鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

Freezin’---心も凍る『あかいろうそくと人魚(小川未明・著)』

2007-12-15 20:01:49 | Weblog
先週の土曜日に引き続き、今日も夕方から時雨れてきた。

この時期、子供の頃は、クリスマスプレゼントに心を躍らす季節。
5歳前後の頃だけど、『人魚姫』の物語にいたく心酔していたので、本をくれるなら、人魚姫関係の本が欲しいと、リクエストしていた。
アンデルセンの人魚姫の亜流みたいのを求めていたわけですね。
・・・で、親が買ってきてくれたのが、小川未明さんの『あかいろうそくと人魚』。
心も凍る冷たい冷たいホラー・・・。

神社の石段で、おかあさん人魚は、赤ちゃん人魚を産み落とし、赤ちゃん人魚は、町で蝋燭屋さん(だったと思うけど、違うかも?)のおじいさんとおばあさんに拾われて、大切に育てられる。
少女になった人魚の赤ちゃんは、売り物の蝋燭に絵付けをするようになり、これがよく売れるようになった。絵を描く人魚がいるというので、見世物を商売とする香具師達が、大金を積んで、人魚の少女を買いにきた。おじいさんとおばあさんは、最初は、門前払いをしていたけれど、やがて、金額の大きさに、心奪われ、人魚の少女を売ってしまう。少女は、鉄の檻にいれられ、悲しみのあまり、少女は、蝋燭を真っ赤に染める。
その夜、髪をみだした蒼白の顔をした女が蝋燭屋を訪れ、少女が最後に染めた赤い蝋燭を買い求めた。そして海は嵐となり、少女を乗せた船も難破してしまう。
その日から町は、雨が降り続き、やがて、赤い蝋燭が燃え尽きるとともに、廃墟となってしまった。

・・・というお話なんですけど・・・。
5歳の子供にゃ早すぎやしませんかね。人魚モノっていうカテゴリーの選択だったのだろうけれども。
少女人魚が檻に入れられるあたり、胸が痛くなるし、赤い蝋燭は、少女の血なのかもしれないし。

怖いお話ですが、童話です・・・。

今考えれば、おじいさん、おばあさんも老い先短いし、そんな大金必要だったんだろうか?
なんて疑問が湧いてくるし、人知を超えた、異界(人魚)のチカラと或いは、自然現象が、ひとの住んでいる街ひとつ壊滅させてしまうということに、背筋が凍る恐ろしい童話なのである。

さて、モトは、アンデルセンの人魚姫を下敷き?にしているようだけれども、日本でも、人魚伝説って各地であるようだ。
人魚の肉を食べたがために、不死となった『八百比丘尼』伝説とか・・・。

やはり、人魚は、魔物で、不思議な力があるのだろうか・・・。
・・・だったら、やはり、これを食するには、大吟醸のお供が必要だろう。

北国の冷たい海風と暗い暗雲、雷鳴が響きわたり・・・といった中でのsituationが宜しかろうと勝手に妄想する。