孫娘が下の子を抱きかかえて、やって来た。「月の一度の安否確認」と言うが、私たちには曾孫の成長が確認出来て嬉しい。下の子は4ケ月になり、とても表情が豊かになって来た。上の子は毎日、保育園に行くのを楽しみにしていると言う。「ふたりとも手間のかからない、いい子に育ってよかったね」とカミさんが言うと、「もう夢中、考えてる暇も無い」と返して来た。
今朝の朝日新聞に、『蛇にピアス』で芥川賞を受賞した金原ひとみさんのエッセイが載っていた。受賞作の表題もよく分からないが、私がビックリしたのは21歳という若さだった。新聞のエッセイによれば、24歳で第1子を産んでいるが、これは配偶者が望んでできた子で、3年後に第2子を産んでいる。
「産後、配偶者は多忙で、赤ん坊は睡眠と授乳以外の時間はほぼ泣いていて、壮絶なワンオペ育児になった。どんな無理も受け入れざるを得なくなるほとんどの母親に対し、外部に存在し、たまに家に片足を突っ込むお手伝いさんのような男親が羨ましく、ほとんど憎んですらいた」。
「産後うつに陥った私は、長女が赤ん坊のころ何度も自殺への衝動に駆られた。理由なき自己嫌悪と責任の重さへの恐怖で正気が保てず、万力で身体中を締め付けられ、バチンと体内のものが飛び散る寸前のところで、今日を乗り越えることだけを繰り返していた」。
孫娘も育児と家事に追われる毎日だろうが、性格がのんびりしているし、同じ子育て世代の友だちがいる。こうしてジジババのところにやって来るから、息抜きは出来ているようだ。金原ひとみさんのような神経の持ち主で無いから、作家には向いていないが、生きていく上では気楽でいいだろう。
金原ひとみさんも「孤立していた私の産後初めての救いは、保育園だった。何時から何時まで責任を持って預かってくれる施設に、私は命を救われた」と書き、「保育士の待遇が悪いことには、憤りを禁じ得ない」とつなぐ。それは「身を粉にして育児をするのが当たり前という世間から女親に向けられる軽視と同じ」という怒りである。
子育ては女親の役目という風潮はまだまだあるようだ。さて、自分はどうだったかと反省する。
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