1) 化粧土を自ら作る際の調合方法。
① 複数の原料を水と共に良く攪拌する。
) 一般に釉と異なり、乳鉢やポットミルで細かく擦る必要はありません。
逆に粒子を細かくすると表面積が増え、水分を多く抱え込み、乾燥収縮を大きくする事に成り
素地との「剥がれ」の原因になります。
・ 但し、後日述べる色化粧土を作る際には、顔料を細かく擦る事により、色の斑(むら)を
無くします。
) 粉末状の原料に水を加えて、良く攪拌し篩(ふるい)に通す。
水の量によって、化粧土の固さに差が出ます。使う方法によって濃度を調整する必要が
あります。 更に、100番程度の篩に通して、塊(だま)が無い様にします。
② 添加剤を加える。
理想的な化粧土の濃度は、水分が少ないにも拘わらず、水っぽく流動性を持つ状態です。
その為には、「水ガラス」等の解膠(かいこう)剤を添加する事です。
) 解膠剤とは、鋳込み成形の際、土を泥漿(でいしょう)状態にする為の添加剤です。
主に水ガラスと呼ばれる、珪酸ソーダ(Na2SiO3)が一般的です。(市販されています)
) 解膠剤の使い方。
a) 化粧土の原料に、少量の水を加え固めの化粧土を作ります。
b) 珪酸ソーダは液体ですから、1滴づつ添加し攪拌しながら軟らかさを確認します。
c) 或る量に達した時、突然スルスルとした流動性を持つ様になります。ここが適量です。
d) その他の解膠剤に、炭酸ソーダ(NaO2CO3)がありますが、珪酸ソーダと組み合わせて
使う事が多いです。(珪酸ソーダ:炭酸ソーダ= 3:1 が一般的)
) 解膠剤使用の利点。
a) 化粧土の伸びが良い為、刷毛(はけ)塗りの際、刷毛の跡が残らない。
但し、刷毛目の装飾には向きません。
b) 均一な厚みの化粧土を塗る事が出来る。
一度塗りで、十分厚みのある化粧土を着ける事が出来ます。
c) 水分が少ない為、乾燥収縮が少なく、「剥離」や「ひび割れ」の恐れが少ない。
d) 粉引(こひき)の様に、作品を泥漿(でいしょう)に漬けても、水分の吸収量が少なく、
作品が壊れる恐れが少なくなります。
e) イッチン(スポイト掛け、筒描き)技法の際、化粧土に流動性が或る為、描き易いです。
) 過度の流動性を抑えるには、食酢を添加する。
解膠剤と反対の働きをする物質を凝膠(ぎょうこう)剤といいます。
一般的には食酢が使われます。一滴づつ添加する事で、流動性が失われて行きます。
固く成り過ぎた場合には、解膠剤を添加しますが、繰り返すとゼラチン状に成り、使えなく
なりますので、少ない回数で調合を終わる様にします。
) 解膠剤が通用しない場合。
赤や黒化粧土の様に、鉄分を多く含む濃い色の化粧土では、解膠剤を加えても機能しない
場合があります。 白化粧土や金属顔料による色化粧に使う事です。
2) 化粧土の使い方。
以下次回に続きます。
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