前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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盛況だった後期高齢者医療シンポ

2010年05月23日 | Weblog
    昨日は、午前中は訪問活動、午後は後期高齢者医療シンポ、夕方は街頭宣伝、夜は地域訪問活動でした。山田かずおさん、西村きみ子、鈴木しょうじゅ福井市議、後援会のみなさんとともに行動しました。多くのみなさんの激励をいただきました。ありがとうございました。

    後期高齢者医療シンポでは、金沢大学の横山先生の、簡潔な説明はわかりやすかったですね。シンポのなかで私もコーディネーターの立場で質問しましたが、いま福井市をはじめ県内自治体でも国民健康保険税の引き上げがつづいていますが、この背景に後期高齢者支援金の問題があるのではないか。先生の講演では「これが、医療費適正化とリンクしていること。国民健康保険も問題」と指摘がありました。さらに、「国保の保険税収入が低下せざるをえない状況。そして増税。これに拍車をかけているのが後期高齢者支援金」との回答をいただきました。

民主党が公約を破って、「後期高齢者医療制度廃止」に踏み込まないのは、「広域」の流れを断ち切られたくない、65歳からの別建て国保を「県単位」などの広域で実施したい思惑があるからだ、との説明には納得しました。しかし、約束違反ですね。

平野先生、畑野前広域連合議会議員、山田かずおさんからは、医療現場の実例、議会でのエピソード、財源問題、などわかりやすくお話いただきました。
会場からも、「保険料滞納で資格証発行の実例と対応」「ケアマネージャーとして介護保険の改善をつよく求めたい」「導入時は医療給付の差別の話がよくわかった」などの声、意見がだされました。まだ、多くの方が発言したかったのですが、時間切れで発言できなかったみなさんには申し訳ないことでした。

今回、県後期高齢者広域連合の森川事務局次長にもご参加いただき、制度の現況などを説明いただきました。ありがとうございました。

シンポには、わたしたちの予想を上回る140名の方にご参加いただきました。「制度がどうなるのか」「老後が不安だ」「民主党はなぜ約束をやぶるのか」などさまざまな声があると思います。

当面する参院選で、「後期高齢者医療制度廃止を」を強く訴える日本共産党とともに、政治の枠組みだけでなく、中味を変える取り組みをつよめましょう。

    以下、参考に横山先生のレジュメをつけておきます。各地の学習会などで活用していただければ、と思います。


              ★


後期高齢者医療制度の廃止へ向けて                 2010.5.22
                              横山壽一(金沢大学)    
はじめに
・廃止の先送りは「公約」違反
   2008年6月廃止決議に民主党は賛成、2009年マニフェストで廃止を明記、
   2009年9月長妻厚生労働大臣が記者会見で廃止を表明
 ・検討中の新制度案は実質的な改悪
   高齢者医療制度改革会議で検討中、制度の矛盾をさらに広げる内容、
 ・被害を食い止めるには、廃止しかない
   継続は被害を広げるだけ、廃止して元に戻す方法が現時点では最良の選択肢
 ・抜本的な医療制度改革の議論が必要
   廃止後をどうするか、現行の医療保険制度全体の在り方を含めて議論が必要

1、後期高齢者医療制度の問題点
 1)高齢者差別の医療制度
  ・年齢で区分した別建てにし、負担を連動させる制度
   →社会保障の平等原則、保険のリスク分散の考え方、給付と負担をリンクさせない社会保障の在り方のいずれにも反する制度
  ・年齢で医療内容を分けて、差別する制度
    後期高齢者診療料、後期高齢者終末期相談支援料、後期高齢者特定入院基本料等、
    高齢者をターゲットにした露骨な医療費抑制策、
 2)過酷な費用負担とペナルティ
  ・定率の窓口負担
    定率1割負担は社会保障原則と矛盾、現役並み2割・3割は問題外、
    夫婦それぞれが被保険者本人となることで増える負担増、
  ・増え続ける保険料
    医療費の増大に比例して保険料を引き上げ、
    最高一人年50万円を超える過重負担、地域間格差も問題、
    75歳以降新たに負担するケース、年金からの天引きは生活無視、
  ・ペナルティ
    未納・滞納には、資格証明書、短期保険証の発行、人権侵害の受診制限、
 3)医療費抑制を競わせ、世代間の対立を煽る露骨な差別
  ・各医療保険で負担する後期高齢者支援金は医療費適正化とリンク
    特定検診・特定保健指導の実施率と支援金を連動、
  ・給与明細に後期高齢者支援金の金額を明記
  ・目的は国庫負担の減少・削減
 4)保健事業の後退
  ・75歳以上は高齢者医療法で市町村が検診するが「努力義務」
    従来は市町村の義務であった保健事業が後退
  ・健康の自己責任へ傾斜した特定検診・特定保健指導
 5)広域連合による管理運営
  ・住民の声が届きにくい仕組み
    議員の制約、減免制度など独自施策の制約、権限のない窓口の市町村、
  ・責任があいまいな仕組み
    広域連合は「事務処理機関」、最終的な運営責任があいまい
 6)医療構造改革の究極の姿
  ・老人医療費の焦点を当てた医療制度改悪の究極の姿
  ・国庫負担削減、国民負担への転嫁、健康の自己責任、医療費抑制競争の究極の姿

2、新制度案の問題点
 1)議論されている新しい高齢者医療制度
   ・年齢は65歳から
   ・国民健康保険に加入、ただし64歳以下とは別会計で高齢者も応分の負担
   ・運営は都道府県もしくは広域連合
 2)問題点
   ・制度は国保だが、実質的には独立制度、現行制度の年齢差別を継続
    しかも、65歳まで拡大、
   ・市町村国保の広域化は問題解決にはならず
     広域連合ならば問題が継続、
     実質的に広域化している大都市の国保も大赤字
     国庫負担を増やさない限り、広域化しても財政は改善せず、

3、廃止にむけての問題と必要な対応
 1)廃止して老人保健制度に戻すために必要なこと
   ・医療保険各法の改正
   ・自治体および保険者が再加入手続き
   ・事務処理とシステムの改修が必要だが、実態は不明確、
 2)廃止までに必要は対応
   ・保険料負担の軽減、保険料値上げの抑制、
・資格証明書発行の廃止、
   ・差別医療の診療報酬の廃止

4、抜本的な医療制度改革にむけて
 1)抜本的な見直しが求められる医療制度
   ・老人保健制度に戻した場合でも国民健康保険の問題が大きい
   ・国民健康保険、健康保険のいずれも多くの問題、皆保険体制の危機、
 2)真の医療保障実現に向けた議論を
   ・いつでも、どこでも、誰もが、最高の医療を、経済的な心配なく、受けられる医療の実現、
   ・皆保険の意味は、すべての人が、十分な医療を受けられること、