80歳の誕生日を迎え、私は本当に幸せ者だと思う。人の幸せは出逢った人に由ると言うが、振り返ってみれば素敵な人ばかりだ。成功も挫折も経験したが、人生を放棄することはなく、己の道を歩んで来た。
私の人生は、10年くらいで転機がやって来たが、いつも誰かと出逢い助けられた。一番似合っていて楽しかったのは、教師と地域新聞を発行していた時だろう。どこに居ても何をしていても、素敵な人に出逢うことが出来て、充実していた。
岸田首相がアメリカの議会で、日米の結束を謳う演説をしていた。日本に居る時は歯切れの悪い岸田首相も、アメリカでは喜々としている。でも私は、日米の結束が軍事同盟の強化に特化されているようで不安だ。
軍事力で平和を実現することは出来ない。日本はまだまだ貧しい国だと、実感する事件があった。東京のデパートで開催されていた「大黄金展」で、純金の茶碗(販売価格1040万円)が盗まれた。容疑者は32歳の男性で、父親とふたり暮らしだった。
男は一人っ子で病弱、定時制高校を卒業し、北海道から上京して働くが長く続かなかった。そこへ父親も上京し、共に暮らし始める。生活は苦しくて、生活保護を受けていた。男は読書好きで、大学も行きたがっていたらしい。
「食事は一日2食、朝は味噌汁とふりかけご飯、外食はせず、贅沢と言えば息子とふたりで、公園をブラブラして花を見ること」と父親は言う。息子は、「新幹線に乗ってみたかった」と話している。
日本に、こんな苦しい生活をしている人がいる。いや、もっと惨めな生活を強いられている人もいるだろう。政治はこうした不幸を無くすことにあるのに、私腹を肥やす政治家が多いことに、怒りが沸き立つ。
なのに私は明日、中学時代の友だちとおしゃべりに出かけて行く。いい仲間との思い出に浸るために。