衆議院が解散した。私が参議院議員の秘書をしていた時も衆議院の解散があり、先輩の秘書から「一度は見ておくといいわよ」と言われ、本会議場へ出向いた。やはり一番驚いたのは、議員たちが一斉に「バンザイ、バンザイ」と叫んだことだ。どうしてなのか、いつからなのか、理由までは分からなかったが、「そういう習慣よ」と教えられた。再会を誓い合って握手している議員もいたが、なんだか試合に出かける子どもたちのようだった。
民主化を求めて街頭占拠を続けていた香港の若者たちが、ピンチに立たされている。デモ当初は多くの市民が若者たちを支持して、差し入れも行なっていた。しかし、2ヶ月以上座り込みが続くのに進展は何もない。学生たちの代表と香港行政府の首脳が、一度話し合ったが平行線のままに終った。若者たちは街頭占拠を続ける以外に有効な戦術はないようだ。占拠を続けていれば、多くの市民が同調してくれると読んでいたのだろうが、今ではこれが裏目になった。
香港の主な産業は観光である。一番多い観光客は中国本土から来る。ところが街頭占拠が影響し、観光客相手の商売が出来なくなり、学生たちを支持していた多くの市民も、長引く占拠で生活が出来ないと不満を表すようになった。民主化要求の横断幕とは別に、「生活を守れ」や「富の格差をなくせ」などの要求を掲げた横断幕も見られるという。誰もが自分の生活を守ろうとするし、貧しい市民は拡大する貧富に腹を立てる。
今日の中日新聞の社説に「香港デモ転機」について、「挫折したわけではない」と見出しにあったけれど、どう見ても挫折だろう。私が高校1年の時、安保闘争が起こり、ものすごくたくさんの人が国会周辺をデモしていた。けれども何も変わらなかった。もちろん「挫折」を経験した人たちによって、思想も文化も深められ、新しいものが構築されていった。私が大学に入った頃は、挫折感に酔いしれた人たちが大学にも社会にもいた。
権力の座に居る人たちはさらに確固たる位置を固めようとする。それでもどこかで何かが少しずつ変わっていく。これは権力でも止めることの出来ない歴史の流れだ。私はひたすらチューリップのための土作りに精を出す。それでもあと何年続けられるかと思ってしまう。