鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

女王蜂

2018-09-12 21:17:21 | 自然・気象

曇り空。
すっかり秋のヒンヤリした空気に包まれて。


6月下旬から8月上旬にかけての1か月半・・・スズメバチの営巣に悩まされ、スズメバチの攻防ブログ?と化した時期も過ぎて、このところ、拙宅付近では、スズメバチを見かけることもなくなったようで、安堵している。

そろそろ、新女王蜂の誕生時期であろうから、コレから、新巣を増設することは・・・多分・・・無いとは思うけれど。

それでも、ベランダに出るたびに、大きな巣を掛けられた場所に名残のように残る巣の基の部分をみると、あの攻防を思い出したりする。

スズメバチの生態を調べると(調べるという程、大げさでな事ではないけれど)、蜂のコロニーの生態には、驚かされる。

今頃の時期に誕生するであろうスズメバチの新女王は、これからたったひとりで、越冬し、来年の4月頃、活動を開始するようだ。

たったひとりで・・・。
なかには、越冬に耐えられず、生命を落とす個体も多いことだろうし、無事越冬できても、女王蜂の試練は、まだまだ続く。

無事、越冬を終え、春になると、弱った身体を整え、営巣を始める。

巣の増設、管理、産卵、育児をこなしながら、幼虫に与える虫などの捕獲なども、全部、ひとりで、行う。

誰も手伝ってくれない・・・巣の中の幼虫が、働き蜂として、羽化するまでは、働きづめだ。

幼虫が羽化して、働き蜂が増えると、女王は、産卵に専念する。
身の回りの世話も全て、自分の産んだ娘達が、してくれるようになる。
爆発的に働き蜂が増えてくるのが、梅雨が明けた夏頃から。
(その年の気候や地域の気温差によって、違うようだけれど・・・今年は、梅雨が短かかったので、拙宅には、6月の初旬に第一回目の営巣を始めた)

秋になる迄、誕生するのは、全て、メスの蜂だそうである。

全部、メス。

女王の娘達は、巣の保守増設部隊、外敵への攻撃部隊、幼虫の育児部隊、食糧調達部隊と分業制で、働き続け、キャリアに応じて、各部署への配属が決まる。

そして、羽化後、1か月くらいで、その生命を終わる。

秋になると、巣の中には、数少ないオス蜂が誕生する。
コイツらは、繁殖のためだけに生きるニート達で、姉たちから給餌を受け、巣の中で、ダラダラ過ごす。

そして、いよいよ、新女王蜂になるための幼虫が誕生する。

そんなサイクルのようだ。


昆虫の世界では、メスが一家を束ね、メスが働き・・・人間社会とは、真逆のようである。

昔、美輪明宏さんが、

『男と女じゃ、女の方が、圧倒的に精神が、強いのよ。だから、神様は、女から身体的なチカラを取り上げたのよ。』

とおっしゃっていた。

案外、人間の男性中心の社会のありようが、間違っていて、本来、男性は、生殖以外には、殆ど、必要ないのでは・・・などと思ったりする。



スズメバチの生態を知るにつれて、8年前に亡くなられた漫画家の佐藤史生さんの『心臓のない巨人』という作品を思い出した。

宇宙空間を旅する宇宙船(複合船)は、船母と呼ばれる女性とその妹たちで運営され、外界から王になる男を迎える。
船母と妹たち(シスターズ)は、ひとりの王を分け合い、生まれた女の子から、次代の船母を選び、他の男の兄弟(ブラザーズ)は、子孫を残すことを許されない・・・閉ざされた複合船の昆虫(蜂)の生態のようなシステム・・・そんな話だったと思う。

船母が、女王蜂で、複合船は、蜂のコロニーのようである。

かのSF漫画家の大家である萩尾望都氏の発表した一部の作品は、佐藤史生、花郁悠紀子の作品であるらしい・・・という噂を、最近、聞いた・・・。

佐藤、花郁の両氏は、既にお亡くなりになっているが・・・真偽の程は、わからない。