【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

郭至卿著「凝光初現』

2019年10月10日 21時59分55秒 | 句集序文・跋文
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!

〜二行俳句の個人句集〜

◯華文俳句句集第二
〔華文俳句叢書2〕

書名:『凝光初現』
副標題:華文俳句集

著者:郭至卿 Kuo Chih Ching
発行2019.10

序一 永田満徳 日文

日本の「俳句大学」の国際俳句学部が提唱している「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句の華文圏初めての個人句集『凝光乍現』が台湾で出版されたことは大変喜ばしいことである。
俳句は日本の伝統的な詩の一つである。今では世界各地でそれぞれの言葉で書かれている国際的な文学形式である。しかし、三行書きにしただけの俳句は形式のみで、俳句の美学を表現しているとは思えない。それは俳句の型と俳句の特色に対する共通認識がないからである。
そこで、日本俳句の大切な美学である「切れ」と「取り合わせ」の二行書きの俳句を提唱し、華文圏での俳句の発展に寄与するため、私は顧問および作者として洪郁芬、郭至卿、趙紹球、吳衛峰と共に2018年12月に台北で《華文俳句選》を出版した。さらに2018年12月4日に創立した「華文俳句社」の顧問になり、華文俳句のさらなる進展を図ってきた。
郭至卿氏が句集『凝光乍現』を出版することは「華文俳句社」の顧問として楽しみである。なぜならば、この句集によって、「切れ一つ」と「取り合わせ」の俳句の美学に対する理解が深まり、絶句(漢詩)、現代詩、短詩、散文詩などの様々なジャンルを持つ華文詩の中で、華文俳句の定着と広まりがより一層華文詩界を豊かにすることが期待されるからである。 
私が初めて郭至卿氏に注目した華文俳句は「女子の銀鈴のような笑い声/春野原」である。郭至卿氏はこの評価によって励まされ、それ以来華文俳句を書き続けて、試行錯誤の中、季語一つで瞬間の感動を書き留める俳句の奥深さがだんだん分かってきたという。
郭至卿氏は本句集に収録されている「詩人の筆は止まらない/春の潮」や「星月夜/探検家の小説を読む」の秀句にも見受けられるように、大変な読書家で、文学的素養と才能は飛び抜けている。例えば、「くまがわ春秋」に取り上げた句を紹介してみよう。
「雷鳴一つ/通信簿の赤字」は雷の時に成績をつける情景であろう。雷の光と通信簿の赤が素晴らしい色の対比を成している。
「杖で立つ老人/北風吹く」は「老人」と「北風」とは直接的には無関係かもしれない。しかし、寒い北風に抗うように、杖一本を突いている老人の凛とした態度が感じ取れる。
「春の光/額縁のなき風景画」は「春光」はここでは「春のまばゆく、柔らかな光」のこと。「額縁なき」という措辞に、見渡す限り広々とした野山の美しい春景色が描き出されている。
「雷鳴一つ」の句は色の「対比」が見事である。また、「杖で立つ老人」は「老人」と「北風」とを即かず離れず取り合わせている。さらに「春の光」の句は俳句の技巧である「写生」が効いている。いずれも、「切れ」と「取り合わせ」を用いていて、日本の俳句に勝るとも劣らない句ばかりである。
最後に心惹かれる句を取り上げておきたい。

窓外に溢れんばかりの藤
恋愛小説

岸辺の老人は釣竿を振る
水温む

春の雨
シリーズの恋愛小説を読む

遠雷
サスペンスの終わり

午後の居眠り
チリリンとアイスクリームワゴン

星月夜
探検家の小説を読む

驚嘆符の台北一〇一ビル
秋の空

秋の海
車椅子で遠方を見る老人

寒日和
救援隊のお知らせ

寒波来る
第二次大戦の記念碑

令和元年七月吉日
永田満徳

日本俳句協会副会長、日本俳句大学学長、俳人

永田満徳氏プロフィール:
日本俳句協会副会長、俳人協会熊本県支部長、俳人協会幹事、「未来図」同人、「火神」編集長。恩師の紹介で俳句を始めて30年、現在に至る。
文学研究では三島由紀夫や夏目漱石の俳句などの論考がある。
句集に『寒祭』(文學の森) 共著に『漱石熊本百句』(創風出版)『新くまもと歳時記』(熊本日日新聞社)。


序一 永田満徳 中文

相同於日本「俳句大學」的國際學部,以提倡「切」與「兩項對照組合」的二行華文俳句個人詩集「凝光初現」的台灣出版是值得慶賀的。
俳句原是日本的傳統詩型之一,現已跨越日文藩籬,在世界各地以不同的語言書寫,儼然成為國際性的文學型式。然而,綜觀國際俳句的實況便可以理解,大部分的國際俳句都寫成三行,卻無表現俳句美學的實質內容。這是因為國際俳句對於俳句的形式與特色沒有達成共識所致。
為了於華文圈提倡俳句的本質「切」與「兩項對照組合」,並推廣俳句,我擔當顧問及作者參與洪郁芬、郭至卿、趙紹球、吳衛峰於2018年12月《華文俳句選》的出版。除此之外,也擔當成立於2018年12月4日的「華文俳句社」的顧問,力圖華文俳句的推廣與發展。
身為「華文俳句社」的顧問,我相當樂見郭至卿出版《凝光初現》俳句集。希望此俳句集的出版能讓讀者更理解「切」與「兩項對照組合」的俳句美學,並期望華文俳句能與古典詩、現代詩、小詩、散文詩等齊聚一堂共同豐富華文詩壇。
第一次認識郭至卿,是藉由她寫的俳句「女孩銀鈴的笑聲/春天的花園」。我給她的評語是「好俳句」。她似乎因此得到激勵,加入書寫俳句的行列。在不斷嚐試的過程,似乎愈來愈能體會俳句使用一個季語來補捉生活瞬間感動的奧妙。
從這本俳句集的內容,如「詩人執筆的手不停啊!/春潮」或是「星月夜/閱讀探險家的小說」等優秀的俳句可窺見,她喜愛閱讀,並有出眾的文學素養和才華。我於此介紹幾首至卿刊登於熊本月刊誌的俳句。
「一聲雷/成績單上的紅字」大概是打雷時登記成績單的景象。雷的光和成績單的紅色形成很棒的色彩對比。
「拄著柺杖的老人 /聽北風 」 乍看之下,「老人」與「北風」似乎沒有直接的關聯。
雖然如此,我們仍然能感受到老人拄著拐杖,彷彿是在對抗寒冷的北風而凛然站立的態度。
「春光/未加框的風景畫」的春光於此處意味著「春天耀眼、柔和的光」。使用措辭「未加框」,清楚描繪了春天一望無垠、日麗風清的山野景觀。
「一聲雷」的色彩對比相當出色。「拄著柺杖的老人」的俳句中,「老人」與「北風」有不即不離、恰到好處的關係。「春光」的俳句使用「寫生」的技巧。這些俳句都使用「切」與「兩樣對照組合」,皆是相較於日本俳句有過之而不及的佳作。
最後於此列舉幾首我心所慕的俳句:

窗外盛開的紫藤
愛情小說

坐岸邊的老人揮釣桿
水亦暖

春雨
閱讀連載的愛情小說

遠方的雷聲
懸疑小說的結局

午後打盹
冰淇淋車的鈴噹聲

星月夜
閱讀探險家的小說

驚嘆號的台北101大樓
秋日高空

秋天的海
輪椅上望向遠方的老人

寒晴
救援隊傳來的消息

寒流至
二次大戰的紀念碑


令和元年七月吉日
永田満徳

日本俳句協會副會長、日本俳句大學校長、俳人
永田満徳先生簡歷:

日本俳句協會副會長、俳人協會熊本縣分部長、日本俳人協會幹事、雜誌《未來圖》同人、雜誌《火神》總編輯。由恩師引領開始創作俳句30年至今。
在文學研究方面,著有對三島由紀夫和夏目漱石俳句的論考。
著有《寒祭》(文學の森),《漱石熊本百句》(合著,創風出版)、《新くまもと歳時記》(合著,熊本日日新聞社)。


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