わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

乾燥のメカニズム 2

2010-04-06 22:33:42 | 失敗と対策
「乾燥のメカニズム」の話を続けます。

5) 風(空気の流れ)の影響

  乾燥は、空気中に、水分が蒸発して起こりますが、水を含んだ空気が、新しい空気と、入れ替わる

  速度が、早いほど、乾燥は進みます。

  ① 素地の表面から、水蒸気と成って、水分が逃げ、表面の水分が、少なくなると、内部の水分が、

    表面に移動してきます。

   ) 但し、表面のみが、急激に乾燥すると、内部の水分を、表面に移動させる道(通路)が

      閉ざされ、内部に水分が残り、亀裂や割れが、発生し易いです。

   ) 既にご存知思いますが、水分は乾燥面に向かって、移動するとは、限りません。

      例えば、板物等の片面を、乾燥すると、その裏側が、濡れてきます。水分が乾燥を嫌い、

      反対側に、逃げた状態に成ります。それ故、反対側は、水を吸収しやすい、板や紙の上などに、

      置く必要が有ります。水を吸わない、金属や、プラスチックなどに、置かない事です。

   ) 背の高い作品は、上部から乾燥が始まります。下部は、最後に乾く事に成りますが、

     あたかも、水分が、下に逃げて来た様に、感じられます。多分、重力の影響で、水が下に、

     引かれる事が、あるのかも知れません。

6) 工業的には、湿度乾燥機を使います。

   乾燥には、自然乾燥が、最も良い方法と、言われています。しかし、天候に支配されたり、場所的な

   問題や、人手が掛かる事などで、大量に作る、工業製品では、乾燥機を使う必要が、有ります。

   それ故、肉厚の製品の、亀裂の発生を抑え、出来るだけ早く乾燥させる為に、湿度乾燥機が、

   工業的に使われています。 

 ① 水蒸気を含む空気を、その温度の飽和点まで、送り込みながら、少しづつ、温度を上げて行きます。

   この間、素地は乾燥しません。温度は、50℃~60℃程度です。

 ② 次に、温度を保持したまま、水蒸気の量を、徐々に、少なくし、乾燥を促します。

 ③ 最後に、70℃~80℃程度の、乾燥した空気で、完全に乾燥させます。

 ④ この方法ですと、自然乾燥では、数ヶ月掛かる物が、数日で乾燥する事が、出来ます。

7) 赤外線による乾燥

  特に施釉後の、素地の乾燥に、向いています。 赤外線電球を使い(単数、複数)、素地を万遍なく、

  照らし乾燥させます。自然乾燥で、数時間掛かる物も、数分で乾燥が、完了します。

乾燥の注意点

 ① 自然乾燥の場合、成形した後、しばらくの間は、湿った布を、掛けておくと、安全です。

   成形直後に、太陽に当てると、作品により、亀裂が入る場合が、有ります。

 ② 冬場の厳寒時に、作品が凍る場合が有ります。凍った作品は、必ず亀裂が、入りますので、

   凍らさない様にします。

以下次回に続きます。
  
   
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