わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る96(花器9、水盤1)

2013-06-19 21:22:04 | 陶芸入門(初級、中級編)

水盤(すいばん)とは、底の浅い平らな陶製、又は金属製の盛り花用の花器です。

円形や楕円形 、長方形のものが多く、明治の末に、小原雲心氏が盆栽、盆景などに使用される物を

生け花用に転用したのが、流行の発端と言われています。

現在では「盛り花」の流行と伴に、各流派でも盛んに使われています。

材質としては、陶磁器、ガラス、金属製、木製などがあります。

水盤を使う生け花となると、改まった空間に置かれる花のイメージがあります。

現在では和室のある家も少なく、更に、床の間のある家も、更に少なくなっています。

正月に水盤に盛った花を、床の間に飾り付ける事も少なくなってきていますので、特別な場所でしか

見る事ができなくなっています。

もっとも、水盤に盛り花を生ける場合には、ある程度の華道の心得が必要かも知れません。

1) タタラで長方形の水盤を作る。  轆轤挽きで作るには、不向きな形です。

  ① 底になるタタラを作る。

    厚みが7~10mm程度のタタラ板を作ります。そこの面積が広くなりますので、しっかりと叩き

    絞めて底割れを防ぎます。作品の形に合わせて底の形を決め、必要な形に切り出します。

    底には高台を付けることもありますが、一般的には、安定感のある、「ベタ」高台が多い様です

  ② 長方形の場合には、縁が真っ直ぐ真上に伸びた形か、やや上開きの形が多いです。

    水盤の高さは4~10cm程度が多く、四方を四個のタタラを積み木のブロックの様に載せます。

    花を止める剣山などを使う場合には、ある程度深みのある水盤となります。

    四個の側面に文様を入れたり、上端を一定にせず変化をもたらす方法もありますが、シンプル

       な方が使い道が広いです。

    更に、口縁はある程度肉厚を設けると、見た目も安心感を与えます。

  ③ 制作作業には難しい処はありません。

    側面になるタタラは、自立出来る程度に乾燥させてから貼り合わせます。

    側面を貼り合わせる場所に、針で刻みを入れ、縁にも同じ様にアヤメ文の傷を付け、「どべ」を

    塗って圧着します。

  ④ 注意点は水漏れを起こさない様に、強く押し付ける事と、細い撚紐を合わせ目の隙間に入れ

    「竹ヘラ」で押さえる事です。

  ⑤ 長方形の水盤は、長手の横方向が正面に成ります。それ故、施釉する際には、その事を考慮

     して、色彩などを考える必要があります。尚、あくまでも水盤は、花を引き立てる脇役ですので

     奇抜な形や色彩は抑えた方が良いでしょう。     

2) 楕円形の水盤を作る、

   底板を楕円形に切り出します。側面になる板は肉厚が作品の大きさに応じて7~15mm程度に

   します。楕円にも丸に近い形と、横長の物とがありますが、後者の方が一般的です。

   楕円形の水盤は、長方形の水盤より柔らか味や、暖かさと優しさが出ます。それ故、複数個の

   水盤をお持ちならば、花の種類に応じて使い分ける事です。

  ① 側面の板はなるべく切れ目を少なくします。出来れば一枚のタタラで作りたいですが、一枚と

     なると長さが1m程度になる場合がありますので、途中で繋ぐ事も止むを得ないかも知れ

     ません。

  ② 側面を貼り付ける際、ダンボール等で、型(内型)を作ると形も崩れず、綺麗な形にする事が

     出来ます。

3) 轆轤で水盤を作る。

   ① 底が広く、側面の上端が内側に巻き込まれた形の水盤。

     手捻りで上記の様な形にする事は、意外と難しいですが、轆轤挽き成らば、割合容易に形を

     作る事も可能です。但し、外側に丸めるよりは難しいです。

     この形ですと、盛り花は中央以外に生ける事が出来き、変化をつける事が可能です。

   ② 丸い鉢(又は皿)型の水盤には、底が極端に狭い形の物があります。

     即ち、底面が狭い事により、器は勿論、生け花全体が浮き上がり、浮遊感がもたらせます。

     この場合には、花は水盤の中央から盛り上がる様に生ける事になります。

   ③ 水盤を作る方法については、特別な事もありませんので省略します。

     但し、高台は設けた方が良いでしょう。「ベタ高台」ですと、底面に施釉する事が出来ず。

     器の内側のみとなってしまいます。水を溜めて置く花器では、なるべく底面も施釉した方が、

     水漏れなどを予防します。

以下次回に続きます。    

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