わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

騙しのテクニック2 古色付け 1 

2014-06-18 17:15:12 | 騙しのテクニック
地球上にいる(又は、ある)あらゆる生物や鉱物は、時の経過とともに一定の法則の下で変化して

行きます。これを経年変化(けいねんへんか)と言います。

1) 経年変化。

 ① 経年変化が起きる理由。

  ) 空気中の酸素に触れ、酸化作用(錆びる事)を受けます。但し酸素は地中や水中にも

    存在しますが、大気中ほど多くはありません。

    身近な例として、鉄に錆び(さび)が発生したり、神社仏閣の銅葺の屋根が緑色に変色

   (酸化)します。古代卑弥呼の時代の鏡も、従来赤銅色であったものが、発掘された時には

    緑青(ろくしょう)を発しています。

  ) 酸素は地中や水中にも存在します。更に地中には、熱水や塩分、硫黄などの酸が存在し、

    鉱物などに変化を与えます。これを風化といいます。地中に長く放置された陶磁器などの

    発掘物も、風化現象を伴うのが普通です。

    川の中では、水流の力により削り取られ、角が丸くなるなど、変形する事もあります。

  ) 太陽の光の影響も多く関係しています。特に紫外線は生物に大きな影響を与え、老ける

    原因になります。紙や布なども紫外線の影響を強く受け変色し、場合によっては「ボロボロ」

    に成る場合も多いです。(美術館でストロボ撮影を禁じているのは、この為です)

  )微生物の影響。

    微生物は空気中よりも、地中の方が多く存在します。腐敗菌を含む多くの微生物は、地中に

    埋もれた生命体を、時間を掛けて分解し土に戻す働をします。

    又、黴(カビ)や昆虫類も、生命体を食料として増殖し、生命体(有機物)を分解します。

    陶磁器類でも、貫入部分から黴が進入し変色させたり、貫入部を破壊する事もある様です。

  ) 茶渋が厚く付いた抹茶茶碗や、貫入に汚れが入った物、口縁の割れや直しの痕など

    長い年月使い込まれたと思われる物、これらを使用痕(しようこん)といい、経年変化の

    一つです。

  上記の様に、「古い物は古く見えます」。 原則的に新作物には、これら経年変化を表す物は、

  出現しません。

 ② 同じ作品であっても、どの様にして世間に出現したかによって、古色の経年変化に差がでます

  ) 伝世品の中には、今窯から出て来たばかりと、見間違える程、経年変化が見られない

    作品もあります。長年大切に扱われ、屋内で保管されていた為、経年変化を逃れた結果です

  ) 真の発掘品の場合には、「自然風化」が見られます。偽者は、「人工風化」がなされます

     尚、自然風化と人工風化については、後日お話します。

 ③ 新作物に、古色を簡単に付ける事が可能です。

   古色を付ける事は、古い物と錯覚を起こさせる為の行為です。その事によりその作品をより

   値打ちの有る様に見せかける事が出来ます。

   又、現代作や贋作を古陶磁器に見せ掛ける溜、骨董の世界では、古色を付ける事は極く普通に

   行われているとの事です。

  ) 古色を付易い物と、やや付け難い焼き物があります。

     古色は陶磁器本体に後から付けた物ですので、本体によって差が出ます。

   a) 付け易い物として、陶器が上げられます。表面に凹凸が在る物、焼きが甘い物、貫入が

     多い物は、比較的古色が付け易いです。

   b) 器(せっき)や磁器は比較的付き難いです。

     注: 器とは、無釉の焼締陶器です。土の色が表面に出て入る為、素地の色なのか、

      古色なのか判別し難いですし、古色を付ける意味も無いかも知れません。

      尚、磁器も高温で焼成されて、貫入はほとんどありません。

  ) 簡単に見破る事の出来る古色付けと、見分けるのが困難な古色付けがあります。

     これらの詳細は順次お話しする予定です。

2) 古色を付ける方法。

以下次回に続きます。
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