友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

戦争を全く知らない世代

2008年12月13日 23時22分27秒 | Weblog
 先ごろ、『週刊新潮』を喫茶店で読む機会があった。田母神元航空幕僚長の論文について、小説家の渡辺淳一氏が「戦争のことを知らない」人だと書いていた。私は昭和19年生まれだから、戦争のことは全く知らないし、戦後の苦しい時代もほとんど覚えていない。田母神元航空幕僚長は昭和23年生まれというから、もっと知らない団塊世代である。しかも福島県の出身であるから、質実剛健の風土に育ったのだろう。

 田母神の姓は福島県では由緒ある名前なのかもしれない。坂上田村麻呂が蝦夷征伐に出かけたことから名前がつけられたとも言われているから、かなり古くからある名前かも知れない。とはいえ、田母神元航空幕僚長は昭和23年生まれであるから、戦争のことは全く知らないし、おそらくボンボンで育ってきたのではないかと、あの言動から推測してしまう。そうでなければ、防衛大学に進んだのだから、明治以来の政府に対する反逆心というか、時の政府に取って代わろうとする会津に残る野心があったのかもしれない。

 渡辺淳一氏は北海道生まれだが、幼い時に目の前で朝鮮から連れてこられた「朝鮮人がどんな目にあったのか」を見ている。私も小学生の時、友だちの家で、その子の父親が満州から持ち帰ったという写真を見たことがある。その写真は、「馬賊」という中国人を日本の兵隊が日本刀で打ち首にしているものだった。打ち首にされた中国人の首が縄で括られてつるされている写真もあった。

 また、帰還した人から日本の兵隊が中国でどんなに悪いことをしたか、自慢げに話してくれたことを聞いたこともある。レイプは当たり前のように行なわれたし、中国人を殺すことも当たり前のように行なわれていたとその時に聞いた。これは推測だが、そうしなければ部隊の仲間からつまはじきにされるのを恐れたのではないかと思う。人は究極に立たされた時、どうするかで人の品格が決まるが、自分の命がかかれば野獣になることもヨシとしたのだろう。

 田母神元航空幕僚長はそうした地獄を見ていないし、想像する能力にも欠けているから、平気で「そうした残虐行為を見た人はほとんどいない」などと言えるのだろう。日本の軍隊が悪いことをしたというのでは、「国のために頑張る自衛官になれない」と、歴史を無視した言葉を放つのだろう。挙句の果てに、「自虐史観では日本の国が悪くなるばかりだ」と言うのは、流された血や多くの人々の死を全く省みないからだと思う。

 食糧が届かない戦地では、人の肉をも食べたと言う。満洲では自分が生き残るために子どもを捨ててきたと言う。そういう事実に向かわずに、机の上での作戦しか考えない人は人の幸せなどは考えることは出来ないだろう。人の幸せを考えられない人に防衛など語る資格など本当はないのだ。
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