4) 置花入と掛(釣)花入。
花入には床(床の間)に直に置く物と、床に取り付けた釘に掛ける物又は、釘に取り付けた花鎖に
釣るす物があります。後者の場合には、当然掛けるべき用具(又は単なる穴)が付いています。
① 置花入
床(とこ)が板床である場合と、畳床である場合では床に置く方法に違いがあります。
以下の事項は、茶道に於ける約束事となっています。
) 板床の場合には、花入を直接床に置きます。
) 畳床の場合には、薄板(うすいた)を敷て使用します。
理由は、花から落ちる雫(しずく)を受ける為との事です。
薄板には三種類あり、花入の格(真、行、草)により使い分けます。
a) 矢筈板(やはずいた): 檜(ひのき)の真塗で、木口(端面)が矢の羽の様な形をし、
端の幅が広い方を上面として使います。「真」の花入に使用します。
b) 蛤端(はまぐりば): 板の周囲が蛤の口状に丸味を帯びた形です。
角、丸の塗板の場合は、「行」の花入を用います。木地の板は「草」の花入を使います。
c) 丸香台(まるこうだい): 円盤状の板で、真塗、溜塗、掻き合わせ塗などがあります。
「草」の花入に使用します。
尚、畳床でも籠の花入には、薄板を使わないとの事です。
② 掛花入。
) 掛花金具: 花入に取り付け、床の釘に掛ける金具です。(市販されています。)
a) 割りピンの頭に金属の環が取り付けてあり、他に金属の細い管と、二個の座金から
出来ています。 一般に黒塗(黒染)です。
b) 細い管と座金一個を割りピンに通し、花入の穴に差込み、内側に他の座金を通して
から、割りピンの先端を二つに割って花入に留めます。
) 蹲(うずくまる)るや取り付け穴の無い花入場合には、首や胴に紐(棕櫚=しゅろ等)を
取り付け、金具替わりにします。
③ 釘(くぎ)について。 掛け物を掛ける為床に釘を打ちます。釘には幾つかの種類があります
) 中釘(なかくぎ)、無双釘: 床正面の中央に打たれる釘で、出し入れが可能です。
掛物の場合は中に入れ、花入の場合は引き出して使います。
) 花折釘(はなおりくぎ): 床柱又は反対側の相手柱に打たれます。「L字型」の釘です。
) 柳釘: 床の奥の隅柱に打たれる釘で、青竹の花入などが掛けられます。
) 垂撥(すいはつ): 細長い撥(ばち)形の板の中央に長い切り目を付け、掛け釘が上下
できる様にしたものです。
) 花蛭釘(はなひるくぎ): 床の天井に打たれる釘で、花鎖を取り付け先端の鉤先に
舟花入の取っ手を取り付けます。尚、花鎖は長さが調節できる様になっています。
) 朝顔釘: 床の側面に設けられた窓に打たれる釘で、朝顔などの蔓物の花を入れます。
余り実用的でない話になってしまいましたが、花器に付いての話を終わります。
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