水盤(すいばん)とは、底の浅い平らな陶製、又は金属製の盛り花用の花器です。
円形や楕円形 、長方形のものが多く、明治の末に、小原雲心氏が盆栽、盆景などに使用される物を
生け花用に転用したのが、流行の発端と言われています。
現在では「盛り花」の流行と伴に、各流派でも盛んに使われています。
材質としては、陶磁器、ガラス、金属製、木製などがあります。
水盤を使う生け花となると、改まった空間に置かれる花のイメージがあります。
現在では和室のある家も少なく、更に、床の間のある家も、更に少なくなっています。
正月に水盤に盛った花を、床の間に飾り付ける事も少なくなってきていますので、特別な場所でしか
見る事ができなくなっています。
もっとも、水盤に盛り花を生ける場合には、ある程度の華道の心得が必要かも知れません。
1) タタラで長方形の水盤を作る。 轆轤挽きで作るには、不向きな形です。
① 底になるタタラを作る。
厚みが7~10mm程度のタタラ板を作ります。そこの面積が広くなりますので、しっかりと叩き
絞めて底割れを防ぎます。作品の形に合わせて底の形を決め、必要な形に切り出します。
底には高台を付けることもありますが、一般的には、安定感のある、「ベタ」高台が多い様です
② 長方形の場合には、縁が真っ直ぐ真上に伸びた形か、やや上開きの形が多いです。
水盤の高さは4~10cm程度が多く、四方を四個のタタラを積み木のブロックの様に載せます。
花を止める剣山などを使う場合には、ある程度深みのある水盤となります。
四個の側面に文様を入れたり、上端を一定にせず変化をもたらす方法もありますが、シンプル
な方が使い道が広いです。
更に、口縁はある程度肉厚を設けると、見た目も安心感を与えます。
③ 制作作業には難しい処はありません。
側面になるタタラは、自立出来る程度に乾燥させてから貼り合わせます。
側面を貼り合わせる場所に、針で刻みを入れ、縁にも同じ様にアヤメ文の傷を付け、「どべ」を
塗って圧着します。
④ 注意点は水漏れを起こさない様に、強く押し付ける事と、細い撚紐を合わせ目の隙間に入れ
「竹ヘラ」で押さえる事です。
⑤ 長方形の水盤は、長手の横方向が正面に成ります。それ故、施釉する際には、その事を考慮
して、色彩などを考える必要があります。尚、あくまでも水盤は、花を引き立てる脇役ですので
奇抜な形や色彩は抑えた方が良いでしょう。
2) 楕円形の水盤を作る、
底板を楕円形に切り出します。側面になる板は肉厚が作品の大きさに応じて7~15mm程度に
します。楕円にも丸に近い形と、横長の物とがありますが、後者の方が一般的です。
楕円形の水盤は、長方形の水盤より柔らか味や、暖かさと優しさが出ます。それ故、複数個の
水盤をお持ちならば、花の種類に応じて使い分ける事です。
① 側面の板はなるべく切れ目を少なくします。出来れば一枚のタタラで作りたいですが、一枚と
なると長さが1m程度になる場合がありますので、途中で繋ぐ事も止むを得ないかも知れ
ません。
② 側面を貼り付ける際、ダンボール等で、型(内型)を作ると形も崩れず、綺麗な形にする事が
出来ます。
3) 轆轤で水盤を作る。
① 底が広く、側面の上端が内側に巻き込まれた形の水盤。
手捻りで上記の様な形にする事は、意外と難しいですが、轆轤挽き成らば、割合容易に形を
作る事も可能です。但し、外側に丸めるよりは難しいです。
この形ですと、盛り花は中央以外に生ける事が出来き、変化をつける事が可能です。
② 丸い鉢(又は皿)型の水盤には、底が極端に狭い形の物があります。
即ち、底面が狭い事により、器は勿論、生け花全体が浮き上がり、浮遊感がもたらせます。
この場合には、花は水盤の中央から盛り上がる様に生ける事になります。
③ 水盤を作る方法については、特別な事もありませんので省略します。
但し、高台は設けた方が良いでしょう。「ベタ高台」ですと、底面に施釉する事が出来ず。
器の内側のみとなってしまいます。水を溜めて置く花器では、なるべく底面も施釉した方が、
水漏れなどを予防します。
以下次回に続きます。
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