【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

国際俳句〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2022年5月号〜

2022年04月29日 01時46分43秒 | 「俳句界」今月の秀句

俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!

〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2022年5月号〜

注目記事:『ウクライナ特集】(今月の秀句より)
 
◆俳句総合誌『俳句界』2022年5月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

The May issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the May issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published. 
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata. 
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.

Mai aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L Mai de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata. 
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.


Haiku Column(俳句大学)今月の秀句(「俳句界」R4.5月号)

【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】  
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)


Agnese Giallongo (Italy)

lucciole -
una speranza per l' Ucraina tutta al buio
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
La luce della 'houtaru' (lucciola) è anche destinata a portare fortuna. La lucciola che brilla nel "buio" del cambiamento forzato dello status quo da parte della Russia è la stessa "speranza dell'Ucraina". È una frase che risuona in tutto il mondo, poiché esprime la speranza che il disastroso campo di battaglia causato dall'invasione russa dell'Ucraina sia portato a termine il più presto possibile.

アグネーゼ ジアロンゴ (イタリア)

ほうたるや闇にウクライナの希望 
〔永田満徳評〕
「ほうたる」(螢)の光は幸運を呼び寄せる意味もある。ロシアの力による現状変更を強引に進める「闇」の中で光る螢は「ウクライナの希望」そのものである。ロシア軍のウクライナ侵攻による悲惨な戦場の様子を見るにつけ、一刻も早く終息してほしいと願う気持が込められていて、世界の共感を呼ぶ句である。。


Olfa Kchouk Bouhadida( Tunisia)

tulipes noires ~
la nature en deuil à Kiev
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Kiev est la capitale de l'Ukraine. L'Ukraine est un pays de plaines, de steppes et de plateaux fertiles, traversé par les fleuves Dnepr, Donets et Dniester, et riche en nature. La Tulipe noire représente la tragédie de l'invasion russe en Ukraine, et la phrase "La nature de Kiev est en deuil" est profondément émouvante.

オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)

黒きチューリップキエフの自然は喪に服す 
〔永田満徳評〕
「キエフ」はウクライナの首都。ウクライナの国土は肥沃な平原、草原、高原で占められ、ドニエプル川、ドネツ川、ドニエステル川が横切っており、自然豊かである。「黒きチューリップ」がロシア軍のウクライナ侵攻による悲劇を代弁していて、「キエフの自然は喪に服す」という措辞は深い感銘を与える。



Angela Giordano (Italy)

urban warfare ...
a daisy blossoms inside a crack
guerriglia urbana...
una margherita sboccia dentro una crepa
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
'Urban warfare' leaves cities in ruins. Strategic bombing of cities is followed by civilian casualties. Russian forces attack indiscriminately in various parts of the country, even involving large numbers of civilians. The poem touches the reader's heart by comparing the Ukrainian people to the 'hina chrysanthemum', which is treated as a weed in Europe, and by expressing the feeling that one cannot help but wish for a strong recovery.

アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)

市街戦亀裂より咲く雛菊よ  
〔永田満徳評〕
「市街戦」は都市を廃墟同然にする。都市への戦略爆撃に次いで、市民への被害を発生させる。ロシア軍は大勢の民間人を巻き込むこともいとわず各地で無差別に攻撃している。ヨーロッパでは雑草扱いの「雛菊」にウクライナの人々をなぞらえ、力強い復興を願わずにはいられない気持を詠んでいて、読む者の心を打つ。


【今月の季語(Kigo of this month】        

(Facebook「Haiku Column」より)


Gabriella De Masi (Italy)

ucraina -
la primavera esplode tra le macerie
ガブリエラ デ マシ (イタリア)

ウクライナ春は瓦礫に爆発す

Paul Callus(Malta)

sunflowers of hope -
a nation oppressed but not subdued
ポール カルス(マルタ)

向日葵や屈服をせぬ国のある  

Carmen Baschieri(Italy)

ghiaccio sottile
la pace sulla Terra un'utopia

thin ice
peace on earth is a utopia
カルメン バシエリ(イタリア)

薄氷や平和といふはユートピア 

Feten Fourti (Tunisia)

sale cette guerre
boue de printemps
フテン フルティ(チュニジア)

春の泥汚き戦争ありにけり 

Nuky Kristijno (Indonesia)

not a single butterfly in sight
cry of war
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)

戦争や蝶の一つも見当たらず  

Imelda Senn(Switzerland)

bourgeons de printemps
les discussions politiques n'ont point porté de fruits
イメルダ セン(スイス)

実りなき政治論争木の芽張る 

Rachida Jerbi(Tunisia)

matin de printemps ~
les mimosas explosent les bombes aussi
ラチダ ジェルビ(チュニジア)

爆弾もミモザも爆発春あけぼの 

Mudher Iraqman(Iraq)

tambours de guerre -
les oiseaux gazouillent pour le vide

ムドハー イラクマン(イラク)

戦争の太鼓や虚しき囀り 

 

【今月の季語(Kigo of this month)】 

 

【 朧月 おぼろづき oborozuki / hazy moon / lune voilée 】
Hervé Jayol (France)

lune voilée
nuit effrayante dans la forêt des pins noirs
エルベ ジャヨル(フランス)

朧月黒松の森の夜の怖さ  

Christina Chin(Malaysia)

hazy moon
my footsteps and I
クリスティーナ チン(マレーシア)

自らの足音連れて朧月 

【 バレンタインデー ばれんたいんでー  barentainde(-) / Valentine’s Day / la Saint-Valentin 】
Nuky Kristijno(Indonesia)

sealed with red lipstick lips
my Valentine’s card for you
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)

封印の口紅バレンタインカード 

Souad Hajri(Tunisia)

Saint-Valentin ~
coeurs rouges sur vitrines enfarinées
スアド ハジリ(チュニジア)

バレンタインデー真つ白き窓に赤きハート   

【燕来る  つばめくる tsubamekuru / swallow coming / hirondelle retour 】
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)

rrivée de l'hirondelle ~
la maison au bord de mer attend la famille
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)

燕来る浜辺の家は家族待ち

Cello Muse(France)

lettre parfumée de l'amoureuse ~
hirondelles dans le ciel
セロ ミュゼ(フランス)

燕来る香りの付きしラブレター 

【薔薇の芽 ばらのめ baranome / bud of rose / bouton de rose 】
タンポポ 亜仁寿(Indonesia)

rosebud
baby's hand slowly opens
タンポポ 亜仁寿(インドネシア)

薔薇の芽やゆつくり開く赤子の手

Rina Darsa(Indonesia)

bud of rose
a baby clenching fist while sleeping
リナ ダルサ(インドネシア)

薔薇の芽やこぶしを握り眠る嬰


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