先日、茂木信太郎著「食の社会史/兵食からチェーンレストランへ」2019年1月25日曜、創成社刊)を読み終え、印象に残った部分を抜き書きしてみました。12回に分けて投稿させていただきます。

28〜29ページに、陸軍の軍医であった森林太郎(鴎外)は、兵隊さんたちの食事をどうするのかについて詳しく分析し、海軍の洋食に対して陸軍は日本食を採用する理由を明らかにしています。文豪の書く起案書は、とても説得力がありますね。
具体的には----
陸軍の兵士数が200,000人、海軍は40分の1の5,000人ということがある。日本の農業生産高が麦類で1,634,000トンであり、牛肉は14,160トン。200,000人の兵食にパンを供給するとなると46,000トンの麦が必要。これは供給上問題がないが、牛肉を供給しようとすると14,976トン必要になり、日本の供給量を全て陸軍に振り向けても届かない。調理法にも問題が大きい。日本の現状ではパン焼きのカマも少なく大軍の行く先にてカマを製造することも困難、またパンは嵩が大きくて運搬に不都合で、乾燥したりカビが生えたりしてロスが大きい。一方海軍は軍艦内に調理施設を保有整備しうるし、食材の調達も停泊先で容易にできる。経費の点でも陸軍の兵食経費は1日米6合で3銭2厘7毛、副食代6銭で合計9銭2厘7毛。洋食を採用すれば牛肉のみで9銭5毛となり、大幅な予算超過になる。(つづく)

28〜29ページに、陸軍の軍医であった森林太郎(鴎外)は、兵隊さんたちの食事をどうするのかについて詳しく分析し、海軍の洋食に対して陸軍は日本食を採用する理由を明らかにしています。文豪の書く起案書は、とても説得力がありますね。
具体的には----
陸軍の兵士数が200,000人、海軍は40分の1の5,000人ということがある。日本の農業生産高が麦類で1,634,000トンであり、牛肉は14,160トン。200,000人の兵食にパンを供給するとなると46,000トンの麦が必要。これは供給上問題がないが、牛肉を供給しようとすると14,976トン必要になり、日本の供給量を全て陸軍に振り向けても届かない。調理法にも問題が大きい。日本の現状ではパン焼きのカマも少なく大軍の行く先にてカマを製造することも困難、またパンは嵩が大きくて運搬に不都合で、乾燥したりカビが生えたりしてロスが大きい。一方海軍は軍艦内に調理施設を保有整備しうるし、食材の調達も停泊先で容易にできる。経費の点でも陸軍の兵食経費は1日米6合で3銭2厘7毛、副食代6銭で合計9銭2厘7毛。洋食を採用すれば牛肉のみで9銭5毛となり、大幅な予算超過になる。(つづく)