わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 208 作品の重量(重さ)感とは3?

2015-12-30 16:13:36 | 素朴な疑問
2) 同じ大きさの器でも重たいと感じる物と、軽いと感じるのはなぜか?

 ① 作品の肉厚の差によるもの。

  当然ですが、同じ大きさであっても、肉厚の厚い物は重く、薄いものは軽くなります。

  多くの場合作品を作る際に、腰から高台脇に掛けて贅肉(ぜいにく)が付き易いです。

  轆轤挽きに限らず、紐作り等の手捻りの際にも、肉は薄く伸ばす事です。又、制作時には、

  やむをえず(必然的に)底周辺を厚く作る必要が生じる事も稀ではありません。特に背の高い

  作品では、上の土の重量を保持する為に、肉厚に作る必要があります。但し、乾燥すに従い、

  機械的強度が増しますので、底削り作業の際に多めに削り、肉を薄くします。

 ② 素地(土)の種類によって重みが異なります。

  素地の密度の差により、同じ容積であっても、重さが異なります。

  一般に「ざっくり」したもの、肌理(粒子)の粗い土は軽めに感じられますし、肌理の細かい

  土は重く感じます。それ故、生の状態で比較しても差が判る事もあります。

 ③ 上記②と関係する話ですが、土の焼き締まりの程度にって、重さに差が出ます。

  焼き締まる事とは、焼成によって密に成る事です。即ち、焼き締まり易い土と、焼き締まり難い

  土があります。

  ) 肌理の細かい土は、焼き締まる率が高いです。

    逆に肌理の粗い物は焼き締まりが、十分でない物もあります。

  ) 鉄分を含む土(赤土など)は、強く焼き締まります。又、砂っ気の有る土は焼き締まりが

    弱い傾向にあります。特に焼き締まりが大きい土に、備前焼きの土があります。一般的な

    土では12~13%程度ですが、20%も焼き縮ます。尚、焼き締まる事で機械的強度が

    増します。

 ④ 作品の重心の位置によって、作品の感じる重さに差がでます。

  ) 重心が高い位置にある作品は、軽く感じます。

   特に手に持ち 手前に傾けて使う湯飲みやコップ類などは、重心が高い方が軽く感じます。

   逆に、持ち手より下に重心がある下膨れの形ですと、同じ重さの器であっても、重く感じます

  ) 重心が持ち手の近くにあると、軽く感じます。

   特に片手で持った時は如実に感じられます。支点から遠くなるに従い、モーメントが強く

   なり、支える力がより強くする必要があります。

  ) 重心が作品の中心線上にあると、軽く感じます。

   重心が中心線上より「ずれて」いる場合、両手で持っても不安定な状態になります。

   不安定ですと、手や肩などに多少でも無理な力が加わり、更に、緊張する事になります。

   その事が重みとして感じる事になります。重心が中心上に無いと、両手にかかる負担の割合も

   若干異なります。

 ⑤ 心理的な重みの差もあります。

  実際には重みに差が無いが、軽く感じたり、重く感じたりする事もあります。

  主に色彩に関係します。一般的には、明るく白っぽい色の作品は、軽く感じる傾向にあり、

  黒っぽい色は重たい感じがします。当然皿なども料理の色彩との差で、重く感じたり、軽く

  感じる事もあります。器と料理の色(色彩)の差が大きいと重く感じる様です。

以上諸々の事情により、同じ大きさの作品であっても、重みに差が出易いです。それ故、重い物でも

軽く感じさせたり、逆に軽い物を重く見せる事も不可能な訳ではありません。

以上にて「作品の重量(重さ)感とは?」の話を終わります。
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