今日はこの冬一番の寒さと予報され、雪が舞う地域もあると言う。遠くに行くことは危険であるばかりか、不要不急の外出は控えるようと言われている。そのためか、カミさんのデートコースの提案はシンプルなものになった。
「初めに、松坂屋で食事をして、『ボタニカル・アート展』を観て、その後、県美術館で『日展』で、どうかな」。県美術館では『パウル・クレー展』も開催中だが、時間があれば観ればいいかと、承知する。
ボタニカル・アートは植物を写生した図録のようなもの。まだ写真が普及する前、イギリスはスペインに勝利し、世界の覇者となった。世界の各地に出かけて行き、いろんな物をかき集めて来た。
そこで必要になったのが、植物を精密に描き伝えることだった。言わば、牧野富太郎さんの植物図鑑の先行である。産業革命で生産力は上がり、初めは農夫を集めて労働させていたが足りなくなって、労働者も世界中から集めた。
そんな背景を知ると、イギリスでなぜ世界中の野菜や果物が栽培されるようになったのかが分かって面白かった。さらに、紅茶は王室から流行したのに、コーヒーは意外にも巷から流行したことも興味深かった。
イギリスのキュー王立植物園が、20万点もの『ボタニカル・アート』を所蔵していることにも驚かされた。先進国は意外にも、古い物を大事に収集している。「古きを温ねて、新しきを知る」のは、世界共通の認識のようだ。
続いて、県美術館で開催中の『日展』を観る。平日でも随分と混み合っている。日本画・洋画と観て回ったが、さすがに秀作ぞろいだ。いつも圧倒される。甥っ子が彫刻の部に出品していたが、いつからか止めてしまった。彫刻では飯が食えないということか。
才能があっても発揮する場がない人もいれば、才能はそこそこでも日の目を見る人もいる。けれど、続けていなければ評価されない。『ボタニカル・アート』の挿絵を描いていた人は、描くことが楽しかったようだ。
風に、雪が舞っている。
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