本日は、陶芸とは直接関係の無い華道(生け花)の話ですが、水盤を作るに当たり、知っておいても
悪くないと思われますのでお話します。
切り花のある処には、必ず花器が使われます。
一般家庭用として、茶道に於いて(茶室用など)、及び華道(いわゆる生け花)などで使われます。
特に、華道の展示会(華展)などでは一般家庭では見る事が出来ない、種類や大きさなど様々な器を
見る事ができます。材質も陶磁器以外に、木製や金属製、ガラス製など多彩です。
一般家庭では、さほど大きな花器は使う事が少なく、茶道に於いても、地味な花や山野草が主役で
器も大きな物や、奇抜で派手な物はほとんどありません。
一方華道では事情が違います。花のみでなく木をも生け込む事があります。(しかも太い幹のものも
珍しくは有りません。)それ故、華道に於ける花器は大きく豪華なものも見受けられます。
もっとも、華道の流派によって、花器も違いがあります。
1) 生け花の歴史
① 我が国に於ける生け花の始まりは、室町時代に建てられた書院造りの「床の間」に飾られた
「たて花」だと言われています。「床の間」には、掛け軸や香炉などが置かれ、「花」もその一員と
みなされてました。
注: 「たて花」とは、書院造りの床の間に飾る花が様式化されて生まれた物です。
② 江戸時代になると、武士階級の屋敷の大広間で、大型で豪華な生け花が盛んに成ります。
これが、「立花(りっか)」です。
注:「立花」とは、江戸初期に初代、池坊専好が確立し、二代専好によって大成された生け花の
様式で、最初の流派「池坊」が生まれます。立花(華)を生けるのは池坊だけです。
③ 元禄時代に成ると、簡素な「数奇屋造り」の住居が生まれ、小さな床の間があらわれます。
町人の間にも普及し、自由で日常的な「投げ入れ花」が盛んになり、これを元に「生花(しょうか、
せいか)」が誕生します。
注: 「投げ入れ花」とは、単純に瓶に挿す生け方で、普段着の生け花として見直されます。
・ 茶花は、茶室の構成要素の一つで、「投げ入れ花」が小型化したものと言われています。
④ その後、一般住宅でも応接間が取り入れられ、「盛花」や「投げ入れ花」が流行します。
注: 「盛花」とは、明治時代に小原雲心氏は、水盤という花器を使った生け花を考案し、
脚光を浴び、これを「盛花(もりばな)」と名付けます。雲心氏は後に小原流を創立し、
生け花人口の増加に伴い、誰にでも理解し易い花型が規定されます。
2) 生け花の流派と「自由花」、「現代花」、「前衛花」、「造形生け花」。
① 生け花(華道)の流派は全国に数多くあり、その数は数百とも言われています。
大きな流派から、小さな流派、更には一つの流派より、分離独立し新たな流派が発生する事も
多い様です。主な流派には、池坊、遠州流、小原流、御室流、古流、草月流、安達流などが
あります。各々家元(世襲制)を頂点に活動しています。中には数万人もの会員を擁する
流派もある様です。
② 生け花を大別すると、古典花(伝承花)として、生花、立花、投入、盛花などと、「現代花」、
「造形生け花」、「前衛花」、「自由花」等にに分かれます。
注: 「自由花」とは、大正から昭和初期に登場し、造形的な表現を盛り込ん生け花です。
「前衛花」とは、金属や石など植物以外の花を取り入れ、彫刻を思わせる様な生け方で、
「造形生け花」なとも言います。
③ 「伝承花」(古典花)と「現代花」との違い。
) 「伝承花」は、生け花を良く見させる為の理論即ち、花矩(はりがね)を持つ物です。
生け方の型(基本型)である花矩は、各流派毎に決められています。
例えば、S字状の本体から、直線状に数本斜めに派生してる様に生ける、或いは見えない
中心線を想定し、非対称的に左右から枝や葉、花が出た感じに生けるなどの約束事です。
) 厳格な花矩を持たない生け花が現代花と言えます。(但し基本形はある様です。)
それ故、作家個人による処が大きく、自由な表現の出来る生け花です。
しかし、評価基準が曖昧で、流派の特徴が不明確であるという短所があります。
) 生け方や使う花にも、違いが見受けられます。
洋花主体もの、和花主体もの、和洋両用などの違いがあります。
木なども用いて大きく生ける流派や、少ない花を清楚に生ける流派など、特徴があります。
④ 池坊は主に古典花、草月流と小原流は主に自由花との事です。
勿論、厳格に区別するものではなく、お互い影響し合っている様です。
以下次回に続きます。
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