わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 63 陶磁器の表面装飾方法 5

2015-01-18 22:10:19 | 素朴な疑問
2) 彫る削る方法。(前回の続きです)

 ⑤ 透かし彫り。

 ) 任意の模様の透かし彫り。

   丸や規則的な幾何学模様では、既存の抜き型を使う事も可能ですが、好みの形の透かし彫りを

   行う為には、幾つかの注意点があります。

  a) 透かし彫りの出来る範囲を把握する。

   作品の側面に孔を開ける事は、作品を軽くする効果もありますが、基本的には強度を落とす

   事に成ります。少数の孔であれば問題も少ないのですが、抜く数が増えるに従い、機械的

   強度は確実に弱くなります。それ故、どの程度までなら強度を落とさずに透かし彫りが可能か

   を把握する必要があります。

  b) 透かし彫りを施した為に、作品が変形する場合があります。

   作品の壁面全体に偏る事なく、透かし彫りを行えば問題も少ないのですが、或る範囲のみに

   集中して透かし彫りを多くすると、乾燥と伴にその部分が他の部分に引っ張られ、変形し易く

   なります。

  c) 透かし彫りの孔の大きさによっても、作品の強度に影響を与えます。

   特に、作品の重量が掛かる作品の下部では、大きな透かし彫りは避けたい処です。

   基本的には、下部は細かい模様にし、中部から上部に掛けて模様を大きくした方が強度を

   保つ事が出来ます。

  d) 透かし彫りの文様によって、「ひび」の入り易い形状もあります。

   即ち、「Vの字」状の切れ込みを入れない事です。Vの先端部分から「ひび」が現れどんどん

   伸びて行き、大きな「割れ」と発展します。どうしても「V形」を作りたい時には、先端部分

   に丸(R)を設ける必要があります。丸みは「竹ひご」などの細い棒を押し付けるか、回転

   させる様にして「なすり付け」ます。

  e) 孔同士の間隔や、作品の縁から距離も十分とる事も重要です。

   孔同士の間隔は少なくても5mm以上必要です。隣接する孔が丸い場合には、少ない距離で

   良いですが、直線同士が隣接する場合は、作品の肉厚にも関係しますが、1cm以上が必要

   です。同様な事は縁と孔との間隔でも同じと考えて下さい。

  f) 大きく孔を開ける際には、小さな孔を開けてから、その周囲を削り取って孔を広げる方法が

   安全な方法です。一度に大きな孔を開けるなると、慎重に作業する事に成りますので、意外と

   時間が掛ます。小さな孔はドリルの刃を用いて開けますが、径の細い物から順次太い物で

   開けます。カッターの刃を用いて孔を大きくしますので、カッターの刃先が入り込む程度の

   孔は必要です。

  g) 作品に孔を開ける際、模様の当たり線を付けておきます。この線は最後まで残し、仕上げの

   際に削り取る様にします。更に、彫り込んだ端面に傷が残ると、そこから「ひび」が入り易く

   成りますので、出来る限り端面は皮などを使い、滑らかにしておくと安心です。

  h) 針金を使って孔を開ける方法。

   直線的な模様の場合には、刃物が有効ですが、複雑な曲面の孔を開ける際には、細い針金が

   有効です。即ち、ドリルやキリの刃先で小さな孔を開け、針金を通します。この針金を糸ノコ

   の様に、押したり引いたりして使います。即ち針金の両端を持ち、当たりを付けた模様に

   沿って動かします。この方法ですと、細かい格子模様の透かし彫りも可能です。

  i) 多数の透かし彫りを施した作品は、移動に注意が必要です。特に窯詰め等の際、狭い

   窯中では一度詰めた物を移動させる事は危険が伴います。素焼きが済めば一安心ですが、

   壊れ易いですから丁寧に取り扱います。

3) 化粧掛けによる装飾方法。

以下次回に続きます。
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