卒業生が訪ねて来た。何年か前に脳卒中に罹り、元気になった今も身体が少し不自由なのに、わざわざ家まで来てくれた。「何歳になった?」と聞くと、「65ですよ。会社勤めの連中もいよいよ退職ですね。自営でやっている連中はまだまだ働かなぁーいかんですけどね」とクラスの仲間の消息を話してくれた。私の教え子たちもみんな還暦を超えたか、その手前くらいの年齢になっている。私が年取るはずだ。
その時、電話が入り、24日の同年の親睦会に「参加するとハガキに書いたが、用事ができたので欠席させて欲しい」と言う。電話の内容を察して彼は、「そういうの、一番困りますよね。私もクラス会の幹事をしていて、欠席の連絡が来るのが一番怖かったです」と言う。それでも「誰にでも事情がありますからね」と寛容なところを示す。みんながクラス会幹事の彼を頼るのは、そんな懐の深さなのだろう。
テレビはすでに、韓国での冬季オリンピック競技を放映している。雪不足と言われていたけれど、競技会場は何とか間にあったようだ。それにしても金正恩委員長の妹まで代表団に加わり、開会式に参列するという。北朝鮮は合同チームに参加するだけでなく、応援団や芸術団も送り込み、「北朝鮮がオリンピックを乗っ取った」とさえ言われている。妹の参加は人質として差し出したということなのかも知れない。
オリンピック報道の中で、NHKテレビ『あさイチ』に作家の瀬戸内寂聴さんが出ていた。95歳というがすこぶる元気だ。「最近の週刊誌は不倫ばかりを取り上げていますが、私も真っ先に読むんですよ。小説の多くは不倫をテーマにしていますから、そんなに大騒ぎすることではありません。きっと、週刊誌の記者も不倫していると思いますね」と笑いを誘った。人はどんな状態でも、「恋愛する時は恋愛する」と言い切る。懐の深い寂聴さんの、最後の小説『いのち』を読んでみたくなった。