俳優の高倉健さんが83歳でなくなり、テレビ局はこのところ追悼の意味を込めて、高倉さんが主演した映画を放映している。昨夜は高倉さんの最後の作品となった『あなたへ』が、その前の夜は『南極物語』だった。私は2作とも初めの方だけ見て止めてしまった。私の感性が鈍いのか、皆さんが「高倉さんは大俳優」と賞賛するのに、少しもそう感じない。見ていても飽きてしまう。
私は素直さに欠けるのかも知れない。2本とも最後まで観たカミさんは、「あなたの言うように、セリフも演技も一本調子だけど、あの朴訥とした喋りや動作が脇役を引き立てるのよ。引き立てるというよりも、自然体で演技させてしまう、高倉健という人はそういう何かを持っている凄い人だと思ったわ」と、高倉さんの俳優としての重みを熱心に説いてくれた。そうなのか、無口というか、ただ黙って立っているだけで絵になるのは、映画作りには欠かせない俳優ということかも知れない。
日曜日のNHK大河ドラマ『軍師 官兵衛』を見ていて、登場人物の年齢が気になった。本能寺の変は1582年、織田信長は48歳だった。「敵は本能寺にあり」と信長を討った明智光秀は54歳、ならばその後、天下を取った豊臣秀吉はと見ると、信長よりも3歳年下の45歳である。秀吉が恐れていたのに頼りにもしていた徳川家康は39歳で秀吉よりも6歳も若い。主人公の黒田官兵衛はこの時、36歳である。ドラマで黒田や徳川と対立する石田三成は12歳である。
秀吉による朝鮮出兵は10年後の1592年だから、三成はまだ22歳である。それなのに奉行職にあったのだから秀吉の信頼が篤かったのは間違いない。三成はどこで何を学び、どのようにして秀吉の信頼を得ていったのだろう。そしてドラマはいよいよ1600年の関が原の戦いとなるが、この時の年齢は三成が30歳、家康は57歳、官兵衛は54歳である。家康役を寺尾聡さんが演じているが、「本能寺の変」の時、家康は39歳だから66歳の寺尾さんでは違和感があり過ぎた。
『あなたへ』に出演したのは高倉さんが81歳の時、刑務所に勤める高倉さんは余りに年寄りだった。私はどうやら現実感に欠けるドラマが好きではないようだ。ということは、やはり私の個人的な好き嫌いに原因があった。