重い映画だった。今年、関東大震災から100年ということで、なぜ多くの朝鮮人が殺されてしまったのかを検証する企画がいくつかあった。日本人は過去を忘れやすいのか、見ようとせずに流してしまう傾向が強い気がする。先回観た『リボルバーリリー』は、全くの娯楽映画だったが、今日観た『福田村事件』は、恐怖と涙なしではいられなかった。
『福田村事件』は関東大震災直後に、千葉県の福田村(現在は野田市)で実際に起きた事件である。福田村は東京から近いためか、震災直後に「朝鮮人が火をつけた」とか「井戸に毒を流した」という流言蜚語が巻き起こった。4日には千葉県に緊急勅命による戒厳令が出され、自警団が退役軍人や消防団・青年団などで組織された。
たまたまそこに、香川県から薬の行商団がやって来ていた。香川の言葉が聞き取れないことから、朝鮮人と早合点し、竹ヤリや鍬で襲い掛かって殺してしまう。自警団は200人くらいいたというから、統制が取れず、興奮して次々と行商の人々を殺してしまった。行商団が被差別部落の人だったことも要因だったのかも知れない。
行商団は幾家族かが集まって、薬を売って全国を歩いているようで、幼子もいれば生まれたばかりの赤子もいる。日本人だと分かるが、9人は刺殺され利根川に放り込まれていた。助かったのはそんな妊婦や子どもたちだった。興奮した群衆は何するか分からないという恐怖が伝わってくる。
映画を作った監督は、「映画はエンタメですから、最後はエンタメに仕上げました」と言う。「どこを指すのだろうか?」とカミさんに訊くと、「故郷に帰り、幼友だちの女の子に再会するところじゃーない」と言う。なるほど、あんなに残酷な目に遭ったけれど、ホンワカとして未来があるということかと納得する。
女優たちの大胆な演技もエンタメならではかも知れない。村の男たちの不甲斐無さに満足できないからか、夫以外の男と関係を持つが、小さな村だから人々の周知となるのに、何となく許されてしまうのも、群集心理の反対側にあるような気がした。
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