NHKテレビの朝ドラ『スカーレット』を見ていて、主人公の喜美子と八郎の会話が成り立たなくなっていたので、「この夫婦は離婚した方がいい」と思っていたら、とうとう八郎が家を出て行ってしまった。八郎が会社を辞めて、陶芸家として自立して、喜美子も一緒に陶芸に打ち込むようになった時、なんとなく胸騒ぎがした。
私の教え子に、同じ生業同士で結婚した子がいる。結婚当初は互いに切磋琢磨しているように見えたが、しばらくすると男が荒れるようになった。女の方がセンスがよかったのだ。このふたりは離婚することはなかったが、同じ仕事をしていると優劣がハッキリして、片方がいたたまれなくなるのだ。
「夫婦で同じ趣味を持たない方がいい」と言う人もいる。喜美子と八郎のように、夫婦ノートを書き綴ってきた仲良しでも、考え方や価値観、気遣うところも違ってくる。八郎は若い女の弟子とは何でも話せたから、喜美子との違いがますます大きくなっていった。
「夫婦は難しいね」と先輩に言うと、「歳を重ねるともっと難しくなる。だいたい、相手が理解してくれる、受け入れてくれると思うことが間違っている。人間は決して相手のことなど分からない。理解できないと思えば、ケンカにはならない。求め過ぎるから不満が貯まる。夫婦でも親子でも全く同じだ」と説教されてしまった。
なるほど、人は理解し合えないものなのか。そう思えば腹も立たないし、不満も生まれない。ちょっと寂しい気がするが、だからこそ気遣いというか、思いやりが大切なのだろう。やっぱり長く生きている人は人生から学ぶものが違う。
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