友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

村上春樹氏は大学紛争の中で何を感じていたのだろう

2022年02月02日 17時38分41秒 | Weblog

 NHKのBS『アナザーストリー』が昨夜、村上春樹氏を取り上げていた。次女のダンナから村上氏の『ノルウェーの森』を聞き、買ったものの書棚に並べたままになっていたことを思い出した。読んでみようとなぜ思わなかったのだろう。そう思って書棚から取り出し、読み始めた。

 ノーベル賞が話題になるといつも村上氏の名前が挙がるのに、受賞されることが無い。これも不思議だが、友だちに言わせると、「翻訳が多いからではないか」ということらしい。『ノルウェーの森』は初期の作品だが、若者たちの間で人気となったのはどうしてなのだろう。

 村上氏は1968年に早稲田大学に入学し、1975年に卒業しているから7年も在籍したことになるが、在学中に結婚しジャズ喫茶店を営み、そのカウンターで物を書いていたとある。この時期の各大学は、全共闘が盛んにバリケード封鎖を行なっていた。1969年の1月には東大の安田講堂事件が起きている。

 名古屋の旭丘高校から1972年早稲田大学に進学し、朝日新聞の記者だった樋田毅氏は『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』を著し、昨年、『彼は早稲田で死んだ』を出版したがこれを読むと、当時の早稲田は新左翼のセクトが激しく対立し、殺し合いにまでなっていた様子がよく分かる。

 村上春樹氏はそんな大学に嫌気がさして、ジャズ喫茶店に入り浸るを通り越してしまったのだろうか。荒れた学園の醜い争いの中で、何か感じるものは無かったのだろうか。小説の中から読み取ろうとしてみたけれど、まだ何も見つからない。

 池上彰氏と佐藤優氏による『激動日本左翼史』第2巻は実に面白い。学生運動の高揚とそれに従ってセクトが分裂を繰り返し、さらにそれ故に過激化していった歴史がよく分かる。「より過激なほうがより正しくなる」がために、「閉ざされた空間、人間関係の中で同じ理論集団が議論していれば、より過激になっていく」。なるほどである。


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