある櫛は、使い難いです。

  ) 一般に歯先が揃った物が多いですが、湾曲した作品の外側の場合は凹状の櫛を、内側には

    凸状の櫛を使います。当然、湾曲の曲がり具合によって、凹凸の程度も変化します。

  ) 櫛を使用する場合には、櫛に水を着けやや倒し気味にして、滑らす様に使うと、「ばり」

    (毛ば立ち)が少なくなります。尚、発生した「ばり」は、乾燥後に「紙やすり」などで

    取り除く必要が有ります。但し擂鉢の場合は、残したままな方が良いです。

  ) 櫛を使う時の注意点は、櫛のスタートと終了位置は、作品の端面より5mm以上離す

    事です。端面まで櫛目を入れると、そこから「割れや亀裂」が入り易くなります。

 ③ 面取り模様。作品の外側を縦、横、斜め方向に大胆に肉を削り(切り)取る方法です。

   当然、削り取る事の出来る程度の肉厚の作品でなければなりません。面取り数が多くなれば

   肉厚はやや薄くできますが、大胆な場合には、特に肉を厚くする必要があります。

  ) 切れる刃物や鉋(かんな)を使い、大胆に一度で切り取ります。切れ味の鋭さも見所の

    一つです。

  ) 鎬(しのぎ)文: 隣同士の面取りした境が、凸状に盛り上がっている状態の文様です。

    この盛り上がり部分をはっきり強調するには、切り取り部分をやや凹状態にする事です。

  ) 凸部の箇所は肉厚になり、切り取った場所は肉薄に成りますので、乾燥時や焼成時に

    変形し易いですので、急激な乾燥は避けた方が良いでしょう。

  ) 鎬文に施釉すると、鎬の部の釉の色が薄くなったり、素地が露出する場合があり、更に

    凸が強調されます。

 ④ 浮き彫り(レリーフ)模様(彫刻模様)。

  レリーフを作る方法は、後で述べる貼り付けによる方法もありますが、刃物を使って彫る方が、

  文様は「クッキリ」浮き出てき易いです。

  ) レリーフは素材として、粘土以外に、石、木、金属などでも行う事が多いです。

    彫刻の技法は、素材に関係無くほぼ同じです。

  ) 彫刻を施すには、土台と成る作品は、やや肉厚に作る必要があります。更に、肌理の粗い

    土を使うと、綺麗な肌には成りませんので、やや肌理の細かい土を使います。

  ) 彫刻を施す際、予め粘土の表面に下書きを施せば、失敗も少なくなります。

    粘土は適度に乾燥させてると、彫刻し易くなります。乾燥し過ぎると「もろく」なります。

  ) 浮き出す為には、周囲を一段彫り下げます。特に主要な文様の端面が重要です。垂直に

   彫り込む場合と、やや裾野広がりの方法がありますが、前者の方が、陰影が強く出ますので、

   浮き彫りの効果が増します。

 ⑤ 透かし彫り。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする