物部の森

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【書籍】排出量取引入門

2008年08月31日 | Weblog
 『排出量取引入門』(三菱総合研究所編、日本経済新聞社)を読む。

 お堅いテーマの新書にもかかわらずベストセラー(もう下火?)になっているのは、洞爺湖サミット開催期に出版されたからであろう。
 低酸素社会の実現へ向けての国際枠組の概要から、排出量取引システムの内容まで、分かりやすく書かれている。
 地球温暖化対策として、排出量取引が上手く機能すれば結構なのだが、本来の目的までの道のりは遠い。ロジックは以下の通りなのだが。

  ①:地球の気候システムを安定させる(=地球の温度を下げる)(本来の目的)
         ↓
  ②:①の目的のための手段としてCO2を始めとする温室効果ガスの濃度を下げる
         ↓
  ③:②の目的のための手段の1つとして経済活動における温室効果ガス排出を減らす
         ↓
  ④:③の目的のための手段の1つとして「排出権取引」を導入・活用する

 悩ましいのは、④がきちんと機能した時に、筋書き通り①へ作用し、本来の目的を果たせるのかは、誰も分からないこと。
 こういった目的と手段の連関を俯瞰して思い出す四字熟語は、「隔靴掻痒」である。
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