わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

青磁1(明器)

2011-08-10 22:44:34 | 各種の釉(鉄、銅、その他)
青磁は、釉が発明(発見)されて以来存在していたと、言われていますが、紀元前14世紀頃の中国(殷)が

起源とされています。(この件については、後でお話します。) 

この青磁(釉)の製造技術は、韓国(高麗)や日本にも伝播して、東洋陶磁史の根幹をなしていました。

中国では、1世紀始~3世紀始にかけて、お盛んに作られる様に成ります。

その用途は、支配階級の王侯貴族が、死後の世界で、日用品として、使用する為で、専用に作られます。

 (但し、現在では、その用途が、不明な形の物も多い様です。)

1) 明器(めいき)とは

 中国では一般庶民の葬儀である、薄葬(はくそう)と、王侯貴族の葬儀である、厚葬(こうそう)が

 有りました。後者は、壮大な墳墓を築き、その福葬品(明器=めいき)として、高価な青銅器や、

 玉(ぎょく)、金銀器を埋葬しました。

 即ち、死後の世も、生前と同様の暮らしをすると考え、墓の中に色々な日常生活品を、持ち込みます。

 その中には、従者や下僕などの人物模型(俑=よう)、馬などの家畜模型、邸宅などの建築模型なども

 有りました。

 ・ 秦始皇帝の有名な兵馬俑は、壮大で膨大な副葬品(明器)の一部で、陶器で作られた人物(兵士)と

   馬の模型です。これも、生前の様子をそのまま、再現したものです。

 時代が下るに従い、高価な青銅器や、金銀製品は、陶磁器で代用される様に成ります。

 地中に於いては、腐食する事も無く、安定的な状態を保持できる、陶磁器が打ってつけで有った為です。

 この埋葬する為に、福葬品として作られた専用の器を、明器(めいき)と言います。

2) 明器は当時の生活様式や、陶磁器の技術水準を伝える、大変重要な資料に成ります。

 各地の墳墓から、保存状態の良い、陶磁器が発掘されます。その中に、高価な青銅器に似せた、

 緑釉等の、低火度の鉛釉陶器や、唐三彩など他、青磁などの陶磁器も出土します。

 明器は「タイムカプセル」とも呼べる性質を持っています。

3) 青磁の発色の原理

 ① 釉薬と胎土に含まれる、微量の鉄分が、還元焔焼成で、発色するものです。

   鉄分の量の多少(1~3%)によって、青~緑色に変化します。

   釉は、木灰が多いと、透明感のある、緑みを帯びた色になり、長石が多いと、透明感が少なくなり、

   青色を帯びると、言われています。

  還元では、酸素不足に成る為、酸化鉄から、酸素を奪い、胎土は青灰色になり、釉も青味を帯びます。

 ② 更に、ルーペなどで、釉を細かく観察すると、気泡や石英などの細かい好物質が、びっしり、

  釉の中に浮かび、これが、乱反射して、青磁独特の色に成ります。

  それ故、光の加減が大きく作用します。強い光や、明るい胎土では、明るい青磁になり、鉄分の多い

  胎土では、黒っぽい色に成ります。

 ③ 釉は自然灰が掛かる事により、発見されます。その為、灰を水に溶かした、灰釉が釉の起源です。

   灰釉は、一般に褐色に成ったり、緑色に発色ます。

   それ故、緑色を呈する青磁は、釉の創世期より、存在していたとも言えます。

 ④ 現在市販されている、青磁釉は顔料を混入した物です。それ故、酸化でも発色します。

   (酸化クロムを主原料にするものと、銅を主原料にする物があります。)

4) 青磁の色にも色々あります。

 
以下次回に続きます。
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