秋になりました。私は朝からクシャミと鼻水に悩まされているが、議員の皆さんはそんなこと以上に悩ましいことばかりだろう。自民党の二階幹事長の言うように、「当選できなければ何にもならない」し、多数派を形成できなければ「意味がない」のだろう。安倍首相の「28日の臨時国会での冒頭解散」で、衆議院選挙は確実になった。
当選して何を実現するかよりも、まず当選が最優先となる。議会制度は本当に人々の意思を反映する民主主義の形なのだろうか。「議会で提案に拒否しておきながら、自分の政策にしてしまう」と私が愚痴った時、上野千鶴子さんは「政策が実現されるならいいではないか」と言った。確かにその通りだが、政策の前提や方法はよって立つ考え方で違ってくる。
安倍首相は「生産性革命」とか、「人づくり革命」とかを言葉にする。「革命」は古い制度をひっくり返すことだから、「改革」や「革新」よりも強いイメージがある。今や保守も革新もない。ドイツの連邦議会選挙では、絶対に優勢だと言われていたメルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟が第1党を守ったものの議席数は減らした。代わって難民受け入れに反対する右派政党「ドイツのための選択肢」が第3党に躍進した。
中道左派の社会民主党・左派党・「緑の党」は議席を伸ばすことは出来なかった。私はドイツで「緑の党」が誕生した時、将来は政権を握るだろうと予想し、「緑の党」に関する資料を集めた。あれから20年経ても「緑の党」の支持は拡大していない。高校時代に「僕が首相になったら君が幹事長だ」と私に言った友だちは今も、「緑の党」で活躍しているが…。
自民党は議席を減らすだろうが、政権は維持するだろう。「首相指名では公明党の山口代表を推す」と言う小池新党「希望の党」は、次の政権を狙う立場からしばらくは是々非々を繰り返すだろう。結局、選挙の結果はこれが国民の意思ということになる。私の意思とは全く違っていても。