青花磁器は、中国元の時代に、景徳鎮で行われたのが、最初と言われています。
イスラムの世界からもたらされて、「酸化コバルト」を用いて、藍色に描かれた作品は、イスラム圏への
輸出品として、生産されます。
特に青色は、イスラム圏で好まれた色であり、作品の形や、文様もイスラムで使われていた銅器大盤を、
陶磁器で再現しようとした物です。
特に我が国で、「芙蓉手」と呼ばれる様式は、盤(大皿)の中央に芙蓉の芯の部分を表し、
その周囲を、花弁に見立てて、幾何学的に分割して、各々の区画に文様を、描いています。
1) 絵付けは当然手描きです。それ故、描き手によって微妙に差があり、同じようには行きません。
磁器の製作は、分業化しており、生地を作る人、轆轤を挽く人、絵付けをする人、窯を焚く人等と
分かれていました。絵付けは主に、女性の仕事との事です。一つの作品に。絵付けをするのに、
数ヶ月を要する事も、有ったようです。
2) 絵柄や文様も、輸出先(需要先)によって、差をつけています。
一般には、花鳥文、唐草文、牡丹文、龍文、鳳凰文、人物文、蓮池魚文など、吉兆文が選ばれます。
① 特に龍文は、古代より、中国を代表する文様です。
) 空想上の生物である龍は、雷や竜巻をイメージしたものとも言われて、恐ろしい雷や、落雷を
もたらしますが、恵みの雨を降らせる、龍神様でもあります。
更に、最大級の霊力を持ち、皇帝の権威を表す、象徴ともされていました。
) 頭は駱駝、角(つの)は鹿、目は鬼、耳は牛、頸は蛇、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、口には髯、
喉の下には「逆鱗」があり、背中には81枚(9x9)の鱗がある姿をしています。
元時代では五爪の龍が、皇帝の紋章でり、一般人は使用禁止になっていました。
② 鳳凰の絵柄も、目出度い文様ですがは、皇后の象徴とされていました。
鳳は雄を、凰は雌を表しています。尾羽の姿の違いで、描き分けています。
雌雄一対で飛び、鳴く事で、天下泰平を願っています。
3) 我が国の染付けの絵柄
中国の絵付けが、余白を余す処無く、描かれているのに対し、染付けでは、比較的簡単な文様が
多く、余白を残した描き方をしています。
即ち、木賊(とくさ)文、秋草文、唐草文、蛸唐草文、市松模様、網目文、青海波(せいがいは)、
矢羽文、捻り文などが、多い図柄です。又、和紙染めも我が国特有の、絵付け方法です。
(現在では、安物の陶磁器は、転写紙による、絵付けが主流になっていますが)
4) 青花磁器の終焉
18世紀に成ると、景徳鎮の青花磁器や、五彩磁器は、従来とはまったく別の物になっていきます。
即ち、用いられる顔料は複雑になり、伝統的な上絵の顔料に、ガラス粉末を混ぜ合わせ、微妙な
グラデーションを表現しています。これは、ヨーロッパの無線七宝の技術であり、白と青で表現した
青花磁器から、カラフルな宝石の様な美しい磁器へと、変化していきます。
ここに、青花磁器の時代は、終焉を迎える事に成ります。
5) 青花磁器のコレクション
① トプカプ宮殿の青花磁器コレクション
オスマントルコの首都「イスタンブル」の宮殿には、600年に渡り、収集された青花磁器が、
豊富に(総数20,616点)存在しています。(現在は、宮殿博物館に所蔵)
② トウグルク宮殿の元磁器コレクション
現在のインドの首都デリーに有った、イスラム王朝の、トウグルク宮殿の庭園跡地から、
大量の、青花磁器が出土します。
尚、インドでの伝世品の多くは、大英博物館や、ロックフェラーコレクションに、収められて
います。
③ 大英博物館、アルバート美術館(いずれも、英国)
④ スエーデン国王の中国陶磁コレクション
⑤ ルーブル美術館:フランスの個人のコレクションを、1894年に美術館に寄贈。
後に、ギメ美術館に移管されます。(清朝磁器を中心に、約三千点余り)
・ スイスのジュネーブにある、バウアー・コレクションも、東洋陶磁の屈指のコレクションです。
⑥ アメリカのコレクション
) フリーア・コレクション:ワシントンD・C
中国陶磁器とともに、日本の陶磁器や絵画なども、収集されています。
) ブランデージ・コレクション:サンフランシスコ
20世紀以降の、中国陶磁器が中心で、日本人好みの作品が、多いののも、特徴の一つです。
その他にも、公の美術館や、個人的なコレクションなど、中国陶磁器に関する収集家は、非常に多いです。
以上にて、青花磁器に関する、話を終わります。 次回より、別のテーマで、お話します。
参考資料: 「中国やきもの入門」別冊太陽 (株式会社 平凡社)
イスラムの世界からもたらされて、「酸化コバルト」を用いて、藍色に描かれた作品は、イスラム圏への
輸出品として、生産されます。
特に青色は、イスラム圏で好まれた色であり、作品の形や、文様もイスラムで使われていた銅器大盤を、
陶磁器で再現しようとした物です。
特に我が国で、「芙蓉手」と呼ばれる様式は、盤(大皿)の中央に芙蓉の芯の部分を表し、
その周囲を、花弁に見立てて、幾何学的に分割して、各々の区画に文様を、描いています。
1) 絵付けは当然手描きです。それ故、描き手によって微妙に差があり、同じようには行きません。
磁器の製作は、分業化しており、生地を作る人、轆轤を挽く人、絵付けをする人、窯を焚く人等と
分かれていました。絵付けは主に、女性の仕事との事です。一つの作品に。絵付けをするのに、
数ヶ月を要する事も、有ったようです。
2) 絵柄や文様も、輸出先(需要先)によって、差をつけています。
一般には、花鳥文、唐草文、牡丹文、龍文、鳳凰文、人物文、蓮池魚文など、吉兆文が選ばれます。
① 特に龍文は、古代より、中国を代表する文様です。
) 空想上の生物である龍は、雷や竜巻をイメージしたものとも言われて、恐ろしい雷や、落雷を
もたらしますが、恵みの雨を降らせる、龍神様でもあります。
更に、最大級の霊力を持ち、皇帝の権威を表す、象徴ともされていました。
) 頭は駱駝、角(つの)は鹿、目は鬼、耳は牛、頸は蛇、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、口には髯、
喉の下には「逆鱗」があり、背中には81枚(9x9)の鱗がある姿をしています。
元時代では五爪の龍が、皇帝の紋章でり、一般人は使用禁止になっていました。
② 鳳凰の絵柄も、目出度い文様ですがは、皇后の象徴とされていました。
鳳は雄を、凰は雌を表しています。尾羽の姿の違いで、描き分けています。
雌雄一対で飛び、鳴く事で、天下泰平を願っています。
3) 我が国の染付けの絵柄
中国の絵付けが、余白を余す処無く、描かれているのに対し、染付けでは、比較的簡単な文様が
多く、余白を残した描き方をしています。
即ち、木賊(とくさ)文、秋草文、唐草文、蛸唐草文、市松模様、網目文、青海波(せいがいは)、
矢羽文、捻り文などが、多い図柄です。又、和紙染めも我が国特有の、絵付け方法です。
(現在では、安物の陶磁器は、転写紙による、絵付けが主流になっていますが)
4) 青花磁器の終焉
18世紀に成ると、景徳鎮の青花磁器や、五彩磁器は、従来とはまったく別の物になっていきます。
即ち、用いられる顔料は複雑になり、伝統的な上絵の顔料に、ガラス粉末を混ぜ合わせ、微妙な
グラデーションを表現しています。これは、ヨーロッパの無線七宝の技術であり、白と青で表現した
青花磁器から、カラフルな宝石の様な美しい磁器へと、変化していきます。
ここに、青花磁器の時代は、終焉を迎える事に成ります。
5) 青花磁器のコレクション
① トプカプ宮殿の青花磁器コレクション
オスマントルコの首都「イスタンブル」の宮殿には、600年に渡り、収集された青花磁器が、
豊富に(総数20,616点)存在しています。(現在は、宮殿博物館に所蔵)
② トウグルク宮殿の元磁器コレクション
現在のインドの首都デリーに有った、イスラム王朝の、トウグルク宮殿の庭園跡地から、
大量の、青花磁器が出土します。
尚、インドでの伝世品の多くは、大英博物館や、ロックフェラーコレクションに、収められて
います。
③ 大英博物館、アルバート美術館(いずれも、英国)
④ スエーデン国王の中国陶磁コレクション
⑤ ルーブル美術館:フランスの個人のコレクションを、1894年に美術館に寄贈。
後に、ギメ美術館に移管されます。(清朝磁器を中心に、約三千点余り)
・ スイスのジュネーブにある、バウアー・コレクションも、東洋陶磁の屈指のコレクションです。
⑥ アメリカのコレクション
) フリーア・コレクション:ワシントンD・C
中国陶磁器とともに、日本の陶磁器や絵画なども、収集されています。
) ブランデージ・コレクション:サンフランシスコ
20世紀以降の、中国陶磁器が中心で、日本人好みの作品が、多いののも、特徴の一つです。
その他にも、公の美術館や、個人的なコレクションなど、中国陶磁器に関する収集家は、非常に多いです。
以上にて、青花磁器に関する、話を終わります。 次回より、別のテーマで、お話します。
参考資料: 「中国やきもの入門」別冊太陽 (株式会社 平凡社)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます