華道では、「花生け」と呼ぶ花器も、茶道では「花入(はないれ)」と呼びます。
華道に於いては、あくまでも花を引き立てる用具ですが、茶道では少しニアンスに差があります。
花が主役であるのは勿論ですが、花入れは同格又はそれ以上の事もあります。
即ち、茶道にはお道具拝見(拝見所望)の慣わしがあります。由緒ある花入や亭主秘蔵の花入等の
場合には、鑑賞の対象になります。
1) 花入の素材。
材料別に、「真の花入」と「行の花入」、「草の花入」の三つに分類します。
・ 「真の花入」には、唐銅(古銅)、青磁、染付、彩磁、白磁、祥瑞(しょんずい)があり、
・ 「行の花入」では、砂張、釣り花入(磁器)、施釉の国焼、唐銅を模した楽焼が
・ 「草の花入」には、竹、籠、木工、瓢(ふくべ)、南蛮、無釉の国焼、楽焼などです。
① かね(金)の花入: 最も多く用いられているのは、唐銅(からかね)で、他に砂張(さはり)、
金紫銅(きんしどう)、青銅などがあり、花入の形は以下のものがあります。
) 鶴首: 鶴の様に首が長い為に付けられた名前です。
) 桃底(ももぞこ)、桃尻: 鶴首の様な首を持ちますが、鶴首より胴が膨らみ、高台内がやや
盛り上がっています。
) 曽呂利(そろり): 鶴首や桃底よりも首が更に細長く、輪高台の付いている物をいいます。
) 下蕪(しもかぶら): 逆蕪(さかかぶら)とも言い、下部が膨らんだ物をいいます。
) 把綿(たばねわた): 細長い円形の筒で、胴の中央がくびれ、帯が付いています。
) 杵(きね): 餅つきの杵の形をしています。
) 爵(しゃく): 中国古代の青銅器で作られた、口がややラッパ状に開いた、三本脚の酒器です
) 経筒(きょうづつ): 経典を収める蓋のある円筒形の物を花入に転用した物です。
) 月(つき):(三日)月形をした釣花入で、花鎖で吊るす様になっています。
) 船(ふね): 舟形の釣花入で、月と同様に花鎖で吊るします。
② 竹の花入は千利休らによって、侘びや寂(さび)を強調する為に、取り上げられます。
) 尺八(しゃくはち)、又は寸切(ずんぎり)。
逆竹(さかたけ)を用い、中央付近に節を残す事が約束事になっています。
後には、口の近くにも節を設け、二節の物や、裾の切り口に鉈(ナタ)の削りを入れた物、
更には、途中に横一文字を切り、花を生ける口を設けた物など、多くの種類が現れます。
) 神酒筒(みきつつ): 神前に供える神酒筒を模した物。
) 送り筒(おくりつつ): 携帯用の竹筒で、口の両側に耳を残して切り、藤蔓(ふじつる)で
持ち手を付けた物。又、藤蔓の代わりに、手桶の様に竹を横に通した物もあります。
) 一重切(いちじゅうきり): 竹の根元を用い、上部に横一文字の窓を作り、最上部に節を
残し、輪にした物で一番多く使われている形です。
) 獅子口(ししくち): 太くて短い竹で、窓を横一文字に大きく切った形です。
) 鮟鱇(あんこう): 切り口が大きく縦長の形です。
) 円窓切(えんそうきり): 窓を丸く切った物。
) 歌花筒(うたはなづつ): 野点などに使用される物で、細長い竹の下部を一重切にし、花を
挿し、上部に短冊を差し挟む切れ込みのある形です。
) その他に、二重切(窓が二つ)、窓二重(上が丸、下が横一文字の窓)、置筒(吹抜)、
再来切(さいらいぎり)などがあります。
a) 落とし(受け筒)に付いて。
) 竹の花入は、元々直に水を入れていましたが、竹が傷む事と、竹に「ひび」や「割れ」が発生し
水漏れするのを未然に防ぐ為、花口に合わせて、内側に竹や木製、更には古銅(銅板や
ブリキ)の受け筒を落としといいます。
) 籠の様に、直接水を張る事の出来ない場合にも、落としが使われます。
又、口の広く花材がまとまらない場合にも使用します。
) 現在では便利なプラスチック容器が容易に手に入りますので、このような容器使う事も
可能です。
b) 花留めに付いて。
花口に直接花や葉が接触しない様にする為の道具です。特に広口の場合に重要な道具です。
) 枝を用いる場合。花口に横一文字、又は横二文字、十文字、二股(Y字)に渡します。
) 剣山、亀甲形や七宝形の花留め。オアシス(吸水性スポンジ)。
注: オアシス(吸水フォーム)は初心者にも簡単に使う事が出来、安価に入手できます。
四角いブロックで、1ブロックで大きさが 23cm×11cm×8cm 位で、2~300円程度です
以下次回に続きます。
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