陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。
2) 施釉の手順。
⑦ 施釉を行う。
施釉作業は基本的には一発勝負です。間違った場合再度やり直すのは、釉を剥がしたり、
作品を綺麗にする為など、多くの手間が掛ります。
ⅰ) 施釉を行う前に、どの釉(場合によっては複数の釉)をどの様な方法で行うかは、頭に
描いておく必要があります。
ⅱ) 使用する釉の濃度の調節を行う。
ⅲ) 素焼きした作品に施釉するのが普通ですが、素焼きせずに直接施釉する方法があります。
(以上までが前回の話です。)
ⅳ) 素焼きした作品は、一部の技法を除き、完全に乾燥させて置く事です。
a) 作品に釉が貼り付くのは、作品が水を吸い取る為です。即ち、水が吸収されて釉が表面に
取り残された結果です。それ故、水を吸収出来ない状態では、表面に貼り付ける事はできま
せん。又、施釉時間が数秒と短い理由も、時間が長くなると素地が水分をそれ以上吸収できず
表面に載った釉が逆に流れ出したり、釉が薄くなってしまいます。
b) 水の吸収量は、素地の肉厚と釉の濃度によって左右されます。
肉厚の場合には、大量の水を吸収できますので、釉も厚くする事も可能です。逆に肉薄の場合
水の吸い込み量も少ないですので、短時間に施釉する為、釉が薄くなります。肉薄の作品に
釉を厚く掛けたい場合には、一度掛けた後時間を置いて素地を乾燥させて、再度釉掛けを
行うか、濃い目の釉を使う事です。又、スプレー掛けでは、一度に多量の水分が吸収され
ませんので利に適った方法です。
c) 作品の一部を水で濡らし、その部分のみを薄く施釉する方法があります。
水で濡らす方法には、一部水に漬ける、筆(刷毛)に水を含ませ作品の表面を濡らす、
濡れたスポンジで拭く等の方法があります。当然やり方で濡らす程度に変化があります。
良くある要望に「釉でグラデーションを付けたい」がありますが、実際には中々難しい要望
です。釉を徐々に濃くしていけば良いのですが、数秒の短時間内での連続的な濃淡を付ける
事は、かなり困難です。連続的に水のみで濃淡を付ける事は、釉よりもより容易になります。
理想的にはスプレー掛けが向いています。 尚、釉は薄くする事により、本来の色が出ない
事が多いです。所定の色にするには、その釉独特の濃さが必要で、カタログ等で表示される
事も珍しくありません。その為、例え技術的に濃淡を付ける事が可能であっても、グラデー
ションが不可能な釉も存在します。どんな釉であっても、薄い施釉ですとやや黄色身を帯びた
焦げ茶色になります。
d) 釉を二重掛けする場合も、釉の濃度と施釉するタイミングも考慮する必要があります。
二重に掛ける事は、釉が厚く掛かる事になります。釉が厚く係り過ぎると、釉の剥がれや、
縮れ現象を起こし易くなります。それ故、一方又は両方の釉を薄くする必要があります。
釉の色は後に塗った方(表面側)がはっきり出易いです。両方の釉を混ぜ合わせた様に表現
したい場合には、一度目の施釉直後に重ねて施釉する事です。即ち、乾き切らない内に重ね
塗りをする事で、境目を「ぼかす」事ができます。釉によるマーブル模様を付ける場合には
この方法をとる倍もあります。(二重掛けした直後に急激に作品を回転や左右上下に動かす)
尚、時間を置いて二重掛けすると、境目もはっきりしてします。
e) 重ね塗りをする順序を逆にすると、発色が全く異なる場合もあります。
特に、流れ易い釉の上に掛けた釉は、流れ難い釉であっても、下地に引っ張られ流れ落ち
二色が混ざり合う結果になります。基本は流れ難い釉の上に流れ易い釉を掛けると効果的です
同様の事は、熔ける温度に差のある釉を重ね掛けする時にも言える事です。
ⅴ) 施釉する際問題になるのは指跡です。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。
2) 施釉の手順。
⑦ 施釉を行う。
施釉作業は基本的には一発勝負です。間違った場合再度やり直すのは、釉を剥がしたり、
作品を綺麗にする為など、多くの手間が掛ります。
ⅰ) 施釉を行う前に、どの釉(場合によっては複数の釉)をどの様な方法で行うかは、頭に
描いておく必要があります。
ⅱ) 使用する釉の濃度の調節を行う。
ⅲ) 素焼きした作品に施釉するのが普通ですが、素焼きせずに直接施釉する方法があります。
(以上までが前回の話です。)
ⅳ) 素焼きした作品は、一部の技法を除き、完全に乾燥させて置く事です。
a) 作品に釉が貼り付くのは、作品が水を吸い取る為です。即ち、水が吸収されて釉が表面に
取り残された結果です。それ故、水を吸収出来ない状態では、表面に貼り付ける事はできま
せん。又、施釉時間が数秒と短い理由も、時間が長くなると素地が水分をそれ以上吸収できず
表面に載った釉が逆に流れ出したり、釉が薄くなってしまいます。
b) 水の吸収量は、素地の肉厚と釉の濃度によって左右されます。
肉厚の場合には、大量の水を吸収できますので、釉も厚くする事も可能です。逆に肉薄の場合
水の吸い込み量も少ないですので、短時間に施釉する為、釉が薄くなります。肉薄の作品に
釉を厚く掛けたい場合には、一度掛けた後時間を置いて素地を乾燥させて、再度釉掛けを
行うか、濃い目の釉を使う事です。又、スプレー掛けでは、一度に多量の水分が吸収され
ませんので利に適った方法です。
c) 作品の一部を水で濡らし、その部分のみを薄く施釉する方法があります。
水で濡らす方法には、一部水に漬ける、筆(刷毛)に水を含ませ作品の表面を濡らす、
濡れたスポンジで拭く等の方法があります。当然やり方で濡らす程度に変化があります。
良くある要望に「釉でグラデーションを付けたい」がありますが、実際には中々難しい要望
です。釉を徐々に濃くしていけば良いのですが、数秒の短時間内での連続的な濃淡を付ける
事は、かなり困難です。連続的に水のみで濃淡を付ける事は、釉よりもより容易になります。
理想的にはスプレー掛けが向いています。 尚、釉は薄くする事により、本来の色が出ない
事が多いです。所定の色にするには、その釉独特の濃さが必要で、カタログ等で表示される
事も珍しくありません。その為、例え技術的に濃淡を付ける事が可能であっても、グラデー
ションが不可能な釉も存在します。どんな釉であっても、薄い施釉ですとやや黄色身を帯びた
焦げ茶色になります。
d) 釉を二重掛けする場合も、釉の濃度と施釉するタイミングも考慮する必要があります。
二重に掛ける事は、釉が厚く掛かる事になります。釉が厚く係り過ぎると、釉の剥がれや、
縮れ現象を起こし易くなります。それ故、一方又は両方の釉を薄くする必要があります。
釉の色は後に塗った方(表面側)がはっきり出易いです。両方の釉を混ぜ合わせた様に表現
したい場合には、一度目の施釉直後に重ねて施釉する事です。即ち、乾き切らない内に重ね
塗りをする事で、境目を「ぼかす」事ができます。釉によるマーブル模様を付ける場合には
この方法をとる倍もあります。(二重掛けした直後に急激に作品を回転や左右上下に動かす)
尚、時間を置いて二重掛けすると、境目もはっきりしてします。
e) 重ね塗りをする順序を逆にすると、発色が全く異なる場合もあります。
特に、流れ易い釉の上に掛けた釉は、流れ難い釉であっても、下地に引っ張られ流れ落ち
二色が混ざり合う結果になります。基本は流れ難い釉の上に流れ易い釉を掛けると効果的です
同様の事は、熔ける温度に差のある釉を重ね掛けする時にも言える事です。
ⅴ) 施釉する際問題になるのは指跡です。
以下次回に続きます。