わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 294 陶芸の手順とは11(施釉作業の手順2)。

2017-07-20 12:03:26 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

2) 施釉の手順。

 ① 作品の選別。

  素焼き終了時に「割れやひび」の入った作品は、施釉せず廃棄処分になります。

 ② 削り滓(かす)や、小さな傷は紙やすりで削り取ります。

 ③ 作品の上に載っている埃(ほこり)や、「紙やすり」から出た粉を取り除く。

 ④ 下絵付けをするかどうかを選択する。

 ⑤ 釉の種類を選択する。

  ⅰ) 作品の用途によっても色が限定される場合もあります。

  ⅱ) 釉は色だけでは無く他の要素も考慮する必要があります。(以上が前回までの話です。) 

 ⑥ 施釉の方法を選択する。

  施釉には大きく分けて、漬け(浸し)掛け、流し(柄杓)掛け、吹き(スプレー)掛け、スポイト

  掛け(イッチン)、筆(刷毛)塗り等があります。特殊な方法として釉の粉末を振掛ける方法も

  あります(主に各種灰を掛ける事が多い)。各々長所もあれば欠点もあります。それらを考慮

  して適する方法を決めます。

  ⅰ) 作品の大きさで決る場合もあります。

   小さな作品であれば、どの方法を選択しても良いのですが、作品が大きくなるに従い選択も

   限定されてきます。例えば、大皿の場合は流し掛けが無難(一般的)な方法です。

   又大きく背の高い作品の場合では、漬け(浸し)掛けでは釉を入れる容器が大きくなり釉の量

   も多量になりますので、難しくなり、他の方法を選択する場合が多いです。

  ⅱ) 釉の量によって決る場合もあります。

   手持ちの釉の量が多い場合には、どの方法をとっても良いのですが、手持ち量が少ない時には

   吹き(スプレー)掛けやイッチン、筆塗りなどの方法を取ると釉が少量ですみます。

  ⅲ) 細かく釉を塗り分ける場合にも、吹き(スプレー)掛けやイッチン、筆塗りなどの方法

   を取ります。吹き掛けの場合は、マスキングの技法を取る事が出来、細かい塗り分けが可能

   です。細い線で模様を描く際には、イッチンが適します。

  ⅳ) 釉を一様の厚みに掛けるに適した方法は、漬け(浸し)掛けです。又、表面が凸凹した

   作品にも漬け(浸し)掛けが適します。他の方法では、釉の厚みに斑(むら)が出来やすく

   成りますが、この色斑が良いと感じる方もいますので、決して悪い訳ではありません。

   但し、筆(刷毛)塗りの場合、釉の厚みが薄くなり易いですので、濃い目の釉を使うか、数回

   重ね塗りする事をお勧めします。

  ⅴ) 同一作品に二色以上の釉を使う場合、複数の施釉方法を取る場合もあります。

   例えば、全体を漬け掛け瀬釉し、その上から流し掛けで施釉する方法です。又、イッチンは他の

   施釉方法と併用するのが一般的です。又、器の内外で色を変えたい場合、内側は流し掛け、

   外側は漬け掛けで行う事も多いです。

  ⅵ) 釉の種類が多くなるに従い、置き場所に苦労しますので、保管場所が少なくて済む方法を

   選ぶ場合もあります。又施釉の場所で施釉方法が限定される場合もあります。例えばスプレー

   掛けでは、釉の飛沫が四方に広がりますので、出来るだけ屋外で作業したいです。

  ⅶ) 施釉の仕方によって、使用する用具も異なります。

   例えば、浸し掛けであれば作品に応じて、各形の大きな容器が必要になります。

   又、釉鋏(ゆばさみ)と言う専用の用具を使う事で、指跡を残さない方法もあります。

   流し掛けであれば柄杓が必要です。スプレー掛けであればスプレー(霧吹き)が、イッチンで

   あればスポイトが、筆描き成らば、数種類の筆や刷毛が必要な用具に成ります。

  ⑦ 施釉を行う。

   施釉作業は基本的には一発勝負です。

以下次回に続きます。
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