5歳になる孫娘はピノキオがお気に入りで、我が家に来た時は必ず手にしている。「お部屋の中では靴を脱ぎましょう」となどと言い、接着してある黒の靴を脱がせてしまう。人形がどういう構造になっているのかも気になるようで、首を曲げたり腰を折ったりしている。そんなに腕を回したら両腕をつなぐゴム糸が切れてしまうと思いながら見ていたら、案の定、ピノキオの左手が取れてしまった。
一瞬、アレッ、しまったという顔をしたけれど、慌てる様子もなく、取れてしまった左腕をなめていた。長女から「何でも口に入れてはダメでしょう」と注意が飛ぶと、頃合いを見計らって壊れたピノキオを私のところへ持って来た。「ごめんなさい」ではなく、ぶっきら棒に「これ」と口を尖らしてピノキオを突き出す。私は軽くうなずいて受け取り、「分かった。パパちゃんが治してあげる」と無言で伝えた。
子どもは大人の様子をよく見ている。誰のところにいけばどうしてくれるか、自然と観察しているようだ。それに5歳になる孫娘はかなり頑固で、叱られても決して謝らない。女の子としての可愛さに欠けるように見えるけれど、そこはちゃんと計算できているようなところもある。カミさんが5歳の孫娘用の箸とホークとスプーンを並べた時、「大人と一緒でいい」と言い張る。来年は6歳になるから(翌年なのだが)「学校へ行って勉強する」そうだ。
ピノキオ人形は22年前、友だち家族と初めてイタリアを旅行した時、ピノキオ村へ出かけた友だちが買って来たものだ。ベネチアで彼女が撮ったゴンドラの写真とこのピノキオはイタリア旅行の思い出として居間に飾っておいた。今朝、大事なピノキオの修復に取り掛かった。切れてしまったゴム糸を取り除き、我が家にあった同じようなゴム糸を捜して結びつけ、ボンドで固定してみた。無茶な動かし方をしなければ、これで以前のように遊ぶことは出来るだろう。
人形を直しながら、自分のことなのに「器用貧乏な奴」と笑ってしまった。すると、物入れの奥に、私が設計して80代の長老がクギを打ってくれたパチンコまがいのゲーム台があることを思い出し、この夏祭りで使えないかと思案していた。この発想もどうも貧乏っぽい。金持ちにはなれない性格のようだ。
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