前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井県議会閉会。原発なくせの声にこたえず、老朽化原発延命を前提とした核燃料税条例などに反対

2011年07月15日 | Weblog

福井新聞・・・・・・県条例成立で核燃料税率17%へ 11月施行、停止原発も課税  
(2011年7月14日)

 原発に装荷した燃料の価格に応じて電力事業者に課税する核燃料税について、税率を12%から全国最高の17%に引き上げ、運転停止中も一定額を課税するよう改める県条例が14日の県会本会議で、賛成多数により可決、成立した。総務相の同意を得て11月10日に施行される。

 東京電力福島第1原発事故を受け、定期検査で停止中の原発は再稼働の見通しが全く見えていない。このままの状態が続けば条例スタート時の11月には県内の商業炉13基のうち9基が止まる予定で、大半の原発が停止したまま課税される状況となる。

 今回の改正では、過去の改正時のアップ率や他県の水準とのバランスをとるために3%を引き上げ、福島第1原発事故を受けた安全対策費として2%分を上乗せする。

 プラントごとの出力に応じて課税する「出力割」を導入し、全国で初めて停止原発にも課税。17%のうち8・5%分が出力割となる。改定後の5年間で計画通り原発が稼働すれば約600億円の税収を見込み、仮に全原発が停止していても約300億円は確保される。

 出力割に関しては「原発があることに伴う安全や防災対策のために核燃料税がある。原発が動いていないから税収がゼロになるのはおかしい」(谷本正憲石川県知事)などと本県に追随して導入を検討する自治体がある一方、「福島の事故がありながら原発への依存度を強めるのか」といった批判もある。

 採決に先立つ反対討論で佐藤正雄議員(共産党)は「老朽化原発を廃炉にせず、存続させることが前提になっている。核燃料税課税の対象として延命すべきではない。原発を減らすのは全国民的な願い」と指摘した。

 県の核燃料税収は、原発の稼働率やウラン価格の低迷もあり、前回改定の2006年から5年間で予測より約80億円少ない約290億円にとどまる見通し。 ・・・・・・・・・・・




      昨日は、定例県議会の最終日でした。朝から、議会運営委員会、議会改革検討会議、日中友好議員連盟、議会本会議、県政会などの会議がつづきました。

夜は、ふくい9条の会の定例会。選挙などでご無沙汰していましたので久々の会議参加でした。原発をめぐる状況などふくめて近況報告をさせていただきました。8月に開催される北陸ブロックの9条の会交流会の参加取り組みの相談や、稲木信夫さんの福井空襲のお話をお聞きしました。アメリカ軍による空襲の状況と人びとがどのように逃げたか、などが地図でしめされた資料は、興味深いものでした。原爆被害者同様、空襲被害者も救済を、との運動が全国でおこっています。

さて、本会議では、私だけが討論にたちました。私は、小浜市民らに高い水を押し付けることになりかねない河内川ダム建設予算をふくむ補正予算案、原発ゼロに逆行し、老朽化原発延命も想定した核燃料税条例案、日本会議からだされていた教科書採択での請願に反対しました。

予算案、核燃料税条例案に反対した議員は私ひとりだけでした。

以下、反対討論の内容です。



                ★



日本共産党の佐藤正雄です。


  まず、第37号議案 一般会計補正予算案については、河内川ダム建設費が計上されており、賛成できません。

 このダム計画は当初の234億円から415億円に増額されるなど、県民をはじめ地元自治体への負担が大きく膨らみ、地元住民からも批判の声があります。さらに工費が大きく膨らんでいる要因である軟弱地盤の問題とともに、熊川断層があり、ダム本体への影響も懸念されています。

さらにもともとこのダム計画は治水、利水両面から疑念があるものです。治水面では集水面積の狭さから効果が疑問視されています。利水面でも小浜市は豊富な地下水があり、地元からは不要論があります。いま、越前市などで枡谷ダムによる水道料金値上げが大問題となっている過ちを繰り返すべきではありません。

 

つぎに第44号議案、核燃料税条例の制定についてです。

今回の条例案は、核燃料の価格に12パーセントかける現行の課税を税率を17%に増税し、価格割り8.5%、出力割8.5%とする内容です。

これにより5年間で600億の税収見込むとし、仮に、原発が運転しなくても半分は税収されるメリットがある、と説明されています。



 今回の提案は、福島事故をうけてなお、すべての原発について継続的に核燃料を装荷し、運転を継続することを前提とし、敦賀1号や美浜1号など老朽化原発を廃炉にせずに存続させようとするものであり、反対です。敦賀一号と同型の福島第一原発の一号機はもっとも早く炉心溶融に陥った原発です。美浜一号は県内原発のなかで一番、全国の原発のなかでも二番目に脆性遷移温度が高く、緊急時の冷却水注水により原子炉圧力容器が破損する恐れがあります。



福井県民の命と安全を最優先にし、「福井県の原発では絶対福島のような事故は起こさせない」と知事は主張しますが、そうであるならば、かかる老朽化原発は廃止を求めるべきです。核燃料税課税の対象として延命すべきではありません。

さらにいまあらゆる世論調査にもしめされていますように、「原発をなくしてほしい」「原発を減らしてほしい」は全国民的な願いとなっています。

ほんらい原子力行政には国民合意が必要です。今回の提案は国民の理解はえられないでしょう。

また、このような増税は総括原価方式の中で、事業者としては電気料金に転嫁していくことも考えられ、住民負担増にもつながります。

このような条例には賛成できません。



つぎに 請願1号 教科書採択制度の改善についての請願採択には反対です。

教科書採択をめぐる議論のなかで拉致問題を語る議論はこれまでも繰り返されております。

かつて、拉致被害者家族の方々が教科書採択で陳情をだされた時に、私は、北朝鮮に拉致された日本人を救出する福井の会の池田欣一会長とお会いしてお話をうかがいました。そして、率直に、「拉致問題の全面解決は国民・県民の願いですけれども、この運動に教科書問題を持ち込むことは、運動を進める上でもマイナスになりかねないのではありませんか」とお話をさせていただきました。

池田会長は私の話にじっと耳を傾けて、つぎのように言われました。「そのとおり、私もそう思います。だから陳情に誘われましたけれども、教科書問題は別だと私は断りました」と。

困難な中で拉致被害者救出の運動を長く担われてこられた方の言葉だけに、拉致解決の県民運動にとっても教科書問題を持ち込むことがどういう影響が出るのか、冷静に判断されておられると、当時大変感銘を受けたことを思い出します。

  教科書問題を拉致問題とからめて政治問題化することは、県民総意での拉致問題解決の運動に冷や水をかけることになりかねず、この請願採択には反対です。