朝早くに、90歳になる先輩から電話があった。彼は裸一貫から財を得るまで、とにかくi一生懸命で働いてきた。縫製業の会社に丁稚奉公し、結婚して会社を持ち従業員を使う身にまでになった。そして、街をよくしたいと議員になった。私はその時、彼に出会い相談相手を務めてきた。
今は身体を痛めて入院しているけれど、自分の自由になる金を街のために有効に使いたい、その一心でいる。まず、家族の了解が大事だからよく話し合ってとアドバイスしているが、「家族には迷惑かけないから」の一点張りだ。今朝の電話で「女房に、『あんたの金だから自由にすれば』と言ってもらった」と言う。
そこがよく分からない点だが、とりあえずカミさんがそう言ってくれるのなら、彼の願いは一歩前進したといえる。「使い道を何通りか考えておいてくれ」と言うが、お金がいくらなのかも分からないし、現金なのかも定かではない。入院している病院は面会謝絶だと言うので、会って相談することも出来ない。
何とか先輩の気持ちを汲んであげたい。家族の皆さんに、彼の気持ちを伝えてあげたい。このまま退院出来ずに旅立つことがあれば、彼が思い描いてきたことが無になってしまう。先が無いからこそ、自分の思いを実現したいのだろう。相談を受けながら何の役にも立たなかったのではちょっと悔しい。
今日、長女のダンナと孫娘のダンナがテレビを買って、セットしに来てくれた。ふたりとも機械や電気製品に詳しい。テレビは一段と大きくなり、様々な機能を備えている。カミさんは大喜びだが、またまたテレビに縛り付けられることになる。まあ、それでカミさんが満足なら、私はヨシとしよう。