わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 200 素地(粘土)に異物を入れる行為とは3?

2015-12-03 21:33:32 | 素朴な疑問
2) 素地に入れる異物の種類。

 ① 顔料を入れる。(色土を作る)

 ② 海砂を入れる。

 ③ 貝殻の微粉末を入れる。

 ④ 骨灰を入れる。

 ⑤ 火山灰や溶岩を入れる。:(以上までが前回の話です)

 ⑥ コーヒーの出からし(カス)を入れる。

  ) HON様より、土鍋に付いての情報(コメント)を頂きましたので、紹介します。

   土鍋は焼成温度が低いので、他の物と一緒に焼けなくて不便との記事を読みましたが、

   鍋を1230度で焼く2つの方法をご紹介します。

  1)コーヒー豆の使用後のカスを目分量の体積比で約10%土に混ぜる。土はバサバサになり

   菊練りがやっかいです。カスは燃えて無くなり土は耐熱性が高まります。

  2) ある程度耐熱性のある土に、より土(道具土)を10%混ぜる。

   私の使っているより土には3~4mmの石粒が入っているので、目開き1mmくらいの篩で

   漉して使います。コーヒ豆よりは練り易いです。

   注) 市販されている土鍋用の土は一般に、焼成温度は、最高1200℃までが推奨温度と詠って

    います。それ以上の温度では、作品が壊れるそうです。

  ) 以上の方法で焼ける理由を考えてみました。

   a)「コーヒーカス」を入れると、素焼き又は本焼きする事で、「カス」は燃え尽き、空洞が

    出来る事になります。HON様はそのまま使うのか、擂り潰して使う(粒子を細かくする)

    かは述べていませんが、当然、空洞(気泡)の大きさも異なります。

   b) 素地の中に気泡が出来る事で、素地の伸び縮みに余裕が出来、高温での「ひびや割れ」に

    対して抵抗が増します。又使用時には気泡は保温効果をもたらします。即ち、暖め難く

    冷め難くする効果をもたらし、気泡を作る事は利点が有ると思われます。    

   c) 種類にもよりますが、石粒は本焼きで膨張するものもあります。特に長石粒は熔けて

    やや透明になり表面に吹き出てきます。この現象は素地を圧縮する働きとなり、「ひびや

    割れ」を防ぐと思われます。

 ⑥ 雑穀や種子などの植物を入れる。

  ) 作品の表面に細かい凹凸を立体的に入れる際、有機物を入れる方法があります。

   即ち、雑穀や種子などの植物を入れる事です。素焼きや本焼きで焼失してしまう物を表面に

   押し込むか、表面に塗る化粧土に混ぜ込み、凹凸感を出します。

   尚、雑穀とは、ひえ、あわ、 きび、大麦、アマランサス、そば、豆(含む場合もある)などを

   いいます。

  ) この季節、南天やピラカンサス、千両、万両などの赤い実が目にとまります。又西瓜や

   かぼちゃ、ひまわり等のやや大型の種、その他、雑草の実なども使う事が出来るかも知れません

   種類によって、その形状も変化しますので、異なった表現が出来るかも知れません。

  ) 籾殻(もみがら)、や蕎麦殻(そばがら)などを利用する事もできます。

  尚、種子などは、十分に乾燥しておく必要があります。即ち、種子の乾燥が不十分な場合、

  窯の中で弾け、作品を壊す恐れもあります。 

  更に、上記の植物は燃焼すると灰になります。植物の灰は釉の原料になり、場合によっては独自の

  色を呈する事もあり、凸凹の周辺に色が着く場合もあります。それ故、燃えカスを無理に取り

  除かずに、そのまま釉を掛けてしまう方法もあります。

 ⑦ 川原や道端で拾ってきた石を入れる。

  )一般には、凸凹した石の表面を押し当て文様を作りますが、小石ややや大きめの石を直接

   埋め込む方法もあります。埋め込みが浅い場合、抜け落ちてしまいますので、ある程度押し

   込む事になります。

   入れた多くの石は高温で焼成しても、ほとんど色も形も変化しませんし、大きさも変化し

   ません。やや光沢が鈍くなる程度です。

 ⑧ 「ビー玉やオハジキ」を入れる。

   以前小学校の授業で、粘土に「ビー玉やオハジキ」を入れた作品の素焼きを依頼された事が

   ありました。楽焼を目的とした作品でしたが、素焼き程度の温度(約750℃前後)では、ほとんど

   変化がありませんでした。より高い800℃以上に成ると熔けて流れるかもしれません。

   尚、ビー玉等はガラス質ですが、陶芸の釉よりもかなり低い温度で熔け、流動性がある物が

   多いです。

以上色々述べてきましたが、素地その物に異質な物を入れる事で、従来に無い焼き肌を作る事が

できます。興味のある方は、色々試すのも良いでしょう。

以上で、「素地(粘土)に異物を入れる行為」の話を終わります。
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