わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る99(花器12、花入2(籠、焼物))

2013-06-25 20:14:56 | 陶芸入門(初級、中級編)

焼き物とは、直接関係の無い話に成りますが、竹や籠などにヒントを得て、焼き物の花入の制作に

応用して頂ければと思い、話を進めます。

籠(かご)花入とは、竹や籐(とう)、藤蔓(ふじつる)などで編んだ花入の総称です。

籠花入は、涼しげで軽快な感じを与える花入ですが、季節を問わずに使われている様です。

籠花入には、以下の形の物があります。

1) 籠の花入れ。

 ) 唐物籠(からものかご)

   中国宋、元代に造られたもので、室町時代に我が国にもたらされた花入です。

   編み方も精巧で、口造り、胴、裾、取っ手など変化に富み、美術的にも優れています。

 ) 宗全籠(そうぜんかご): 久保田宗全の代表的な作品です。

    注: 久保田宗全(1647~1707年)は江戸時代の茶人です。

   裾広がりの四方形の胴に、丸い口が付き、丸い半月状の籐の取っ手が付いています。

 ) 唐人笠(とうじんがさ): 円柱の胴に、口が大きく水平に開き、唐人が被る笠に似ています。

   籐で出来ています。

 ) 桂籠(かつらかご):千利休が桂川で見た漁師の魚籠(びく)からヒントを得て出来た形と言わ

   れています。口辺の周りに斜め下に向かう、髭(ひげ)が数本あります。

 ) 蝉籠(せみかご): 床柱に掛ける籐制の掛花入で、蝉が木に止まった様な見える籠です。

 ) 繭籠(まゆかご): 竹で編まれた繭玉状の花入で、背面に藤蔓が付き、掛花入としても

    使用できます。

  ) 虫籠(むしかご): 秋に鈴虫を捕らえ、籠に入れ枕元に置き、その音を楽しんだそうで、

    その時の籠が原型です。口は細くなっています。

  ) 時雨籠(しぐれかご): 骨だけの傘を、逆さにした様な形で、口が放射状に上に開いています

2) 焼き物の花入。

  ) 中蕪(なかかぶ): 銅の中央が膨らんだ形となっています。(青磁の物が多い)

  ) 筍(たけのこ): 皮を剥いだ筍に似た形です。

     砧形又は、下蕪(しもかぶら)形で、胴から首に掛けて数本の横線(環線)が入っています。

     青磁が多い。

  ) 算木(さんぎ): 易の卦(け)に使用しる算木が浮き彫りに成った文様の陶磁器です。

     (青磁に多い)

  ) 砧(きぬた): 布を打つ「砧」の形にした花入です。

  ) 立鼓(りゅうご): 鼓(つづみ)の様に、上下に開き中央がくびれた形をしています。

  ) 舟虫(ふなむし): 花入の胴の左右に、舟虫状の小さな突起が複数個付いています。

  ) 蹲る(うずくまる): 人が蹲った形で、背が低く胴が膨らんでいます。

  ) 旅枕(たびまくら): 円筒形で口造りは、姥口(うばぐち)で、枕の形をしています。

      多くは、掛花入として用いられます。

  ) 鰐口(わにぐち): 神社の拝殿の軒に吊された、金属製の鈴の様な形です。

  ) 粽(ちまき): 口と底面が極端に狭く、胴が膨らみ轆轤目のある物が多いです。

     南蛮渡来の形です。

 3) 口造り。

  花入の素材に関係なく、口造りは工夫が凝らされています。その種類は以下の通りです。

  ) 細口: くびれた首を設けず、細長いまま口まで伸びた形です。

  ) 柑子口(こうじくち): 柑子とは蜜柑(みかん)の一種です。

     口の真下が丸く 膨らんで蜜柑の形をしています。

  ) 雁口(かりくち): 円筒形のやや長めの首の上に、平らなドーナツ状の鍔が載った形です。

  ) 広口(ひろくち): ラッパ状に口が開いた形です。

  ) 桔梗口(ききょうくち): 大きく平らに開いた口で、桔梗の花びらの様な凹凸が付いています。

  ) 鍔口(つばくち): 刀剣の鍔の様に平べったい形の口です。

  ) 鯉口(こいぐち): 魚の鯉の口の様に、口の真下が一度細くなりその上が若干開いた形です

  ) 朝顔口(あさがおくち):上に向かって開く、一般的な形です。

  ) 輪花口(りんかぐち): 口がやや平らに広がり、起伏に富んだ花状になっています。

4) 耳の種類。耳はあくまで装飾の為のものですので、耳の無い花入も多いです。

  ) 鳳凰耳: 鳳凰を模した耳が首の左右に付いています。

  ) 龍耳: 上昇する龍を模した耳です。

  ) 象耳: 象の頭と長い鼻を持つ耳で首の外向きにつけます。鼻の形状は色々な形があります

  ) 鬼面(きめん)耳: 鬼の面が外向きに付けられて物です。

  ) 笹耳: 笹の葉を模し、表面に平行線状に櫛目の様な溝があります。

  ) 遊環(ゆうかん)、不遊環(ふゆうかん): 遊環とは、耳に付けられた円形の環です。

     この環が自由に動くものを遊環といい、動かず単に装飾的なものを不遊環といいます。

     焼き物の場合、施釉の遊環にするには、何らかの工夫が必要です。

  ) 魚(うお)耳: 小魚が腹を首に付け、上に向いて取り付けられています。

     染付けなどに多いです。

  ) 管(くだ)耳: 細長い管が取り付けられています。

4) 置花入と掛(釣)花入。

以下次回に続きます。

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