【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜季語で一句 Ⅵ〜

2021年01月16日 17時06分47秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

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〜季語で一句 ⑭〜

 

◆『くまがわ春秋』1月号が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。

 (info@hitoyoshi.co.jp ☎0966-23-3759)

 

 

「くまがわ春秋」

【季語で一句】(R3・1月号)

永田満徳選評・野島正則季語説明

 

冬の星(ふゆのほし)   「冬-天文」

江口秋子

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「もう寝るね」からのおしやべり冬銀河

【永田満徳評】

「寝る」と言いながら、なかなか寝ない幼児の仕草には「咳の子のなぞなぞあそびきりもなや 中村汀女」ようで、かわいくもあり、おかしくもある。「冬銀河」がやさしく、この親子を包んでいる感じもいい。

【季語の説明】

冬は一年中でもっとも星空がきれいな季節。その理由は明るい一等星が多いこと、さまざまな色の星が見えること、肉眼でも見える星雲や星団があることなどが挙げられる。19時ごろからもう夜空が暗く、また上空の空気の流れが強いので、美しく鮮やかにまたたいて、より星空の印象が強いのが「冬の星」である。

 

 

クリスマス(くりすます)  「冬-行事」

中野千秋 

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それらしきものを吊るして聖樹とす

【永田満徳評】

クリスマスがやってくると、日本人でも浮かれた気分になる。掲句はクリスマスのムードに惹かれて、「それらしきもの」を「吊」ったり、飾ったりしたくなる日本人のお祭り騒ぎの好きな気持をよく表している。

【季語の説明】

「クリスマス」は12月25日。イエス・キリストの生誕日を祝う行事。12月24日のクリスマス・イブは現代ではクリスマスの前夜ということになるが、ユダヤの暦では日没から一日が始まったため、元々クリスマスはイブから始まっていたそうである。キリストの生誕日が正確にいつであったかは分からない。

 

 

大工原一彦

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危険物シール貼られて河豚届く

【永田満徳評】

食べるとなると、中毒で死にたくないので、身構えるのだが、美味いものは食べたくなるのが人情。 掲句は「危険物」扱いであればあるほど、高く、美味しく思えてくる「河豚」の特性をうまく表現している。  【季語の説明】

「河豚」は硬骨魚目フグ科の海漁の総称。鰭と口が小さく、歯が鋭い。水面で攻撃されると空気を吸込んで腹部を膨らますものが多い。日本では縄文時代から食されていたと考えられる。淡泊で美味。てっちり(河豚ちり)は冬のごちそうである。虎河豚はフグ毒を持つため、調理をするには免許が必要である。

コメント
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