2) 化粧土の使い方。
① 化粧土を使うタイミング。
化粧土を使うタイミングによって、「剥がれ」や「ひび割れ」、「作品が壊れる」などの問題が発生し
ますので、どの段階で使ったら良いかが重要な事項に成ります。
化粧土は素地が生乾きの状態で塗る事が一般的な使い方です。完全に乾燥した状態や素焼き
後に使う事も有りますが、素地との密着度に難点があります。
) 生乾きで使う利点。
生乾きとは、高台削り終了直後程度の乾燥具合で、次の装飾などの工程に入る直前の状態
にある乾燥度です。
a) 素地との密着度が良い。
塗った化粧土の水分の一部が素地に吸い込まれ、一体感が出て諸々の問題の発生を
予防してくれます。
b) 化粧土が塗り易い。 素焼きした作品では、急激に素地が水分を吸収する為、化粧土が
伸び難く、塗りに斑(まだら)が起こり易いです。
c) 櫛目や三島、掻き落とし、飛鉋(とびかんな)、墨流しなど、生の状態で行う装飾方法が
出来ます。墨流しの様に、化粧土に流動性が必要な場合がありますが、ほとんどの場合、
上に塗った化粧土の乾燥具合によって、装飾を施す必要があります。
特に「カンナ」を使う搔き落としや飛鉋など、削り作業を行う際には、十分化粧土が乾燥
している必要があります。
) 生乾きで使う時の欠点。
a) 作品が生乾き状態で、水分を吸収すると作品に亀裂が入る恐れが大きいです。
特に、肌理の細かい土を使った作品では、土の粒子の表面積が広く、水分を吸収し易い
為です。 素地が多量に水分を含むと、土は膨張して亀裂が発生します。
b) 乾燥が遅い。
可塑性粘土(木節粘土など)を多く含む化粧土では、水分量も多くなり塗り易くなる反面、
素地への水分の移行が遅れ易く、乾燥に時間を要します。この場合、ドライヤー等で強制的
に乾燥させる事を薦めます。
c) 化粧土を厚く塗れない。
素地が水分を吸収する事で、化粧土が素地の上に載る事になりますので、水分吸収の
少ない生乾きの状態では、どうしても化粧土は厚くなりません。数度に分けて塗り重ねる
必要が出てきます。その際には、前に塗った化粧土が手で触って「べとつく」事が無い程度に
乾燥させてから、塗り重ねます。
) 素焼き後に化粧土を使う。
東南アジア等で行われている方法で、南蛮掛又は安南掛と言います。
a) 素焼き後の利点。
イ) 素焼き後であれば、水分をいくら吸収しても、作品が壊れる事はありません。
但し、生用の化粧土ではなく、素焼用に調合した化粧土を使う必要があります。
ロ) 化粧土を厚く塗れる。
水分の吸収量が大きい事は、化粧土を多く貼り付ける事ができます。
特に粉引(こひき)などの様に、化粧土の泥漿(でいしょう)中に漬ける場合、時間の差
(1~3秒)によって、化粧土の厚さを調整できます。
b) 素焼き後の欠点。
イ) 「剥がれ」や「ピンホール」、「ぶく」が出来易い。
素焼きでは、化粧土の流動性が抑えられます。又、作品の表面に無数の気孔が発生します
流動性が抑えられた化粧土は、上記気孔を埋める前に固まってしまい、気孔内の空気を
閉じ込める事に成ります。その結果「ピンホール」や「ぶく」が発生し易いです。
・ 解決方法として、化粧土を施す直前に、作品を濡らす事です。(水に漬ける、水を掛ける)
濡らす事で、化粧土の水分吸収を抑え、更に、気孔を水で埋める事になります。
以下次回に続きます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます