墓石の撤去作業がほぼ終わったので、初恋の人に電話した。「お昼、一緒に食べられない?」と聞くつもりだった。もう何年も会っていない。息子さんの大学進学で相談を受けた後、還暦を過ぎてからだと思うが、「彼女が所属している草木染のグループの作品展があるわよ」と同級生から連絡をもらって見に行った。その時は「やあ」「まあ」という程度の会話しかなかった。
もう今日で見納めだろう、そう思って電話したのに男性が出たので、「ごめんなさい。間違えました」と言ってしまった。ご主人と私は小学校から高校まで同じで、よく知っているだけになぜか慌ててしまった。よほどよくない下心があったのだろう。彼女との昼食を諦め、初めの予定通り叔母の家に行き作業が終わったことを報告した。そして、同級生がやっている喫茶店に行って食事をした時、店のみんながアメリカ大統領選挙の話をしていた。
「トランプが優勢だってね。何とかいう州を取った方が勝ちと言うらしいけどトランプが押さえたらしい」「だったら、トランプが大統領だね」と、巷の喫茶店で高齢者が話題にしている。その時はまさかそんなことにはならないだろう、そう思っていたが、家に帰ってテレビを見ると、「トランプ氏が45代大統領に、ヒラリー氏敗北を認める」と報じていた。「メキシコとの国境に壁を造る」とか「イスラム教徒の入国は許さない」とか、自由の国・アメリカとは思えない真反対な人物が大統領になれるはずがないと勝手に思い込んでいたのだ。
アメリカの常識ある人々も新聞やテレビも、トランプ氏は大統領になるような人物ではないと表明していた。それでもトランプ氏が勝利したのはそれだけアメリカは病んでいるということだ。世界中で今、トランプ氏のように「強い国」が主張されてきている。私が撤去を決意した墓石は戦争で亡くなった叔父を弔ったものだ。墓地の立派な墓石にはみな戦死した人の名が刻まれている。70年も経つと墓を守る親族もいなくなるが‥。
明日と明後日は旅行のためブログを休みます。
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