「青花」(染付け)は、酸化コバルトを、主成分とした、下絵用の発色剤を使用しています。
5) 酸化コバルトについて
① イスラム産のコバルト
最初に使われた、元の時代コバルトは、イスラム世界より、シルクロードを通り、もたらされた
物です。これは、かなり純粋なもので、鮮やかな紫色を 呈しますが、このままでは、高温に耐えず、
更にザラザラしていて、描き難い為、マンガン、鉄、クロム、ニッケル、銅等の、天然の金属原料を、
微量に混入させ、扱い易くして、深みの有る青藍色を、発色させています。
② 中国産のコバルト(青土と言います)
政権の交代や、戦乱、世界経済の変化などにより、しばしばイスラム産のコバルトが、輸入停止に
成ります。その為、中国本土でも、幾つかの場所で、コバルトが発見され、使用されています。
) 成化~正徳年間: 江西楽平産=平等青
) 正徳~嘉靖年間: 高安産=石子青
) 万暦年間以降 : 浙江省 =浙江青
これら以外にも、福建、広東、広西、雲南等で、青土は発見され、使用されています。
但し イスラム産よりも、鮮明さが欠け、黒っぽく濁った感じのものが、多いです。
この発色の違いによって、作られた時代が推測されます。
6) 呉須(ごす)に付いて
コバルトを主原料にした、下絵付け用の青色顔料を、「呉須」と呼びます。
① 極細粉末を水に溶き、更に乳鉢等で、細かくして、使います。
) 昔より、粉末状の呉須は、お茶(の水)を入れて、乳鉢で擦ると、お茶に含まれるタンニンに
よって、素地への接着性と発色が、良くなると言われています。
) 機械的に粒子を均等に擦るのではなく、不均一の方が良い色が出ると言われ、手に乳棒を
持ち、気長に乳鉢で擦ると、良い結果が出るとも、言われています。
) 現在では、絵の具の様に、チューブに入った物が市販されていて、そのまま絵皿などに
出して、使用できる物もあります。粉末とどちらが良く発色するかは、不明です。
② 水の量によって、色に濃淡を付ける事が出来ます。
下絵付けで、この様に、しっかり濃淡が付けられるのは、「呉須」のみです。
(鬼板なども、ある程度の濃淡を、付ける事も可能ですが、薄過ぎると、消えます。)
③ 濃淡を付ける事により、水墨画風の描写が、可能になります。
④ 現在では、コバルト以外の金属の含有量によって、色違いの「呉須」が市販されて、います。
古代呉須、墨呉須、青呉須、紫呉須、焼貫呉須などが、あります。
⑤ 現在、天然の「呉須」は手に入れる事は困難で、ほとんどが、合成品です。
それ故、昔の「呉須」の色とは、若干違いがあると言われています。
7) 呉須の使い方
基本的には、素焼き後に筆を用いて、文様を描きますが、土物(陶器)の様に、素地が真っ白でない
場合などでは、白化粧を施し、その上から絵付けすると、発色が良い様です。
① 筆で塗る: 水彩絵の具の要領で、文様を付けます。
鉛筆などで、下書きする事も、可能です。(鉛筆の線は、焼成すると、消えます。)
) 注意点は、一度描いた所は、手を触れない事です。素地の表面に載っているだけですので、
触ると、直ぐに手や指に転写します。呉須はどんなに薄く塗っても、必ず発色しますので、
この汚れた手で、他を触ると、そこに青い色が移ります。
絵を付ける際、作品を持つ場所を、確保しながら、描く必要があります。
但し、釉を掛ける前までの話で、施釉してしまえば、触る事が出来ます。
) 描き方は、線状に輪郭を描く方法と、濃(だみ)と言い、輪郭線内を、塗りつぶす方法が
有ります。濃の場合濃専用の、筆があります。根元が太く、先端が極端に細くなった形を
しています。
② 吹墨(ふくすみ)による方法: 霧吹き(スプレー)やブラシング(金網とブラシを使う)の
方法で、呉須を霧状にして、作品に吹き付ける方法です。作品に切り抜いた絵柄を、貼り付ければ、
絵柄には、呉須が掛からず、模様が抜け出ます。
③ 呉須は、水の量を調整する事により、濃目~薄目へと、連続して濃淡を付ける事が出来ます。
他の下絵の絵の具では、このような事は困難です。それ故、水墨画の様な、描写も可能に成ります。
8)コバルト釉: 透明釉に添加する事により、青い釉を作る事が出来ます。
酸化コバルトを、呈色剤に使った、紺青色系の釉で、我が国では、「瑠璃(るり)釉」が有名です。
以下次回に続きます。
5) 酸化コバルトについて
① イスラム産のコバルト
最初に使われた、元の時代コバルトは、イスラム世界より、シルクロードを通り、もたらされた
物です。これは、かなり純粋なもので、鮮やかな紫色を 呈しますが、このままでは、高温に耐えず、
更にザラザラしていて、描き難い為、マンガン、鉄、クロム、ニッケル、銅等の、天然の金属原料を、
微量に混入させ、扱い易くして、深みの有る青藍色を、発色させています。
② 中国産のコバルト(青土と言います)
政権の交代や、戦乱、世界経済の変化などにより、しばしばイスラム産のコバルトが、輸入停止に
成ります。その為、中国本土でも、幾つかの場所で、コバルトが発見され、使用されています。
) 成化~正徳年間: 江西楽平産=平等青
) 正徳~嘉靖年間: 高安産=石子青
) 万暦年間以降 : 浙江省 =浙江青
これら以外にも、福建、広東、広西、雲南等で、青土は発見され、使用されています。
但し イスラム産よりも、鮮明さが欠け、黒っぽく濁った感じのものが、多いです。
この発色の違いによって、作られた時代が推測されます。
6) 呉須(ごす)に付いて
コバルトを主原料にした、下絵付け用の青色顔料を、「呉須」と呼びます。
① 極細粉末を水に溶き、更に乳鉢等で、細かくして、使います。
) 昔より、粉末状の呉須は、お茶(の水)を入れて、乳鉢で擦ると、お茶に含まれるタンニンに
よって、素地への接着性と発色が、良くなると言われています。
) 機械的に粒子を均等に擦るのではなく、不均一の方が良い色が出ると言われ、手に乳棒を
持ち、気長に乳鉢で擦ると、良い結果が出るとも、言われています。
) 現在では、絵の具の様に、チューブに入った物が市販されていて、そのまま絵皿などに
出して、使用できる物もあります。粉末とどちらが良く発色するかは、不明です。
② 水の量によって、色に濃淡を付ける事が出来ます。
下絵付けで、この様に、しっかり濃淡が付けられるのは、「呉須」のみです。
(鬼板なども、ある程度の濃淡を、付ける事も可能ですが、薄過ぎると、消えます。)
③ 濃淡を付ける事により、水墨画風の描写が、可能になります。
④ 現在では、コバルト以外の金属の含有量によって、色違いの「呉須」が市販されて、います。
古代呉須、墨呉須、青呉須、紫呉須、焼貫呉須などが、あります。
⑤ 現在、天然の「呉須」は手に入れる事は困難で、ほとんどが、合成品です。
それ故、昔の「呉須」の色とは、若干違いがあると言われています。
7) 呉須の使い方
基本的には、素焼き後に筆を用いて、文様を描きますが、土物(陶器)の様に、素地が真っ白でない
場合などでは、白化粧を施し、その上から絵付けすると、発色が良い様です。
① 筆で塗る: 水彩絵の具の要領で、文様を付けます。
鉛筆などで、下書きする事も、可能です。(鉛筆の線は、焼成すると、消えます。)
) 注意点は、一度描いた所は、手を触れない事です。素地の表面に載っているだけですので、
触ると、直ぐに手や指に転写します。呉須はどんなに薄く塗っても、必ず発色しますので、
この汚れた手で、他を触ると、そこに青い色が移ります。
絵を付ける際、作品を持つ場所を、確保しながら、描く必要があります。
但し、釉を掛ける前までの話で、施釉してしまえば、触る事が出来ます。
) 描き方は、線状に輪郭を描く方法と、濃(だみ)と言い、輪郭線内を、塗りつぶす方法が
有ります。濃の場合濃専用の、筆があります。根元が太く、先端が極端に細くなった形を
しています。
② 吹墨(ふくすみ)による方法: 霧吹き(スプレー)やブラシング(金網とブラシを使う)の
方法で、呉須を霧状にして、作品に吹き付ける方法です。作品に切り抜いた絵柄を、貼り付ければ、
絵柄には、呉須が掛からず、模様が抜け出ます。
③ 呉須は、水の量を調整する事により、濃目~薄目へと、連続して濃淡を付ける事が出来ます。
他の下絵の絵の具では、このような事は困難です。それ故、水墨画の様な、描写も可能に成ります。
8)コバルト釉: 透明釉に添加する事により、青い釉を作る事が出来ます。
酸化コバルトを、呈色剤に使った、紺青色系の釉で、我が国では、「瑠璃(るり)釉」が有名です。
以下次回に続きます。
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