わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 60 陶磁器の表面装飾方法 2?

2015-01-13 21:59:12 | 素朴な疑問
素焼き前の装飾。

素焼き前の装飾の方法には、大きく分けて「凹ます」「彫る削る」「貼り付ける」「(化粧土)

を塗る」等の方法があります。更に、これらを組み合わせた、複合的な装飾方法が存在します。

1) 凹ます方法。

 ① 代表的な方法は、縄文模様の様に、作品の表面に紋様を付けた物を転がす事です。印花や

  貝殻等を押し付けて、作品の表面にその紋様を転写する方法です。特別な物ではなく、その辺に

  転がっている「石ころ」であっても、物によっては面白い紋様を付ける事が可能です。

 ② 当然作品のどの位置に、紋様を付けるかはその人の美的センスが現れますので、十分考慮して

   から作業に取り掛かる事です。即ち、全面に施すのか、部分的に施すかによって、作品の

   表情は大きく変化します。更に、ある意味一発勝負に成ります。

 ③ 単に施す位置のみでなく、押し付ける力の強弱によっても表情は変わります。

   更に、押し付ける物の種類が増えるに従い、複雑な紋様を付ける事も可能です。

 ④ 縄文を作る。ある程度の太さの水に強い紐さえあればどなたでも、縄文を作る事が出来ます。

  縄文には、紐のみを使い、色々に拠り合わせる事によって紋様を作る方法と、竹などの細い管に

  紐を巻きつけて作る方法があります。前者では紐に柔軟性がある為、湾曲した面にも模様を

  付ける利点がありますが、より強く力を加えないと、転写できませんし、浅く品が十分軟らかい

  場合に可能です。後者の場合には、紐を硬い棒に巻きつけますので柔軟性に乏しく、平らな面に

  模様付けるのに適し、さほど強い力は要りません。

  a) 紐のみで作る縄文にも幾つかの種類があります。即ち、節(こぶ)を持つ物と、持たない

    物です。例えば、無節斜縄文、異条斜縄文、単節斜縄文、複節斜縄文、単節羽状縄文などが

    代表的な名前が付けられています。斜めとは縄文を真横に転がしても、紋様は斜めになると

    言う事です。

  b) 棒に巻き付けられた縄文では、木目状拠糸文などが著明な紋様です。

    その他、どの様に巻き付けるかによって紋様が変化します。

    いずれの紋様も繰り返し紋様と成ります。

 ⑤ 印花文を作る。陶芸材料店でも市販されていますが、粘土を用いて素焼きした、好みの印を

   ご自分で作る事が出来ます。

   a) 多くの場合、凹む印の方が作り易いです。その為には印は凸状に成ります。

     凸状の紋様を作品に残したい場合には、後で述べる貼文の技法の方が容易です。

   b) 文字や動物などの紋様を彫る場合には、左右逆に成りますので、方向に注意が必要です。

    乾燥させた棒状の印材(粘土)に当たりを付けてから、彫刻刀などを用いて紋様が浮き出る

    様に彫り出します。印の角から割れが入り易いですので、必ず角は面取りする必要があり

    ます。軟らかい粘土に試し押しをしてから、素焼きを行います。

  ⑥ 試し押しや、本番での模様付けの際には、型離れをよくする為、作品の表面又は印に片栗粉

    を塗ります。片栗粉は作品の素焼きの際に、消滅しますので、何の問題もありません。

2) 彫る削る方法。

以下次回に続きます。

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素朴な疑問 59 陶磁器の表面装飾方法 1?

2015-01-11 21:59:20 | 素朴な疑問
作品の表面に何らかの装飾を施したいと思うのは、ある程度作品を作る事が出来る人にとっては、

自然な流れです。焼き締め陶器などの、装飾を施さない陶器も魅力ですが、装飾を施した陶器も人気

があります。陶磁器には色々な装飾テクニックが存在し、それらについて、今までも何回か述べて

きましたが、新たに取り上げる事にしました。

1) 表面装飾方法の種類。

 大きく分けて、生の状態で行う方法と、素焼き後に行う方法に分かれます。又、上絵付けの様に

 本焼き後に行う装飾もあります。

 ① 生の状態とは、まだ粘土が軟らかい場合と、ある程度乾燥してから行う場合です。

  ) 軟らかい場合には簡単に、表面を傷付ける事や加工する事ができます。

    即ち、印花紋などの捺印、櫛目などの引っ掻き傷、表面に転がして着ける縄目紋、竹串など

    による渦巻き紋、その他任意の色々な凹凸紋などがあります。更に、他の部品を取り付ける

    などの、複合的な装飾も可能に成ります。

  ) 作業の注意点として。

   a) 十分乾燥していませんので、力を加えると変形し易い事です。

     それ故、背の低い板皿の様な平面的な作品であれば、テーブルの上に置いて作業しますし

     立体的で有れば、裏面より土用具や手で支える必要があります。

   b) 引っ掻くと「バリ」(毛ば立ち)が出易いです。

     櫛目やへら描きなどを行うと、境目に「バリ」が発生します。なるたけ少なくするには、

     作業前に櫛や竹へら等の用具に水を漬け、滑りを良くする事です。又用具と粘土の角度も

     重要です。角度が浅いほど綺麗な線が出易く、直角の方に近づくと、「ばり」が出易く

     なりますので、程よい角度を見出す事です。

     但し、「ばり」が発生しても、素焼き後に「紙やすり」等で取り除く事が出来る場合も

     ありますので、神経質になる必要はありません。

   c) 傷は作品の端面から5mm以上離します。端面まで傷を着けると、そこから「ひびや

     割れ」が発生し易いです。

   d) タタラ(粘土板)で作った作品の肉厚の差によって、彫れる深さが決ります。

     しっかり深く彫り込む程、紋様のメリハリが利きます。但し肉厚の半分ほどの厚みは

     残したい処です。

 ② ある程度乾燥させた後に装飾を施す。

   乾燥が進む程、外部の力による変形は少なくなります。但し土が白くなる程度に乾燥が

   進むと、硬くなり加工が困難に成りますし、粘土の特徴である粘りが少なくなり、「もろさ」

   も発生しますので、加工し易い乾燥度合いが必要です。

  ) やや乾燥した土に装飾を施す為には、刃物などの用具が必要に成ります。

    刃物とは、彫刻刀やカッターナイフ、ドリルの刃などです。主に彫る物や、穴を開ける物等

    の道具類です。

  ) 化粧掛けによる、装飾もこの乾燥具合の時に行います。

    化粧掛けの技法にも色々あります。これらに付いては順次お話する予定です。

 ③ 素焼き後に施す装飾技法。

   素焼き後に行う方法として、釉による各種の装飾方法と、絵付けによる装飾があります。

以下次回に続きます。
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素朴な疑問 58 モザイクとは?

2015-01-08 22:10:53 | 素朴な疑問
モザイクとは、小片を寄せ集めて、床や壁面、舗道などを装飾する技法です。

モザイクの歴史は古く、古代ギリシャの時代に遡るとの事です。その後紀元前4世紀頃にイタリアへ

技法が伝わり、ローマ人により、神々や英雄の肖像がモザイクで表現される様になります。

現在では、小片は陶磁器(セラミック)やガラス製の物が主流ですが、当時は大理石などの綺麗な

石を加工した物(テッセラと言います)が多く使われていました。

現在の著名な使用場所として、有名なデザイナーによる、ロンドンの地下鉄の駅などにあります。

1) タイルとモザイクの違い。

 ① 一般にタイルは正方形、長方形、三角形、六角形など規則的な形であるのに対し、不規則な

  小片をステンドグラスの様に、ぴったり嵌め込む事が特徴に成っています。

 ② タイル自体には絵が描かれている物もありますが、モザイクでは、絵画の点描の様に色違いの

   小片で紋様が構成される事に成ります。即ち、前者が平面的なのに対し、後者はやや立体的に

   なります。

 ③ タイルに描かれた文様は、近くで見ても遠くで見ても、さほど見た目に違いがわかりませんが

   モザイクの場合、近くで見ても絵柄が判然としません。遠く離れた場所から見る事で絵柄が

   認識できる事に成ります。

 ④ 小片が細かい程、絵柄は鮮明に表現できますが、石を削って細かい片が作られるのに対し、

   施釉した細かい陶磁器片を、多数焼成するには、それなりの手間や技術が必要に成ります。

   モザイクの各片が細かい程綺麗な紋様に仕上がります。

2) モザイク紋様を作る方法は、同じ形の小片を組み合わせる方法と、異なる形の小片を繋ぎ

   合わせて作る方法があります。前者であれば、各種の色違いの小片を多数焼いてから、組み

   合わせれば良いのですが、後者の場合、全ての小片で作品を組み合わせてから、再びバラシ

   各小片に担当する色で施釉し、焼成します。その後再度組み立てる事になります。

   施釉した小片がどの様に発色するかは、ある程度偶然性に左右される場合もあります。

   なるべく、安定して発色する釉を使う事になり易いです。

3) タイルに比べ各小片が細かい(小さい)事が多いですので、タイルよりも作業の量は増えます

   更に、細かい小片を焼成するには、窯詰めに工夫が必要に成ります。

   尚、小片の焼成は手間隙が掛かる為、やや大きな陶片を焼成後、適度の大きさにカットして、

   使用する場合もあります。

4) 公共的な建物に、陶壁などが取り付けられているのを見掛けますが、これは大規模なモザイク

   と見る事が出来ます。但し、モザイクよりも各片は格段に巨大で、肉厚で立体的です。

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素朴な疑問 57 タイルの作り方は?

2015-01-07 22:24:19 | 素朴な疑問
陶磁器製のタイルは強固で長持ちし、簡単に作る事が出来ます。

古代ローマでは、テラコッタ製のタイルが理想的な床材として用いられています。これは、床下から

送り込まれる温風を、タイルが蓄熱する効果を利用した物です。

ヨーロパやイスラムの世界では、古くから衛生的で理想的な壁材として使われています。

装飾性を秘めたタイルは、イスラム地域の宮殿やモスク等に大量に使われています。更に、室内を

冷やす効果から、暑い地方の室内に使われていました。

又、耐水性、耐熱性、耐久性、断熱性に優れる為、暖炉や竈(かまど)の周囲や、台所など一般家庭

でも盛んに用いられています。

1) 施釉タイル。

  施釉されたタイルは中東地域で始まったと言われています。インドのムガール王朝、スペインの

  ムーア帝国、トルコのオスマン帝国などに伝わり、宮殿を飾る建築材料として、色々な技法が

  開発されます。16世紀の後半には、最高い水準に達したと言われています。

2) タイルの形。

  無地や単調な文様では、一般的には、正方形の物が多いです。それは、タイルは連続的に隙間

  無く張り合わせますので、繋ぎ合わせの際、隙間が出来ない形にする必要があります。

  中世ヨーロッパでは、紋章をデザインした、装飾タイルが作られる様になります。

  即ち、粘土板に紋様を押印し凹みを付けた後、その凹み部に異なる色の粘土を押し込む方法で

  作っていました。

3) タイルは数十枚~数千枚、場合によっては数万枚のタイルで構成する場合も少なくありません

   それ故、文様は型押しの方法で作られる事が多いです。タイルは現在モルタルを使って接着

   する方法がとられています。それ故、裏面に凹凸を付け糊代を大きくし、接着を強固にする

   必要があります。

4) タイルによる壁面。

 ① オランダタイル: 17世紀オランダの港町、ロッテルダムを中心に作られたタイルです。

   当時のオランダの建築物は、木造から火事に強いレンガ作りへと徐々に変化していました。

   その内装にタイルが適しています。更に、湿潤なオランダでは壁の湿気に強いタイルが叶った

   建築素材でもあります。タイルで室内装飾を施すのは、豊かさの象徴にも成っていて、裕福な

   家庭では盛んに用いられています。

 ② オランダ、タイルの特徴。多様な絵紋様のタイルが作られています。

   百合(ゆり)、葡萄(ぶどう)、石榴(ざくろ)などの植物や、鷺(さぎ)等の鳥類は初期の

   頃に多く、次第にチューリップや風車、帆船などのオランダ風景のタイルが出現します。

   時代を経るに従い、兵士、農民、騎馬人物、女性、子供などの人物像が登場し、市民の日常

   生活は反映した絵模様も登場します。

 ③ スペイン南部の教会などには、装飾タイルを一枚づつ組み合わせ、大きな「貼り絵」の様に

   した壁面も存在しています。

5) タイルの焼成の仕方。

   肉薄の陶板であるタイルは、独特の方法で焼成するとの事です。即ち多量のタイルを一度に

   焼成する為に、横に並べる方法では、上下の棚板の間隔が狭くなり、火(熱)の回りが均一に

   成りません。そこで、斜めに立て掛ける様にして焼成します。

   即ち、タイルが寄り掛かれる窯道具を用意し、狭い隙間を設け等間隔で並べます。この狭い

   隙間に、なるたけ垂直に近い傾斜で寄り掛かけて窯詰めし、焼成します。

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素朴な疑問 56 彫像とは?

2015-01-06 22:37:58 | 素朴な疑問
古来より、手捻りで人物や動物を模し大小の像が作られていました。我が国に於いても土偶や埴輪

などが作られていますが、我が国以外の地方(国々)でも同様な像が作られています。

多くは祭祀の際や、信仰の対象など、宗教的な目的で作られたと思われています。

現在最古の「やきもの」として、3万年以前に焼かれた供犠用の像も有るとの事で、焼成しない像は

それより遥か以前に存在していたと考えられています。但し、焼成していない像は、もろく壊れ易い

為、現在ほとんど見る事はできません。

又、現在でも粘土を片手で握り、目鼻を付けた「握り仏」を作っている方々もいます。

ほとんどの場合、現在では実用的というより、置物として使用されます。

1) 手捻りの技法の特徴。

  粘土で手捻りするには、当然加工し易い土と、適度に乾燥した土が必要です。

 ① 簡単な用具は使いますが、ほとんどは自らの手で作る事ができます。

  それ故、誰でも粘土遊びで、上手下手は別にして、動物などの像を作る事は可能です。

 ② 手捻りでは、微妙に形が歪む為、同じ形の物は出来ません。

 ③ 手捻りで行えるのは、粘土を引っ張る事、他の石や貝、木の葉等を押し付ける事、指や棒で

  突く事や、引っ掻く事、更には、土を丸める事、土を叩く事、両手で捏ね回す事など色々な

  技法があります。これらを複数使い、形や文様を着ける事が出来ます。

 ④ 彫塑は土を加えるながら形を作って行くのが一般的な方法です。

  その為、土を簡単に接合し、強度的にも丈夫にする方法が必要です。

  簡単な方法は、両方の粘土を圧着すれば十分ですが、乾燥の進んだ粘土の場合には、「ドベ」を

  糊代わりにして接着します。その際、接合部分には「ザラツカセル」必要があります。

  例えば、人物像の場合、身体を作り、頭部を載せ、手足を着けるという具合です。

 ⑤ 手捻りは仕上げが大切です。

  手で作った状態では、肌が荒れていますし、顔などの細かい部分の表情も、表現されておらず、

  表面に模様も着いていません。

  ) その像が何を表しているのかを見るには、全体像の他に、顔や手足、尻尾、角などの

    特徴が必要です。

  ) 細かい部分は、主に削り取る事で表現されます。

    現在では、鋭い刃物がありますので、少々乾燥した粘土でも、容易に切り取る事が出来ます

    又、表面に線状の文様や溝を付けて、表面に文様を付ける事も可能です。

  ) 表面を研磨する。

    滑らかな石で表面を撫ぜる事で、荒れた表面を滑らかにし、光沢を出す事もできます。

    又表面を濡れた布や皮で拭く事で、綺麗に仕上げる事も出来ます。

2) 中空(空洞)の作品。

  今まで述べてきた作品は、中心まで粘土で作る方法です。即ち無垢(むく)の作品です。

  しかし、大きな像になると、重くなるし中心まで乾燥しない為、焼成までに長い時間が必要に

  成ります。場合によっては破損します。そこで、中の土を取り除く中空の作品を作る必要が

  あります。

 ① 一度無垢で作った作品を中空にする。

  一般的には、若干乾燥させた作品を二分し、中の土を丸いカンナや、スプーンなどで掻き取り、

  適度の肉厚にします。その後に張り合わせて、元の形に戻します。

 ② バランスに注意。(特に単独で立つ像)

  無垢であった作品も中空にすると、バランスが崩れ不安定に成りますので、必ず確認する事です

  バランスが崩れて自立できない場合には、何らかの補修が必要です。  

 ③ 注意点は、中空であっても、どこか一箇所でも外に通ずる穴を開けておく必要があります。

   これを怠ると、作品が窯の中で爆発し、粉々になってしまいます。

   更に、出来るだけ全ての部分の肉厚を一定にする事です。
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素朴な疑問 55 釉の濃度は?

2015-01-05 21:29:47 | 素朴な疑問
各メーカーで市販されている釉は、推奨されている適度の濃度が指定されているのが普通です。

勿論、最初から水に溶けた状態で、市販されている釉は、そのまま使用する様に調整されています。

但し、少ない量の釉の場合、ポリ容器に入れられていますし、下に沈殿している場合が多く、外に

出すのが容易では無く、その為濃度も変化し易いのが難点にに成っています。

一方、粉末状の釉(1kg、数kg単位など)が多く市販されてもいますし、ご自分で調合する場合も

粉末状態の場合が多いですので、水(冬場ならお湯)を加えて濃度を調整する必要があります。

当然、釉の濃度によって、釉肌や発色具合に差が出ます。

1)適度の釉の濃度とは?

 昔から言われている事に、釉の厚みは葉書一枚程度が良いと言います。即ち、素焼きした素地に

 施釉し、針などで表面を引っ掻き、釉の断面の厚みを見て判断したと言われています。

 ① 粉末状の釉 1kgには、800~1,000ccの水を加えるのが良い量と言われています。

   濃い目にしたい場合には水800cc程度で、1,000cc程度で普通の濃さになります。

 ② 濃度を計測する用具に、ボーメ計と呼ばれる、ガラス製の細長い「釣りの浮き」の様な物が

   有ります。水に溶かした釉の容器の中に投げ込み、垂直に立ったボーメ計のその沈み加減を

   目盛りで読み、濃度を計測する物です。陶芸材料店などで市販されています。

 ③ 一般には、容器の中に手を入れて掻き混ぜた際、手に着いた釉の汚れ具合で判断する事が

   多いです。手の色が判別出来る状態では、薄過ぎです。手に着いた釉が、下方に流れ落ちない

   場合は、濃過ぎです。

 ④ 濃い場合には、水を加えます。薄過ぎた場合は、新たに釉を加える事に成ります。但し後から

   同じ釉を加えるのは面倒ですので、濃度が不明な釉の場合は、予め中の水を取り除き、濃い目

   にしてから水を加えた方がより簡単です。即ち、濃度が不明な場合は、しばらくその釉を

   使っていない事が多く、釉と水が分離していますので、容易に水のみを抜く事が出来ます。

   水を抜いた後、掻き混ぜ濃度を確認する事です。

2) 濃過ぎた場合と、薄過ぎた場合にはどうなるか?

   釉はガラス質ですので、濃い釉では当然ガラス質は厚くなります。即ち、機械的な強度は

   増します。更に、発色具合も濃い目の色に成ります。薄めの場合は、濃い目とは逆の現象に

   成りますし、予想外に発色する事もあります。

 ① 濃過ぎた場合どうなるか?

  ) 志野釉の様に、熔け難い釉の場合には、釉が熔けずに熔け不足に成り易いです。

    釉によっては縮れ、素地から盛り上がった部分と、禿た状態になります。

  ) 結晶釉の様に、流れ易い釉では流れ過ぎて、棚板を汚す場合も珍しくありません。

  ) 釉肌に貫入が入り易い特徴があります。ガラス質が厚い場合、素地との収縮率に差が

    出易く、普通貫入が入らない釉でも、貫入が入り易いです。

 ② 薄過ぎた場合はどうなるか?

  ) ガラス質が薄い為、表面は「ザラツキ」光沢はありません。

  ) どの様な釉でも、極端に釉が薄い場合、茶褐色やオレンジ色になります。

    オレンジ色は素地が白い場合に出易いです。

  ) 乳濁釉が薄い場合、白くならず透明釉の様に成ります。その他の釉でも薄い場合は本来の

    色には成りません。単に色が薄くなるだけでなく、全く異なった色に成る事もあります。

    黒天目釉なども薄い処は茶色に成る場合もあります。尚、冷える温度が遅いと茶色になり

    ます。

 ③ 一つの作品に濃淡を付ける方法で、変化のある釉肌や発色を行う方法もあります。

  勿論、釉の濃淡は、単に釉を二重掛けする事によっても得られます。部分的に二重掛けする事で

  好みの位置に好きな景色を作りだします。但し二重掛けすると、釉の乾燥が遅くなります。

  なるべく濃く塗りたい場合には、一度施釉後乾燥させてから、その上に施釉する事です。

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