わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 206 作品の重量(重さ)感とは1?

2015-12-23 16:38:12 | 素朴な疑問
制作した作品には、作品に応じて適度の重さが重要に成ります。重た過ぎる作品や、軽過ぎる作品は

取り扱い難い物です。当然ですが、大きな作品は重く、小さな作品は軽くなります。

但し、同じ大きさでありながら、軽く感じる作品と重く感じる作品が有るのは事実です。

その違いは何処から来るのかを知る事も大切な事です。更に、素地(粘土)の違いも重さに関係

してきます。それら、重さに関する事項を考えてみたいと思います。

1) 手に持つ作品は軽くし、手に持たない作品は少々重量があっても良い。

 ① 手に持つ作品も、一時的に持つ場合と、ある程度の長時間持つ場合があります。

  常に手に持つ物として、ご飯茶碗が挙げられます。わが国では、ご自分専用のご飯茶碗を片手に

  持って食事する事が一般的です。若い人では感じないかも知れませんが、特に年配の方では、

  重たい茶碗は敬遠され易いです。

  ) ご飯や湯飲み茶碗は、男物、女物、子供用と大きさが異なる場合が多いです。

   これは、ご飯の量と言うよりも、手の大きさから来ていると思われます。手の大きさは男女、

   子供では明らかに違いがあり、持ち易い大きさも自然に違ってきます。大きさに応じて重さ

   にも差が出ますが、その差はほんの数十g程度です。

  ) 市販のご飯茶碗(主に磁器)は、以前に比べ格段に軽くなったと言われています。

   即ち、従来200g程度であった重量も、180~160gと成って来ています。勿論肉厚が薄くなった

   為で、大きさが変化した訳ではありません。陶器の場合は、磁器に対して肉厚に成りますので

   若干重くなる傾向にあります。

  ) ご自分で制作したご飯茶碗は出来るだけ200g以内に収めたいです。

   上記200gとは、底削りを終えた状態の重さです。この時点では、素地も水分を含んでいます。

   素焼きで水分が飛び、若干軽くなりますが、施釉で再び重量が増します。勿論釉の掛け方や

   釉の厚みにもよりますが、本焼き後は、底削りの重量よりやや軽めになります。

   但し作品が焼き締まり、小さくなっている分、重さが増した感じがします。

  ) 茶碗には色々な形があり、形によってご飯の量が異なります。

   一見ご飯の量が入らない様に見えて、意外に入る物や、逆に入りそうで入らない物があります。

   茶碗の口径と高さは概ね(おおむね)決っていますので、違いは底の広さの差に成ります。

   底の広い物(横から見て四角形)は多く入り、底の狭い物(横から見て逆三角形)は余り入り

   ません。又、同じ高さであっても、高台の高い物と低い物では深さに差がある為、入る量も

   違ってきます。後者(入りそうで入らない)の例として旅館の茶碗があります。

 ② 皿や丼(どんぶり)類は手に持つ場合がありますが、常に持つ物ではありませんので、少々

  重くても問題ありません。

  ) 皿や丼類は、料理を盛った状態で持ち運びする事が多い器です。

   大皿やラーメン鉢など大量の料理を盛る場合や、お取り皿の様に自分だけの料理を盛る中皿、

   更には、醤油や薬味を入れる小皿等があり、中、小皿は片手で持ちます。小皿は持ち運ぶ事は

   無く、中皿もほんの一時持つ程度ですので、さほど問題には成りません。

  ) 問題は大皿(丼)の場合です。料理を盛った大皿は、両手で持つのが普通です。

   大皿類は、料理を持った状態で、厨房や台所から食卓へ移動する事が多いです。

   料理が「てんこ盛り」ですと、料理だけでも重量があります。それ故、出きるだけ皿は軽く

   作りたいですが、肉薄に作ると機械的強度が弱くなったり、熱い料理だと、熱伝導が良くなり

   皿本体が熱を持ち、運び難くなります。特に汁物は総重量が増え、慎重に運ぶ必要があります。

  ) 運び易い形状にする事も大切です。即ち、両手の掌(てのひら)が器の下に入り込み、

   下から支える構造にする事です。それ故、「ベタ底高台」は非常に使い難い形と言えます。

   高台は高めの方が、使い勝ってが良い様です。

  ) 食器は料理を美味しく見せる物で、脇役ですが、場合によっては準主役級になる場合が

   あります。即ち、立派な器はそれだけで人の目を集める要素があります。それらが金銀で装飾

   されていれば、一目瞭然ですが、地味な色彩であっても人の目に良いと映る皿もあります。

   一般に、肉厚の皿は料理の豪華さを醸し出します。但し、全体が肉厚であれば、当然重く

   成ってしまいますので、口縁のみを肉厚にすれば、全体が肉厚に感じられますので、口縁のみ

   を肉厚にする事で、全体の重量感を出します。

 ③ 酒気類は、重たい物を好む人と、軽い物を好む人に分かれます。

以下次回に続きます。
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