大府市のどぶろく祭りを見に行ってきた。私は隣の刈谷市の生まれだが、どぶろく祭りを見たのは初めてだ。長草町の天神社の周りには露天商が並び、子どもたちで賑わっていた。神事が始まると異様な格好の大きな鬼が、笛や太鼓に合わせて踊った。
天神様は学問の神様、境内には合格祈願の絵馬があり、筆塚(?)もある。いったい何のお祭りなのかと思い、写真を撮っている男性に尋ねた。「赤鬼は猩々と言いまして、無病息災や疫病退治を叶えてくれます。この名古屋南部では、各地で古くからおこなわれているお祭りですよ」と、教えていただいた。
そうか、鳴海で卒業生が営んでいたデイサービスも、施設名が「猩々」という名だった。真っ赤な顔の大きな鬼の猩々は、子どもたちに追われて大変そうだった。ここで振舞われる「どぶろく」を飲むと、大人は赤い顔の「猩々」になるという訳かと納得して、どぶろくをいただいた。美味しかった。
晩御飯の時、中1の孫娘が横になって、テレビで「クレヨンしんちゃん」を見ていた。母親が「ポテトを食べるか、しんちゃんは見ないか」と娘に迫った。孫娘は「ポテト」と言ったので、テレビは消された。すると孫娘は、「どっちかと聞かれたから、ポテトと答えたのに、どうして消されるの。納得できない」と言い出した。
大人は二者選択を迫ったつもりだったが、中1の孫娘はそのように解釈しなかった。自分の都合の良いように考えただけのことだが、この子も理屈を考えるようになったと感心した。ここはハッキリと、「食事中はテレビは見ない!」と言い渡すべきだった。
母親に文句の矛先がいくのかと思ったら、父親に向かって、「私にスマホを持たせたのはあんなだからね」と言い出す。幼い子を黙らせておくために、私たちの頃はテレビにお守りさせていたが、今の子どもたちはスマホでお守りしてもらっているのだ。学問の神様も、どう対応していいのか苦慮していることだろう。
当時、能(謡)を嗜んでいたこともあり、能の演目から施設名(めでたい名前)に相応しいものはないかと思い、選んだのが『猩猩』でした。たまたまそれが地域に馴染みのある名前であるとわかったのは開設してからのこと。
名前の由来(能の演目名)を説明をするのが難しい時は、祭りに出てくる「猩々」のことを話すことで理解してもらえた覚えがあります。
酒飲みには相応しい名前ですね(笑)