1) 必須な用具(道具)
③ 針と弓。
ⅰ) 針の役目は、空気を抜く、口縁を整える(切り揃える)、作品の厚みを測る
異物を取り出す、作品に穴を開ける(傷を付ける)など使い方は多様です。
用途によって針の太さや、長さに違いが有ります。
a) 空気(気泡)を抜く。
b) 底の厚みを測る。(以上が前回までの話です。)
c) 口縁を切り揃える。
口縁を切る用具には、針と剣先(金へら)、後で述べる弓があります。
剣先は帯鉄で先端が尖った形状です。作品がやや硬くなった状態で使います。
轆轤挽の途中で使用するのは、細い縫い針を利用した針を使います。
勿論陶芸材料店で入手できますが、汎用性の為肉薄な口縁を切るには、太過ぎる
きらいがあります。太い針を使うと、上手く切れず口縁がガタガタに成ってしま
います。 縫い針は100円ショップで購入し、自作する事を勧めます。
参考資料:ダイソーで入手した縫い針は、太さ0.55~0.89mm。長さ30~52mm
その他、太い針太さ1.05mm、長さ45mm一本が含まれています。
どの太さでも良いのですが、小生は0.6mm長さ38mmの針を使っていす。
これを細い棒(割りばしでも可)に細い孔を開けて、先端部を25mm程度にし
糸を通す部分を、植え込み接着剤で固定して使います。
イ) 細い針ですので、口縁を切る専用になります。他の使い方をすると、直ぐ
に折れます。針ですので使用時や使用しない場合でも、指を刺さない様に注意
が必要です。特に折れた場合、必ず折れた針先の行方を確認します。
ロ) 口縁の高さを切り揃える。
使い方は水で濡らした針を、作品の内又は外側から作品に直角に当てて使いま
す。口径の大きい物は内側から、口径の小さい物は外側から針を当てます。
細い針なので曲がり(しなる)易く成りますので、針の根本を人差し指
(内側から切る場合)又は親指(外側から切る場合)で押さえ、口縁に対し
ブレの無い様にして切ります。一気に押し当てず徐々に深く刺し、轆轤の3~
4回転で切る様にします。その場合針と反対側の壁を別の手の指で撫ぜ、その
指で針の先端を感じれば切れた事になります。
ハ) 口縁の肉厚に差がる場合。
轆轤作業では、高さの狂いと厚みの狂いが発生し易いです。厚みの狂いには
色々な原因があるのですが、とりあえず、口縁の厚みの差を解消すれば、
目立たなくなります。切る前に口縁を三本の指(親、中、人指)で押さえ厚み
を付けて置くと失敗は少ないです。
針を垂直に立て親指と人差し指で持ち、中指を作品の内側(又は外側)に当て
針の先端と中指の距離を一定にし、徐々に下に降ろして、口縁の厚みを一定に
切り取ります。かなり難しい作業ですが、是非とも習得したい技術です。
ⅱ) 弓も針同様に口縁を切る道具です。又面取りの道具としても利用します。
Uの字又はYの字型のバネ性のある材質(金属)の両端に、糸(又は細い針金)
をピント張った形にます。弓の特徴は、口縁を大きくカットする事で、針の方が
小回りがきき、切る量も少なくて済みます。
イ) 使い方は、弓の一端を器の中央に向け、他端を器の外側に成る様にして
轆轤を回転させて切ります。糸を水平にする事が基本ですが、やや斜めにして
使う事もあります。糸の中央部を使います。弓はしっかり保持する事と、一定
の高さに保持する事が大切です。最初の一回転で位置を固定させ、次の一回転
で必要な高さを保持して糸で切り、急いで真上に挙げて切り離した部分を取り
上げます。その際、なるべく素早く真上に引き上げないと、切り取った部分が
取れなく成り易いです。 注意点は回転した時必ず全ての高さを切る事です。
切る部分と切らない部分があると、上手に綺麗に切れません。尚、回転スピード
は速めの方が良い結果が出ます。
ロ) 轆轤をゆっくり回転し、口縁の高さに凹凸を作る。
抹茶茶碗の様に、口縁の高低(歪み)が珍重される場合、あえて弓を上下に
移動させ凹凸を付ける方法をとる場合があります。
尚、手轆轤の様に手で回転させるとより細かな高さにする事が出来ます。
d) 素地(粘土)の異物を取り除く。
轆轤挽では、粘土中に異物が存在する場合があります。特に小石や木片、その他
植物片等が多く入り易いです。これらは当然ろくろ作業の邪魔になりますので、
取り除く必要があります。太目の針を使って粘土から取り出します。取り除いた
痕が広範囲の場合は、その部分から上を切って取り除いた方が、作業ははかどり
ます。小さい場合は針で穿り(ほじくり)出します。小さな痕では轆轤挽すれば
痕は消えます。
以下次回に続きます。