マクロビオティックな歯医者さんの食と暮らし                   食養塾 無何有庵の日々

無(む)と空(くう)の癒しの時間の中で、心食動息の一つ一つを共に考えていきたいマクロビオティックなスペース。

健康と自己責任

2016年10月15日 17時55分03秒 | いただきますの法則
さわやかな秋らしい毎日が続いていますね。
庭には、アケビの実が紫色に色づき、ホトトギス、紫式部、秋桐、などなど、さまざまな紫色の花々が競い合っています。五行では秋の色は白とありますが、自然界は紫に輝き、陰の様相が深まってきました。
今朝は、5時前に起床しましたが、パジャマでは寒くて、思わずガウンを一枚羽織りました。


9月から、診療室の人手不足で、久しぶりの受付嬢を任されており、患者さんと接する機会が多いこの頃です。

そんな中、歯科を受診される多くの患者さんが、難病を抱えておられたり、重篤な病気を併せ持っていたり、歯科の問題だけではおさまらない状態でおられ、あらためて、カラダ丸ごとを捉えながら俯瞰視いたしております。

まず、慢性的な大変な病気を持っている方の口腔内は正比例して多くの問題をかかえておられます。
重篤な病気の方で口腔内は完璧という方に出会ったことがありません。

歯肉炎、虫歯、歯周病、根尖性歯周炎、不正咬合、唾液の分泌低下(ドライマウス)、舌癒着、さらには鼻咽腔の炎症など、広範囲の歯科領域に問題が見られるのです。

視点を変えると、口腔内に大きな問題を抱えておられると、いずれは口腔内だけではおさまらないと言えるでしょう。

ということで、標題に掲げた「健康と自己責任」について、私見ではありますが、考えてみました。

先日よりネットで話題になりましたので、ご存じの方も多いと思いますが、
元フジテレビアナウンサー<長谷川豊氏>の、
人工透析患者さんへの目に余るバッシング騒動が起きました。

長谷川アナは9月19日、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!!」と題したブログを投稿し炎上。という内容です。

このひどい論理に、もちろん同意しているわけではありません。

人工透析は、簡単に申しますと、腎臓に甚大な問題が起き、自力で血液の濾過ができなくなることで、人工的に腎臓の代わりを機械が行なわなければならない患者さんに施す治療です。
一週間に何度か、長時間をその治療に割かないといけない、患者さんにとって、とても大変な治療です。

詳しく知りたい方には、こちらのサイトに譲ります。

その治療費は、年間五百万円もかかる高額医療です。

ですから国は患者さんの負担を軽減するために、高額療養費の特例措置を作り、保険給付されるため、個人負担は一か月一万円(上限)となり、それ以外は税金が投入されるシステムになっています。


先日、日本の医療費が41兆円を越えたことがニュースになりました。
この医療費は、保健制度に則ったものですから、高齢者や介護などにかかる医療費投入は別途となります。
つまり、国家予算の半分以上が総医療費に費やしているということです。

これって、なんとかならないのでしょうか?

医療費が削減できたら、それを子育てに、食の安全に、減税にと、いろいろいいこと一杯に思えます。

食養の世界では「健康(病気)は自己責任」と言われます。
病気になるには何か理由があって、多くは、それぞれの生活習慣や心がけで未然に防げると考えているからです。
ですから、まずはできることは自己責任においてやる、と教えられます。

できるだけ外食を控え、ごはんとお味噌汁だけであっても自炊するだけでずいぶんと健康は取り戻せます。
主食(主なる食べ物)を真中にど~んと置いた食事であれば、間食(甘食)を減らすことができます。
一口を良く噛んで頂くだけで、消化器官はとても楽になります。
お肉やお魚など、いただくとしてもご馳走だということを忘れずに。

できること、いろいろあると思います。

日本生活習慣病予防協会が2011年1月27日に「透析患者数が30万弱に増加。導入の45%は糖尿病が原因」と発表いたしました。

日本では糖尿病の95%がⅡ型で、まさに生活習慣病からなる病気です。
つまり、生活習慣を改善していれば罹患するリスクを避けられるというものです。

松見歯科でもHbA1cが11くらいまで上がっていた患者さんが
歯周病を改善するための治療と併せて食事をかえることで5.8以下になられた方など、
糖尿病を改善、完治された方はたくさんおられます。

糖尿病が原因でよくみられる合併症は、神経障害、網膜症、そして糖尿病腎症の三つで、これらは糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

残念ながらわが国では糖尿病が原因で透析療法を受ける人が少なくありません。現在透析を受けている人の数は全国で30万人弱、その45%が糖尿病性腎症によるもので透析導入原因のトップを占めているということなのです。
2011年からすでに5年を過ぎ、人工透析を受ける患者さんは増える一方だというのです。

でも、人工透析の患者さんの45%の患者さんが、もし、普段から生活習慣に気をつけていたら、もし、糖尿病と診断されても改善、完治させることができれば、もっと医療費は減るはずです。

国家予算のうち税収入は約半分。ということは医療費=まるまる税金といって過言ではありません。むしろ税金による収入では全医療費は賄えていないという、恐ろしい現実です。

これ以上、赤字国債を増やさないように、税金を無駄遣いしていないかどうか、もう一度しっかり考えてみなくてはなりませんね。

もちろん、人工透析というのは、話の例えです。
ほかにも、たくさんの難病や重篤な病気はあります。
それらも、何かしら、原因があり、未然に予防できることがあったかもしれません。

医療現場で働いていると、安易に病気になられている方を多く見ます。
ご当人は、病気で長年苦しんでこられているのですが、
歯科的治療と併せて、食事を見直したり、呼吸に注意したり、心の持ち方だったり、カラダの機能の改善をはかったりすることで、本当に苦しかった病気を完治させることができるという<ご本人にとっては奇跡?>が起きるのです。

「健康(病気)と自己責任」

多くの病気は自分で作ったのだということに気づくこと。食養の極意のように思います。

私たちは、自己責任に気づかれますよう、患者さんをしっかりサポートすることが仕事だと感じるこの頃です。



ハートのしょうが。