雷が鳴ったと思ったら、凄まじい風が吹き、雨がガラス戸を叩きつける。僅か、10分か15分のことだったが、春の嵐が襲ってきた。変わりやすい天候に「注意して」と、テレビは報じていたけれど、何をどう注意すればよかったのだろう。雨が止んで、東の空に虹が見え、思わず写真を撮った。
今朝の中日新聞の『中日歌壇』に、北名古屋市の歌人・月城龍二さんの作品が載っていた。「マスク外し仕事している同僚の 顔にもやっと慣れてきた夏」。私は毎週、月城さんの作品が載るのを楽しみに待っている。これまでの作品から、50代くらいのサラリーマンかと想像している。
地元の人に尋ねても誰も知らない。謎の人だからこそ気になるが、謎のままの方がロマンがあっていい気もする。同じ紙面の左側に『中日俳壇』がある。その中に面白い句をみつけた。「つなぐ手の 恋ともちがふ 蛍の夜」。わぁー、ロマンチック。
選者の高田正子さんが、「恋ともちがふと否定しつつ、恋の気分を漂わせる憎い句である」と評し、「好意というよりは、危ないからと厚意で手をつながれたのかもしれないが、そのぬくもりがぽっと心に幸福の火を点す」と書いていた。好意・厚意・行為である。
昨日、読み終えた『余命一年、男をかう』(吉川トリコ著 講談社文庫)は、とっても面白かった。私が文学賞の選者なら、間違いなく推す作品である。余命1年を宣告された39歳の女性が、ホストクラブのイケメンでチャラい男を金で買う物語だ。
彼女はとっても節約家で、無駄なことには一切金を使わず、せっせと貯金してマンションまで買った。ところがガンに罹り、チャラ男に「金を貸して」と言われて、1時間1万円で契約してしまう。男はシメシメと思い、女は寂しさが紛れると思う。
それからの展開は、ぜひ読んでみて欲しいのでここには書かないが、男と女の価値観や葛藤、その変化が面白い。こんな作品を書ける人が名古屋には居るんだと感心した。廃刊になった地域新聞の若い女性は、「書くことが好き」な人のようだから、ぜひこの小説を読んで欲しいと思う。
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