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生姜を使ったお手当① 「生姜の基礎知識」

2020年03月31日 18時00分14秒 | 自然医食のお手当


漢方にも用いられるなど健康食品として知られる生姜は、多くのご家庭で薬味として常備している野菜のチャンピオンですね。
実は、この生姜の効能や使い方を知ることで、薬味などの食用だけでなく、
イザというときにすぐに間に合って、お家でできるいろいろなお手当に活かせるお助けマンとなります。

生姜は日本最古の歴史書である「古事記」にも記されているほど、日本人は生姜を古くから食して来たようです。当時は生姜(しょうが)という呼び名ではなく、「根の辛いもの」という意味でハジカミと呼ばれていたそうです。
お魚などの付け合わせに今でもハジカミの生姜が添えられていますね。
日本における生姜の栽培は奈良時代に始まり、以来、今ではどのご家庭の冷蔵庫にも常備されるほど、深いかかわりを持つ野菜となりました。

生姜は薬味や香り付けなど、お料理の味をひと際引き立たせるために欠かせない存在です。
お魚やお肉の動物性たんぱく質の毒消しにも一役担ってくれます。
生姜に含まれる成分のジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン、精油成分の重要な成分が様々な効果・効能を発揮し、食用はもちろん、家庭でできる外用のお手当にも使われるようになりました。

生の生姜に多く含まれている辛味成分ジンゲロールは、免疫細胞を活性化、殺菌作用、胆汁分泌の促進、抗炎症作用、吐き気・頭痛を抑える作用、老化を防ぐなどの効能があります。
しかし、ジンゲロールは酸化しやすい成分で、空気に触れると数分後には消滅してしまいます。また加熱や乾燥をすることで別の成分に変化しますので、ジンゲロールを摂取したい場合は食す直前にすり下ろす方法が効果的です。

加熱や乾燥することでジンゲロールはジンゲロンという成分を生成します。 ジンゲロンは、血行を促進する効果や血圧を安定化、新陳代謝の向上、脂肪の燃焼を促進、発汗作用などの効果・効能があります。ダイエットや成人病の予防の効果もあることが分かっています。

他に、ショウガオールも生姜を乾燥や加熱することで生成される成分で、 体を温める効果、殺菌作用、ガン細胞の増殖を抑制、活性酸素の除去、中枢神経系の調整作用などの効能があります。ショウガオールはジンゲロールよりも、体を温める作用が強いです。そのため冷え性の改善には、生の生姜よりも乾燥・加熱させてショウガオールを生成させた生姜の方が効果的です。

さらに、生姜の皮の部分にも様々な薬効成分が含まれています。健胃作用、腰痛、風邪、吐き気、発汗、利尿、解毒、むくみの改善などの効果・効能があり、オーガニックのもので皮ごと使える生姜を選ぶことはとても大切なことです。

生姜というと冷え対策に効果的と言われていますが、陰陽で見ると全体的に強い陰性の力を持っています。
食用でも外用でも、使用する量や期間などの知識がないと、温めているつもりで実は冷えを招いてしまうことがあります。
中医学でも性質は温性でありますが、温めながら熱を取る作用があるため、使用量は決して多くないこと、また、生、乾燥、熱を入れるなどの使い方の適用を知っておくことも大切です。少量で最大限の効果を引き出すためには、軽い症状から経験を積むと自信につながりますね。

【大 分 類】解表剤…発汗・発散を促す中薬です。
【中 分 類】辛温解表薬…温めながら解表する中薬です。
【帰   経】肺・脾・胃
      ※解表とは、体表血管を拡張して発汗させて表症(体表に現れる症状)を取り除くことです。
       表症の違いから大別すると、風寒表証(表寒)に対する「辛温解表」と
       風熱表証(表熱)に」対する「辛涼解表」に分類されるます。
      ※帰経とは中薬が身体のどの部位(臓腑経絡)に作用するかを示すものです。
【薬  味】辛味→まず肺に入ります。
味…辛(辛味)
作用…消散する/移動させる。体を温め、発散作用。
対象となる病証…外証。風証。気滞証。血瘀証。
対象五臓…肺に作用。
【薬  効】発散作用  健胃作用  鎮吐・鎮嘔作用  食欲不振作用  発汗解表作用  鎮咳作用 
【薬理作用】芳香性です。胸がつかえて吐いたり、あい気(げっぷ)が出たりするのを治す要薬です。
      中枢抑制作用、鎮咳作用、解熱作用、鎮吐作用、鎮痛作用、唾液分泌促進作用、
      抗痙攣作用、抗消化性潰瘍作用、鎮咳作用、腸管内輸送促進作用、抗炎症作用、
      プロスタグランジン生合成阻害作用、強心作用
      ※蒸乾した日本でいう「乾姜(かんきょう)」は腹冷痛、腰痛、瀉下などに用いる。
      「生姜(しょうきょう)」は乾姜より健胃、鎮嘔の効が大きいとされる。
【用  途】芳香性健胃、矯味、食欲増進薬として、新陳代謝機能を促進し、水毒を去る目的で、
      黄連湯と、咳そう、腸満、陽実証の発熱、鼻塞りなどに用いる。

マクロビオティックでは陰性と分類される生姜、その所以は、温性と分類する中医学でも示す通り、発汗、解熱、消炎とカラダを温めることによる結果から判断されています。
毛穴を開き(陰性効果)、体温を放出し解熱。血管が拡張(陰性効果)し、血液の流れを促進し酸化して澱んだ血液(瘀血)を流し患部にきれいな血液を送る…これは陰性のパワーこその効果です。
ごく少量であればカラダを温めますが、多量に使うと結果的にカラダを冷やすことをしっかり頭に入れてお手当に使うことが大切です。


お家でできるマクロビオティックお手当法。

生姜を使ったお手当①「生姜の基礎知識」として整理しまとめてみました。

自然医食の手当法は、セルフケア法として昔から経験的に確立してきたもので、私もいつも助けられてきました。
製薬しか知らない現代医学の見地からトンデモ療法などと評されることがありますが、科学的なエビデンスもあることを知って欲しいです。
製薬に比べて、安全安心であることも嬉しいです。
ただし、薬効を十分に活用するためには、基礎知識も必要です。
お役に立てると幸いです。

次回は、生姜を使って実際に手当法として活用できるノウハウをお届けしたいと思います。












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